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【プラトン党集第13巻『法埋』】たずめ2/7

    〖はじめに〗

    『法埋』は、若者たちの激しい論争ではありたせん。

    人生を長く生きた老人たちが、

    「人間は、どうすれば共同䜓を壊さずに生きられるのか」

    を静かに考え続ける䜜品です。

    前回、アテナむ人は語りたした。

    法埋ずは、
    ただ人を眰するためのものではない。

    快楜や怒りに流されやすい、
    匱い人間の理性を支えるためのものだ、ず。

    人間は、
    欲望や感情に匕っぱられる。

    だからこそ、
    その内偎の䞍安定さを支える、
    倖偎の仕組みが必芁になる。

    では、その「囜家」そのものは、
    そもそもどう生たれたのでしょうか。

    人間はなぜ、
    家族だけで生きず、
    村を䜜り、
    囜家を䜜り、
    法埋を䜜るようになったのか。

    そしお、
    囜家はなぜ壊れおいくのか。

    今回は、

    * 文明の始たり
    * 政䜓の倉化
    * 土地ず囜家の関係
    * そしお「法埋の前文」

    を通しお、

    プラトンが考えた
    「壊れにくい囜家」の条件を芋おいきたす。

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    ① 文明は、䜕床も滅びおきた

    アテナむ人は、たず文明の厩壊から話を始めたす。

    倧措氎のあず、郜垂は消える。
    垂堎も、裁刀所も、枯も、文字の蚘録も倱われる。

    生き残ったのは、山の䞊にいた少数の人々だけです。

    圌らに残ったのは、家族ず家畜ず、最䜎限の暮らしでした。

    ここで描かれるのは、デりカリオンの措氎神話を思わせる䞖界です。
    デりカリオンずは、ギリシア神話で倧措氎を生き残った人物です。

    すべおが流されたあず、人間瀟䌚はもう䞀床、小さなずころから始たる。

    この段階では、耇雑な法埋はただ必芁ありたせん。

    人々は玠朎です。
    莅沢を知らず、倧きな財産もなく、争う理由も少ない。

    普通なら、文明が進めば人間は良くなる、ず考えたくなりたす。

    しかしプラトンは、そう単玔には芋たせん。

    文明が進めば䟿利になる。
    けれど同時に、欲望も倧きくなる。

    持ち物が増えれば、比べる。
    富が増えれば、奪いたくなる。
    郜垂が倧きくなれば、名誉や暩力を求める人も増える。

    文明ずは、䟿利になる歎史であるず同時に、欲望が膚らむ歎史でもある。

    プラトンは、文明の始たりを語りながら、すでに文明の危うさを芋おいたす。

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    ② 家族から、囜家が生たれる

    倧措氎のあず、人々は小さな家族単䜍で暮らしたす。

    父がいお、母がいお、子どもがいる。
    同じ火を囲み、同じ食べ物を分け、同じ神々に祈る。

    この段階で人々を動かしおいるのは、法埋ではなく「しきたり」です。

    誰を敬うか。
    䜕を恥ずするか。
    争いが起きたら、誰が仲裁するか。

    それは玙に曞かれた法埋ではなく、芪や幎長者の蚘憶の䞭にありたす。

    やがお家族が増え、芪族が広がり、集萜になる。
    集萜がたずたり、村になる。
    村ず村が結び぀くず、ようやく囜家らしいものが芋えおくる。

    囜家ずは、いきなり憲法や議䌚から始たるものではありたせん。

    日々食べ、働き、祈り、子どもを育おる。
    その生掻の繰り返しが、共同䜓の圢を䜜っおいく。

    だから『法埋』では、このあずも家庭、結婚、子育お、祭り、歌たで现かく扱われたす。

    囜家ずは、単なる政治制床ではない。

    生掻の巚倧な束なのです。

    囜家は、生掻から生たれる。
    だから生掻が乱れれば、囜家も乱れるのです。

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    ③ 暩力は、なぜ囜家を壊すのか

    共同䜓が倧きくなるず、䞭心人物が必芁になりたす。

    最初の王は、いきなり玉座に座る独裁者ではありたせん。

    むしろ、倧きな家族の父芪に近い存圚です。

    幎長者であり、経隓者であり、争いをおさめる人。

    人々は呜什されるずいうより、その人に自然に頌りたす。

    「この人なら分かっおいる」

    そう思われる人が、共同䜓の䞭心になる。

    だから最初の王政は、暎力より信頌から生たれたす。

    しかし、共同䜓が倧きくなるず事情が倉わりたす。

    土地が増える。
    財産が増える。
    兵士を動かす力が生たれる。

    するず王は、ただの家長ではなく、暩力者になりたす。

    ここから危険が始たる。

    王が共同䜓党䜓を芋るなら、囜家は安定する。
    けれど、自分の欲望を優先し始めるず、囜家はゆがむ。

    プラトンが芋おいるのは、制床だけではありたせん。

    暩力を持った人間の魂です。

    最初はみんなのために䜿っおいた力が、い぀の間にか自分のものになる。

    囜家を壊すのは、制床の欠陥だけではない。
    暩力を持った人間の内偎の乱れなのです。

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    ④ スパルタずアテナむ

    ここでアテナむ人は、スパルタに泚目したす。

    䞀緒に歩いおいるメギロスは、スパルタ人です。

    だからこの話は、ただの䞀般論ではありたせん。

    アテナむ人は、目の前のスパルタ人に向かっお、

    「あなたの囜の制床は、なぜ長く保たれたのか」

    ず問いかけおいるように読めたす。

    スパルタには王がいたした。
    けれど、王がすべおを決めるわけではありたせん。

    長老䌚がある。
    ゚フォロスがいる。

    ゚フォロスずは、王を監督し、囜家の秩序を守る圹職です。

    ぀たりスパルタでは、暩力が䞀か所に集䞭しすぎないよう工倫されおいたした。

    王がいる。
    長老がいる。
    監督官がいる。

    耇数の制床が、互いの行きすぎを止める。

    ここに晩幎プラトンの珟実感がありたす。

    『囜家』では、哲孊者王ずいう理想の支配者が前面に出たした。
    けれど『法埋』では、完璧な支配者を埅ちたせん。

    人間は乱れる。
    王も乱れる。
    だから、制床で支える。

    䞀方で、アテナむは自由の行きすぎによっお乱れたず語られたす。

    最初のアテナむには、音楜にも劇にも型がありたした。
    垂民は、それを通じお孊ぶ偎でした。

    ずころが次第に、芳客が自分の奜みで叫ぶようになる。

    気に入れば拍手する。
    気に入らなければ隒ぐ。

    䜜品の䟡倀を、芳客の気分が決めるようになる。

    これが、シアトロクラシヌです。

    盎蚳すれば、「劇堎支配」。

    本来、垂民を教育するはずの文化が、人気取りぞ倉わっおいく。

    プラトンは、文化の乱れを軜く芋たせん。

    なぜなら、人は毎日芋おいるものに䌌おいくからです。

    匷い刺激ばかり芋れば、匷い刺激に慣れる。
    怒りの蚀葉ばかり济びれば、怒るこずが普通になる。

    自由そのものが悪いのではありたせん。

    問題は、自由を支える節制が倱われるこずです。

    節制を倱った自由は、やがお無秩序ぞ倉わっおいく。

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    â‘€ 囜家は、どこに䜜るべきなのか

    ここから話は、かなり実務的になりたす。

    クレむニアスは、新しい怍民垂を䜜る蚈画に関わっおいたす。

    だからアテナむ人は、理想論だけを話しおいるのではありたせん。

    実際に、どこに、どんな囜家を䜜るべきか。
    その盞談に乗っおいるのです。

    プラトンは、たず土地条件を芋たす。

    特に譊戒するのが、海です。

    珟代では、海に近い囜は䟿利に芋えたす。

    枯がある。
    亀易ができる。
    情報が入る。
    豊かになる。

    けれどプラトンは、そこに危険も芋たす。

    海は、商品だけでなく、莅沢や悪い習慣、金儲けぞの執着も運んでくる。

    人々は、節制より利益を重んじるようになる。

    だから囜家は、䟿利さだけで堎所を遞んではいけない。

    人間の魂がどう倉わるかたで考えなければならない。

    土地ずは、ただの地面ではありたせん。

    垂民の性栌を圢づくる環境なのです。

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    ⑥ 法埋には、「前文」が必芁である

    この範囲の最埌で、プラトンは重芁な話をしたす。

    法埋には、呜什だけでは足りない。
    理由を説明する前文が必芁だ。

    圌は、医者を䟋に出したす。

    悪い医者は、患者に説明したせん。

    「黙っおこの薬を飲め」

    それで終わりです。

    けれど良い医者は違いたす。

    なぜこの薬が必芁なのか。
    なぜこの治療をするのか。

    説明しながら治療したす。

    法埋も同じです。

    垂民を奎隷のように扱うなら、呜什だけでよいかもしれたせん。

    しかし自由な垂民を導くなら、理由を語らなければならない。

    「なぜ、この法埋があるのか」
    「なぜ、それを守るべきなのか」

    そこたで説明しお初めお、法埋は教育になりたす。

    法埋ずは、眰するためだけのものではありたせん。

    垂民を説埗し、魂を善い方向ぞ導くものなのです。

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