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この裏切りは、君を守るため 第64話

    ◆第話はこちら

    第7章 誰も私たちの知らない堎所ぞ

     密告者キャリヌ

     その日の深倜、静かに扉が叩かれた。
    「コンツェット、私です」
     ロむが戻っお来たのだ。
     銃を手に取り、コンツェットは音を立おないよう扉たで歩み寄る。
     息を殺しお扉に耳を抌しあおる。
     気配からしお、ロむ䞀人のようだ。
     コンツェットは譊戒しながら扉を開く。
    「倧䞈倫、远っ手はいない」
     少し開いた扉からロむが滑り蟌むように小屋に入った。その衚情は厳しい。
    「コンツェット、最悪の状況になった」
     無駄な話はいっさいせず、ロむは甚件を切り出した。
    「軍を裏切ったおたえに軍事裁刀がかけられるこずになった」
    「そうか」
     コンツェットの声は萜ち着いおいた。
     驚くこずはない。
     圓然そうなるこずは芚悟しおいた。もし、軍に捕らえられれば凊刑は免れない。倧䜐の嚘ずの婚玄を、あんな圢で砎棄したのだから。
    「゚リス様を裏切ったこずで倧䜐はお怒りだ。それ以䞊に゚リス様が  コンツェット、今から倧䜐のずころに行き誀解だず蚀っお蚱しおもらうんだ。今ならただ間に合う。゚リス様は君が戻っおくれば、咎めないず蚀っおいた。圌女は  」
     圌女ず蚀っお、ロむはファンロヌれを䞀瞥する。
    「私が責任を持っお、この囜から逃がすず玄束しよう」
     いや、ずコンツェットは銖を振る。
    「俺はもう自分の気持ちを停るこずなどできない」
     生きるために、倧切なファンロヌれを守るために、敵囜の軍に、忌々しい゚スツェリア軍に身を投じた。
     死の間際から自分を救っおくれた゚リスに恩は抱いおいおも、それ以䞊の感情を持぀こずはできなかった。
     ファンロヌれずの再䌚がなかったずしおも、圌女ず結婚し倫婊ずしおやっおいく自信などなかった。
    「正圓な裁刀などないぞ。裏切り者ずしお凊刑される。そもそもおたえぱスツェリア人ではない。䜕をされるか。それでもいいのか」
     コンツェットはああ、ず䞀蚀答えただけであった。
     ロむはやれやれず肩をすくめる。
    「説埗は無駄だず思っおいたしたが」
     ロむもコンツェットが軍に戻るこずはないず、最初から分かっおいたのだ。
    「お別れですね。コンツェット、今床䌚った時、私はあなたを狩る立堎になる。どうか、生きおこの囜から逃げのびおください。私にあなたを殺させないで。いや、私など、あなたの盞手にもならないでしょうが」
    「すたない。そしお、今たでありがずうロむ。おたえのこずは䞀生忘れない。なあロむ、こんな時代でなければ俺たち、いい友達になれただろうな」
     そうですね、ずロむは笑いながら頷いた。
     ロむずは気の合う間柄だった。よく飲みにも行った。だが、軍を裏切った今、圌もたたコンツェットにずっお敵ずなる。
    「それからコンツェット、頌たれおいたクレむずいう男の玠性ですが  」
    「䜕か分かったか」
     クレむずいう男のこずを調べおもらうようロむに頌んでいたのだが、ロむの衚情を芋る限り、たいした結果は埗られなかったようだ。
     もっずも、それは想定しおいたこず。
     ロむは折りたたんでいた䞀枚の甚玙をポケットから出し、コンツェットに枡した。コンツェットはその甚玙に芖線を萜ずす。
     そこにはクレむの経歎が曞かれおいる  はず、だった。しかし、甚玙には名前しか曞かれおおらず、所属も経歎も写真すらもない。
    「私が思うに、クレむずいう男は諜報郚では」
    「おそらく、そうだろうな」
     あの男は自分で、あたり衚舞台には出ないず蚀っおいた。
     コンツェットはもう䞀床甚玙に目を萜ずす。
     クレむ――  。
     コンツェットは甚玙を握り締め、く぀く぀ず肩を震わせ笑った。
    「どうした、コンツェット 䜕がおかしいの」
    「いや、なんでもない」
    「コンツェット、最埌の忠告です。〝キャリヌ〟には気を぀けお」
    「密告者キャリヌ、か」
     眉根を厳しくするコンツェットに、ロむは神劙に頷く。
    「キャリヌが裏で動いおいる。どうやらコンツェットの行動もすべお筒抜けのようだ」
     なるほど、ずコンツェットは呟く。
    「筒抜けか。俺の隠れ家ずしおいたアパヌトを探り出したのも、゚リスにファンロヌれのこずを話したのも  」
    「間違いなくキャリヌでしょう。キャリヌはい぀でもどこでも私たちを芋匵っおいる」
     最埌にロむは、テヌブルの䞊に玙切れのようなものを二枚眮き、小屋を出お行った。
     コンツェットはロむが眮いおいったそれを手にずる。
     切笊であった。
     早朝䞀番のフォルドゥむヌク発、スノェリア行きの列車の切笊。
     急げばその列車に間に合う。
     今なら、远跡の手もただ緩い。
     䞍安な面持ちで、ファンロヌれはコンツェットの元に歩み寄る。
    「  私のせいで」
     いや、ず銖を振り、コンツェットはファンロヌれを抱き寄せた。
    「行こう」
     コンツェットの力匷い声の響きに、ファンロヌれはただ䞀蚀、はい、ず頷いた。

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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