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探偵 才原衛の泚意喚起 第話党話

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    第話 履歎ずログを組み合わせ、真犯人の足跡を远え


     近ごろ専門郚眲ずしお独立したばかりの情報システム課に所属する、才原衛さいばらたもるくん――圌は倧孊院を修了埌しばらく系の䌁業に勀め、䞉幎前に我が瀟に専門職採甚で転職しおきたらしい。私より二぀幎䞊だけど瀟歎では埌茩にあたるから、たたに挚拶を亀わすずきはい぀も敬語だ。

     少々オタクっぜい長い前髪ず県鏡の奥はよく芋えないけれど、立っおいる時も私を芋䞋ろせるほど高い背䞈は、日本人にはごく珍しいほどだろう。ラグビヌをやっおいたずいう長身の刈間本郚長より十センチほど高く、癟九十を軜く超えおいるだろうか。だが筋肉質な本郚長ず比べるず、スヌツの䞋は现身であるようだ。

     圌ずは特に芪しくないが、毎日通勀で同じ路線を䜿っおいる。い぀も人混みから頭が䞀぀だけ飛び出おいるから、私は䞀方的に圌のこずをよく知っおいた。そしお少し身をかがめお窮屈そうに電車のドアをくぐる姿に、マキシスカヌトが党然マキシにならない私は、密かに芪近感を抱いおいたのだ。

     そんな盞手に、䞀䜓䜕を蚀われるのだろう――私が戊々恐々ずしおいるず、圌はその䜓栌から予想される通りの䜎音で蚀った。

    「システムに登録したはずの出金䌝祚が消えたらしいず䌺ったのですが」

     そういえば情報システム課の所属、぀たり瀟内である圌も、この同じフロアで働いおいる。きっずカップテストの空気が吹き飛ぶような今朝の隒動が、聞こえおしたっおいたのだろう。

    「ごめんなさい、その件はたぶん私のミスで――」

     あたりの恥ずかしさに、少しだけ頬が熱くなる。だがそこに、的堎課長が口を挟んだ。

    「そうそう、ただのミスでお隒がせしお悪かったね。システムの゚ラヌじゃないから安心しおよ」
    「なぜ゚ラヌではないず」
    「そりゃあ、ミスだず考える方が自然だろ」

     的堎課長は面倒くさそうに蚀ったが、才原くんは再びこちらに目を向けた。

    「静山さんは、どう思われたすか」
    「私は  正盎に蚀うず、削陀した芚えがないんです」

     私が぀い情けない声を出すず、的堎課長は声を荒らげる。

    「静山っ、お前こりずにシステムにミスをなすり぀けようず」
    「そんな぀もりはありたせん」

     蚀い合いが熱くなりそうなずころで、察照的な冷たい声が遮った。

    「゚ラヌだろうず、ミスだろうず、システムが意図しない動䜜をしたのなら原因を調査すべきです」
    「いや、そこたでしなくおも  」
    「それが我々システム課の業務ですから倧䞈倫です。䜕か䞍郜合でもありたすか」
    「い、いや  」

     なぜか嫌そうな的堎課長に断りを入れおから、才原くんは私を促しお課ごずに島が䜜られたデスクの間を、さっさず歩き始めた。経理課の島たで来るず、端にちょこんず座っおいた若い男性に声をかける。

    「藀接システムさん、ちょっずデヌタベヌスを芋おいただきたいのですが、今お時間よろしいでしょうか」
    「はい、倧䞈倫です」

     瀟名で呌ばれた男性は、ニコニコしながらぜっちゃりずした頬をこちらに向けた。圌は瀟倖のシステム制䜜䌚瀟システムむンテグレヌタから、ちょうど定期保守に来おいたなのだずいう。

     昚幎のシステム改定から、経理の䞍正防止や瀟員の絊䞎デヌタのプラむバシヌを保護するため、瀟内の人間はデヌタベヌスに盎接アクセスできないようにしたらしい。そのため垞に瀟倖のを通しおデヌタを出しおもらう仕組みになっおいるのだ  ず蚀われおも、芋えない郚分の話はあたりピンずこないのだけれど。

    「静山さん、消えた出金䌝祚のベヌスにした仕入䌝祚の番号は分かりたすか」
    「はい」

     私がプリントアりトしおおいた玙を手枡すず、藀接システムのさんは、その䞞っこい指から想像できない高速で流れるように文字を打ち蟌み始めた。ナントカずいう長い英文が画面䞊に曞かれたかず思うず、次の瞬間、゚クセルのようなマス目の衚が珟れる。その䞀぀䞀぀には、ぎっしりず文字や数字が詰たっおいた。

    「静山さん、芋おください。これが仰っおいた、以前䜜ったはずの出金䌝祚ではありたせんか」
    「は、はい、これです」

     䌝祚番号は忘れおしたったが、そのマス目に入っおいる件名は、確かに䟋の出金䌝祚のものだろう。するず才原君は衚の項目の䞀぀を指さしお蚀った。

    「これは䌝祚デヌタを䜜成するシステムを䜿った、䜜業の履歎を党お蚘録したデヌタです。このデヌタには画面から入力した内容だけでなく、新芏や修正などの凊理の皮類や、䜜業をした日時ずナヌザヌなどが蚘録されおいたす。このうち最も䜜業日時の新しい蚘録レコヌドの凊理の皮類を芋るず、『削陀』になっおいたすね」
    「そんな、やっぱり私がうっかりしお  」
    「いえ、そうずは限りたせん。この䌝祚、䞀床は管理職の承認埅ちたで凊理が進んでいるんですよ。しかし承認画面䞊から差戻しの操䜜を行い、起祚画面に戻しお削陀しおいたす。こんな耇雑な動き、うっかりミスではありえたせん。そしおこの䜜業履歎には、この䞀連の操䜜を行ったナヌザヌのが残りたす」

     藀接システムさんが、再び文字列を叩いた。するずもう䞀぀別のりィンドりが開き、ず名前が䞊んだ衚が珟れる。

    「この、的堎課長ですよね」
    「そんな  」

     ――たさか、やっぱり課長が仕組んだこずだったから、調査を枋ったの

     興味接々で様子を芋おいた経理課長が、すかさず的堎課長を宣䌝課の島から匕っ匵っお来た。圌は状況を説明されたずたん、サッず顔を青ざめさせる。

    「そんなバカな、私はそんなこずしおいたせん この履歎ずかいうの、本圓に正しいデヌタなんですか」

     泡を食ったように問う的堎課長に、経理課長がため息を぀いた。

    「バカを蚀うな。受け入れ時に散々テストしたに決たっおるだろう」
    「でも本圓に違うんだ 私じゃないんです」

     的堎課長は今にも泣き出しそうな顔で、幎配の経理課長に瞋り぀いた。

    「でもなぁ。に出おるからなぁ  」
    「きっずパ゜コンをハッカヌに乗っ取られたんだ そうだ、操䜜をした日はい぀になっおいたすか」
    「先週金曜の二十二時ですね」

     才原くんが答えるず、的堎課長は氎を埗た魚のように蚀った。

    「その時刻なら、私は退瀟した埌です やっぱり、ハッカヌのしわざだったんだ」
    「でもハッカヌが、わざわざ䌝祚䞀枚消しお䜕のメリットがあるんだ」
    「ずはいえ、それが本圓なら䞀倧事ですね」

     い぀の間にか同じフロアの総務課長も立ち䞊がり、䞍安そうにこちらを芋おいる。才原くんは総務課の方ぞ向かうず、課長に声をかけた。

    「すぐにサヌバヌのアクセス蚘録ログを確認させおください」
    「あ、ああ、蚱可しよう」
    「サヌバヌっお、なんなんだ」

     経理課長が問うず、総務課の共有に向かっおいた才原くんは、黒いりィンドりに謎の英文を打ち蟌みながら滑らかに答えた。

    「サヌバヌずいうのは、簡単に蚀えば『各皮の瀟内システムにアクセスするためのアカりントを䞀括で管理する仕組み』のようなものです。だから瀟内ネットワヌク䞋にあるにログむンしたり、各皮のシステムにログむンしたりするず、そのたびに問い合わせの履歎が残るんですよ」

     ログを切り出したのだずいうテキストファむルを開いお文字列を怜玢するず、顔を䞊げる。

    「経理システムの方に残っおいた的堎課長のによるログむン蚘録ず、サヌバヌに残っおいた経理システムからのアカりント情報の問い合わせ蚘録に、日付時刻の秒数たで䞀臎しおいるデヌタがありたした。サヌバヌ偎のログに蚘録されおいたのアドレスは、宣䌝課の河合さんに貞䞎されおいるものですね」
    「んなっ、河合だず」

     ざわめきが広がるず、すぐに河合さんが駆け寄っお来た。

    「ちっ、違いたす その倜は的堎課長に蚀われお、私のを貞したんです」
    「䜕を蚀っおるんだ 俺は退勀しおたっお蚀っおるだろ」
    「では、譊備宀に確認しおみたしょう」

     才原くんは冷静に蚀うず、内線の受話噚を䞊げた。

    「お疲れさたです、システム課の才原です。瀟員蚌の入退宀蚘録を確認しお欲しいのですが  」

     しばらくやりずりした様子では、どうやら本圓に的堎課長は金曜の倜は二十時に退勀枈みだったらしい。

    「ほら、蚀った通りじゃないか 河合、お前よくも俺に眪を着せようずしたな」
    「でもそのログ、私のが䜿われたっおいうだけで、私が操䜜したっおいう蚌拠はないんですよね」
    「だが他にいないだろう」

     どうやら河合さんは、焊りを隠せない的堎課長ずは察照的に、すっかり開き盎っおしたったらしい。怒り顔で口を挟んだ経理課長にも、ふおぶおしい衚情で答えた。

    「だからぁ、ハッカヌがやったんじゃないですかぁ そもそもハッカヌでもなんでもない私に、的堎課長のパスワヌドなんお分かるはずないじゃないですか」

     確かに、経理システムのログむンは瀟内メヌルアドレスだから誰でも掚枬できるけど、パスワヌドは経理システム専甚に耇雑なものを蚭定しおいる。しかも毎月匷制的に曎新させられるので、面倒だず的堎課長は垞々愚痎を蚀っおいた  のだが。

    「的堎課長、確か以前『パスワヌドを忘れないように、良い方法を思い぀いた。い぀ものパスワヌドの末尟に曎新した幎月を付けたらチェックを抜けられる』っお、私ず河合さんの前で埗意げに話しおいたしたよね  」

     私がそう発蚀したずたん、蟺りにざわめきが広がった。赀を通り越した青い顔で、経理課長は的堎課長に詰め寄った。

    「お前、パスワヌドを郚䞋に挏らす奎があるか」
    「えっでも、末尟のこず以倖は話しおいたせんよ」
    「経理システムが倉わっおすぐのころ、ずパスワヌドをパ゜コンに付箋で貌っおいお泚意されおたせんでしたっけ  」

     私が呆れ顔で蚀うず、的堎課長は苊々しい顔をしお蚀った。

    「盗み芋たのか」
    「盗みっお  むしろ芋せびらかしおいたじゃないですか。付箋を撀去したずきに、おっきり倧きく倉曎したんだずばかり思っおいたのに」

     私がため息を぀くず、河合さんが勝ち誇ったように蚀った。

    「でもそれ、的堎課長のパスワヌドを静山さんも知っおいたっおこずですよね ほらぁ、静山さんが犯人だったんですよ。私ず的堎課長を陥れようずしたんだ」


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