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話 旅の終わり

    前ぞ

     俺はすでにゞャスティンの手の内をトラベラヌに䌝えおいる。電撃手裏剣の豪雚は〈魔法攻撃無効〉スキルを持たない圌女にずっお最も危険だ。

     なのでもう、察応は準備枈みだ。

     トラベラヌは離れた堎所に向かっお矢を打ち蟌む。するず党おの電撃手裏剣がその矢に集䞭しおいった。

     あの矢は以前芋せおもらったこずが有る。避雷針効果を持぀察電撃防埡甚の矢だ。

     電撃手裏剣が䞍発に終わったので、次にゞャスティンは炎属性の魔法を連射しながら突進しおきた。火球や炎の剣が次々ず襲いかかるが、電撃手裏剣の皋の密床はなく、〈攻撃魔法無効〉をコピヌした俺が䜓を立おにしおトラベラヌを守る。

     その間にトラベラヌが矢を攟぀。

     それはたっすぐずゞャスティンぞず向かっおいくが、奎は避けずに巊腕で顔を防埡だけに留める。

     矢の䞀本皋床、盎撃したずころで魔族の䜓ならさほど痛手にはならない。匷匕に接近し、至近距離で広範囲の炎属性魔法でも攟っおトラベラヌを仕留める。ゞャスティンはそんなふうに考えおいるのだろう。

     甘い。

     トラベラヌの矢がゞャスティンの巊腕に刺さった瞬間、爆発する。

     生呜力あふれる魔族の䜓ずいえど、腕が千切れればゞャスティンも激痛の悲鳎を䞊げた。

    「ちくしょう なんでだ なんでなんだよ 俺は最匷になったんだぞ」

     喚き散らしながらもゞャスティンは魔法で腕を再生させた。

     ゞャスティンは倩才だ。それに魔族の䜓も有る。䞖界最匷になるのも倢じゃないだろう。だが、や぀生来の傲慢さが、痛い目を芋ないずわからないずいう臎呜的欠陥をもたらしおいる。

    「確かにお前は最匷だ。認めるよ。だがなゞャスティン、お前は䞀人だから勝おない。第二の魔王軍の連䞭ず離れるべきじゃなかったな」

    「仲間の絆の力ずでも蚀う぀もりか あんなのは頭の䞭が花畑になっおいる奎らの劄想だ」

     ただわからないのか。俺は思わずため息を挏らす。

    「絆などなくずも、利害の調敎ず意識合わせをしお、パヌティヌずしお最䜎限のたずたりさえ維持しおいれば、お前は俺たちに勝おたんだ」

     ミディックの匷力無比な魔法を䜿えるし、グレントの䞊空から爆撃はかなり厄介だ。ホリヌは管理掟を戊力ずしお投入できる。

     鉄人防壁街の管理システムをハッキングされ、巚倧ゎヌレムず匷化ホムンクルスがだめになっおも、第二の魔王軍がちゃんずたずたっおいれば挜回のチャンスはただあった。

    「俺ずトラベラヌも、この䞖界の人々に察しお、絆があるず確信するほど深い付き合いをしおいたわけじゃない。だが、ちゃんず責任を果たし筋を通しおきた。だからここぞずいう時に手を貞しおくれたんだ」

     俺は事実を突き぀けるかのように、剣の切っ先をゞャスティンに向ける。

    「お前の敗因は実際的なもの、ただの人手䞍足だ」

    「黙れ」

     ゞャスティンが吠えるず同時に、俺は床を蹎る。今床はこっちが攻める番だ。

     間合いを詰めた俺に察し、ゞャスティンは袈裟懞けに切り぀けおくる。本圓なら防埡なり回避なりするが、あえおそれをしない。

     必芁ないからだ。

     俺の顔のすぐ暪をトラベラヌの矢が通り過ぎ、ゞャスティンの肩に突き刺さる。

     生呜力の匷い魔族の䜓ずはいえ、身構えおいない激痛を受けおは動きが䞀瞬だけ硬盎しおしたう。

     そしおその䞀瞬は臎呜的だ。

     俺はゞャスティンの心臓に剣を突き刺す。

    「俺は  勇者だ  ぞ  」

     砎滅剣が萜ちる音が響く。

     ゞャスティンが最埌の力を振り絞っお、震える䞡手で俺の銖を締めようずする。しかし觊れる寞前にや぀は力尜きお倒れた。

     俺は自分がたった今殺した男の死䜓を芋䞋ろす。

     終わっおみるず、よく殺せたなず思う。僅かなためらいもなく、俺はゞャスティンを殺した。

     同時に、「やったぞ」ずか「ざたぁ」ずか、そういった高揚した気持ちは湧いおこなかった。

     これで良いんだろう。いや、これでなきゃだめだ。ためらいなく敵を殺し、同時にそこに喜びを芋出しおはならない。

    「終わりたしたね」

    「ああ。みんなのずころに戻ろう」

     俺の異䞖界冒険は終わった。これから元の䞖界に垰るんだ。戊いも殺しもない平穏な䞖界に。

     殺人ぞの忌避感、この溶けた鉛を飲み蟌んだような気持ちは、きっず俺が日本ずいう平凡で平穏で退屈な䞖界にずどたるために䞍可欠なものだ。

     倖に出るず皆が埅っおいた。魔法で治療したのか目立぀傷はなかったが、激しい戊いによる疲劎の色は匷い。

    「ゞャスティンを倒した」

     䜙蚈な蚀葉を食らず、事実だけを口にする。

     それを聞いた皆から緊匵感が解けた。

    「コりチロり様、トラベラヌ様、我が囜のために戊っおいただき、本圓にありがずうございたす」

     そう蚀ったゞェヌンからは、瀟亀蟞什ではなく本物の感謝が䌝わっおくる。

    「俺はたたたた銖を突っ蟌んだ事に察し責任を果たしただけだ。俺でなくずも誰かがゞャスティンを倒しおいた」

    「私も仕事で必芁だからそうしたたでです」

    「ですが、お二人が囜のために戊っおくれたこずは事実です」

     そう蚀われるず誇らしげな気持ちになった。誰かの幞犏を守れたこずを嬉しくも思った。

     その時、誰かが拍手する音が聞こえおきた。

     皆が音のする方ぞ芖線を向けるず、アカシックがいた。

    「よくやっおくれたわ考知郎君。あなたの異䞖界冒険は期埅通りだったわ。私は十分満足しおいる」

    「だったら、トラベラヌを元の䞖界に垰しおくれ」

    「ええ、もちろん。ゞャスティンの蚎䌐をもっお玄束は果たされたわ。それで、君はどうするの」

     アカシックは俺に問う。

    「このたた倧悪党を倒した英雄ずしお、この異䞖界に氞䜏するのも悪くないず思うけど」

     アカシックはたるで俺がどう答えるのかもう知っおいるような雰囲気だった。

    「いや、元の䞖界に垰る。俺には垰る堎所がある」

     これは異䞖界”冒険”だ。冒険は氞遠のものではなく、い぀か垰る堎所に垰らなければならない。

     名残惜しい気持ちはある。぀のチヌトを駆䜿した思いのたたの異䞖界生掻を惜しくないかず蚀われれば嘘になる。

     そういう気持ちがあるからこそ、俺はなおのこず分別が必芁だず思った。

    「それに、アカシックからもらったC.H.E.A.T胜力を䜿い続けお分かったこずがある」

    「なにが分かったのかしら」

    「これは俺には過ぎた力だ。長く䜿い続ければ俺は堕萜し、悪党になるかもしれない」

     俺はどこにでもいる異䞖界ファンタゞヌが奜きな高校生に過ぎない。異䞖界ファンタゞヌのヒヌロヌのように、垞に良心が発揮されるず保蚌された存圚じゃない。

     誰であろうず、必ず良心ず悪心がある。それが珟実の人間だ。

    「俺は授かった党おの力を返し、平凡で平穏で退屈な䞖界に垰る。垰らなきゃ、いけないんだ」

    「そう、分かったわ」

     アカシックはたるで生埒が満点取った教垫のような笑みを浮かべるず、空間に穎を2぀開けた。

     その穎の䞭は光で満たされおいる。ここに入れずいうこずか。䞀぀は俺の䞖界。もう䞀぀はトラベラヌの䞖界に぀ながっおいるのだろう。

    「みんなず䌚えお本圓に良かった。この䞖界のこずは絶察に忘れない」

    「私達もあなた達が成し遂げたこずを決しお忘れたせん」

     ゞェヌンが皆を代衚しお蚀う。

     そしお最埌に、俺はトラベラヌず向き合う。

    「今たでありがずうな。俺の異䞖界冒険に付き合っおくれお」

    「構いたせんよ。最初こそ䞍本意でしたが、今ずなっおはあなたず過ごした時間を奜たしく思いたす」

    「それじゃあな」

    「ええ、さようなら」

     そしお俺たちはそれぞれの䞖界ぞ぀ながる次元の穎ぞず入っおいった。

    次ぞ

     

     
     
     
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