
ナカノ***4
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レンガ坂を歩いて住宅街に入る。
おばあちゃんちは目の前だ。
卒業式に来るために泊まりにくる両親のためにも
今日は掃除しないといけない。
早く帰らなきゃいけないのに、なんとなくまだ帰れない。
心の中がザワザワするからだ。
もっと、私が工夫すれば結衣とわかりあえたかもしれない
もっと、私が違う考え方だったら、結衣の気持ちもわかったかもしれない
そして、もっと努力していたら・・・
大学時代の友人、ではなくこれからも人生を共有できたかもしれない。
少なくとも今までの私の中では
結衣は卒業したらお別れする友人になってしまっていた。
考えが合わない、価値観が合わない。
勉強だけどうせ頼りにするんでしょ、と思っていた。
思ってきた。
でもそれはもしかしたら
お互いの知らない、わからない部分が多すぎたのかもしれない。
さっきから、なんとなくそんな思考が抜けないのだ。
国試も合格し卒業までのほんの束の間の
勉強のプレッシャーがない時だからこそ
今まで見えていなかったものがふと見えてしまった気がするのだった。
ふと、家の近くの、よく勉強したカフェを通り過ぎた時、LINEの通知がなった。
結衣からだった。
「サワ、今日はありがとう。今、家に帰ったよ。
今更だけれども、こんなに近かったんだね。
初めて中野に降り立ったけれども、本当に素敵だった」
「あとね、サワ、今まで言えなかったんだけれども
いつもこんな私を支えてくれてありがとう。
私とは全く違うサワみたいな友人に大学時代に出会えて
よかったなって本当に思う。
でも、私にはきっとまだ知らない、
いや知ることができなかったサワがたくさんあるんだろうなって
ふと思っちゃった。
ウチの最寄駅から12分で着いちゃう中野に初めて降り立って
そんな気分になっちゃったよー」
ふと、息を呑んだ。
あれ、もしかして結衣も同じこと考えているのかな。
次の瞬間、また鳴った。
「そういえば、ウチの近くに美味しいフランス菓子のお店があるから
今後、卒業式にサワのお父さんに会えるなら買って行ってもいい?
リヨンの研究室ににいたことがあったって聞いて懐かしいかなーって」
・・・そんな昔に話したこと、覚えてくれていたんだ。
私は、これからどう、結衣と関わるべきだろうか。