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【プラトン党集第10巻『むオン』】むオン

    〖はじめに〗

    倧勢の芳客が泣いおいる。

    戊堎で英雄が倒れる堎面。

    父が息子を抱きしめる堎面。

    神々が人間を翻匄する堎面。

    そのすべおを、
    たった䞀人の男が、
    声だけで人々の前に立ち䞊げおいたした。

    男の名は、むオン。

    叀代ギリシアで、
    ホメロスの詩を語る吟誊詩人でした。

    珟代でいえば、
    朗読家であり、
    解説者であり、
    舞台圹者でもある。

    しかもむオンは、
    ただの語り手ではありたせん。

    倧䌚優勝者でした。

    ホメロスを語らせれば、
    自分の右に出る者はいない。

    本人も、
    そう蚀い切るほどでした。

    その男を、
    ゜クラテスが捕たえたす。

    そしお、
    たった䞀぀の問いを投げるのです。

    「君は、本圓に理解しお語っおいるのかね」

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    ①勝者むオン

    物語は、
    道端の䌚話から始たりたす。

    ゜クラテスは、
    祭瀌垰りのむオンに声をかけたす。

    「どこぞ行っおいたんだい」

    むオンは誇らしげに答えたす。

    吟誊詩人の倧䌚です。
    しかも優勝しおきたした、ず。

    ここでむオンは、
    かなり調子に乗っおいたす。

    ホメロスに぀いおなら、
    誰にも負けない。

    「私ほどホメロスを語れる者は、
    今のギリシアにはいたせん」

    芳客を泣かせ、
    熱狂させ、
    英雄たちを生き返らせるこずができる。

    その自信が、
    蚀葉の端々からあふれおいたす。

    けれど、
    ゜クラテスは吊定したせん。

    むしろ、
    いったん持ち䞊げたす。

    「吟誊詩人ずは、すばらしい仕事だ」

    なぜなら、
    詩人の考えを人々ぞ届ける圹だからです。

    ホメロスの蚀葉を理解し、
    芳客ぞ橋枡しする。

    それは、
    簡単にできるこずではない。

    むオンもうなずきたす。

    だから自分は優れおいるのだ、ず。

    この瞬間、
    むオンは完党に勝者です。

    けれど、
    ゜クラテスの問いは、
    い぀も“その埌”から始たりたす。

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    ②ホメロスしか語れない

    ゜クラテスは、
    ふず聞きたす。

    「では、ヘシオドスに぀いおも語れるのかね」

    さらに、
    アルキロコスの名も出したす。

    するずむオンは、
    急に歯切れが悪くなりたす。

    「いや  他の詩人はちょっず」

    自分は、
    ホメロス専門なのだず蚀う。

    ここで空気が倉わりたす。

    ゜クラテスは、
    静かに聞き返したす。

    「でも、䞍思議だね」

    医者なら、
    健康に぀いお、
    䞊手い説明ず䞋手な説明の䞡方を刀断できたす。

    船乗りなら、
    航海に぀いお、
    正しい話ず間違った話を刀断できたす。

    ならば、
    詩に぀いお本圓に知っおいる人は、
    ホメロスだけでなく、
    他の詩人に぀いおも刀断できるはずです。

    ずころがむオンは、
    ホメロスになるず突然元気になる。

    ゜クラテスは、
    そこを芋逃したせん。

    「ホメロスの話になるず、君の目は茝く。
    けれどヘシオドスの話になるず、
    眠そうになる。
    これは、どういうこずだろう」

    この堎面は、
    かなり面癜い。

    むオンは無胜ではありたせん。

    むしろ、
    ホメロスに関しおだけは、
    異様に匷い。

    しかし、
    その力の理由を説明できない。

    するず゜クラテスは、
    奇劙な結論を出したす。

    「それは技術ではなく、神がかりなのではないか」

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    ③磁石みたいに、人は動く

    ここで『むオン』最倧の名堎面が出おきたす。

    磁石の比喩です。

    ゜クラテスは蚀いたす。

    磁石は、
    鉄の茪を匕き寄せる。

    その茪もたた、
    別の茪を匕き寄せる。

    こうしお力は、
    鎖のように぀ながっおいく。

    むオンは、
    反論しかけお、少し止たりたす。

    神が詩人を動かす。
    詩人が吟誊詩人を動かす。
    吟誊詩人が芳客を動かす。

    ぀たりむオンは、
    党郚を理解しお語っおいるわけではない。

    むしろ、
    ホメロスの熱に圓おられおいる。

    だから、
    むオンは語っおいる最䞭に泣く。

    興奮する。
    髪の毛が逆立぀。

    芳客もたた、
    䞀緒に泣く。

    蚀葉が、
    感染しおいくのです。

    ここが、
    『むオン』の怖いずころです。

    ゜クラテスは、
    むオンの才胜を吊定しおいたせん。

    むしろ、
    「人を動かす」ずいう事実は認めおいたす。

    ただし、
    それを「知識」ず呌んでいいのか。

    そこを疑っおいる。

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    ④語れるこずず、できるこずは違う

    さらに゜クラテスは、
    ホメロスの䞭身ぞ螏み蟌みたす。

    ホメロスは、
    戊争だけを曞いおいるわけではありたせん。

    医術。
    銬術。
    釣り。
    航海。
    軍事。

    では、
    医療に぀いおホメロスが正しいか、
    誰が刀断するのか。

    医者か。
    吟誊詩人か。

    むオンは答えたす。

    医者です。

    銬の扱いに぀いおは、
    銬術の専門家です。

    釣りに぀いおは、
    釣り人です。

    そのたびに、
    むオンの立堎が狭くなっおいく。

    戊争映画を熱く語れる人が、
    将軍ずは限らない。

    むオンは、
    ホメロスを語るこずはできる。

    でも、
    それは本圓に「知っおいる」こずなのか。

    ゜クラテスは、
    そこを切り分けおいきたす。

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    â‘€ そしおむオンは将軍になる

    远い蟌たれたむオンは、
    最埌にこう蚀いたす。

    吟誊詩人は、
    人がどう語るべきかを知っおいる。

    男の蚀葉。
    女の蚀葉。
    奎隷の蚀葉。
    自由人の蚀葉。

    そしお、
    将軍が兵士に語る蚀葉も分かる、ず。

    ここで゜クラテスは、
    その蚀葉を逃したせん。

    「なるほど。
    では吟誊詩人である君は、
    将軍でもあるわけだね」

    むオンは、
    勢いで答えたす。

    「そうです」

    ゜クラテスは、
    さらに䞀歩だけ進みたす。

    「では君は、
    ギリシアで最も優れた吟誊詩人であり、
    同時に、最も優れた将軍でもあるのだね」

    むオンは、
    そこで蚀葉を倱いたす。

    ゜クラテスは、
    怒鳎ったわけではありたせん。

    ただ、
    むオン自身の蚀葉を、
    そのたた先ぞ進めただけです。

    むオンには、
    ホメロスを語る才胜がありたした。

    それは本物です。

    けれど、
    その才胜が䜕なのか。

    どこたでが語る力で、
    どこからが本圓に知っおいるこずなのか。

    むオンは、
    最埌たで説明できたせんでした。

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    プラトン党集第10巻むオン

    【人物デヌタ】

    名前 むオン
    生没 玀元前5侖简頃
    出身 ゚ペ゜ス
    立堎 吟誊詩人ラプ゜ヌドス
    䜜品 プラトン『むオン』

    ■ どんな人物
    ホメロスの詩を人前で語る専門家。

    叀代ギリシアでは、
    『むリアス』『オデュッセむア』のような叙事詩を、
    声ず挔技で語る吟誊詩人が人気を集めおいたした。

    むオンはその䞭でも、
    倧䌚優勝経隓を持぀有名な語り手ずしお登堎したす。

    ■ 特城
    ・ホメロスに぀いお圧倒的な自信を持぀
    ・芳客を感動させる力が非垞に匷い
    ・他の詩人になるず急に匱くなる
    ・「本圓に理解しお語っおいるのか」を゜クラテスに問われる
    ・感動させる才胜ず、知識の違いを象城する人物

    ■ 『むオン』で重芁なテヌマ
    ① 語る力ず知識は同じか
    → 感動させられおも、
     本圓に理解しおいるずは限らない。

    ② 神がかり霊感
    → ゜クラテスは、
     むオンの力を「技術」ではなく、
     神から来る熱狂だず説明する。

    ③ 磁石の比喩
    → 神 → 詩人 → 吟誊詩人 → 芳客
     ずいう圢で感情が連鎖する。

    ■ 有名な堎面
    ・「ホメロスの話になるず目が茝く」
    ・磁石の鎖の比喩
    ・「吟誊詩人は将軍でもある」
     ずいう流れで远い詰められる堎面

    ■ むオンずいう人物の面癜さ
    むオンは無胜ではありたせん。

    むしろ、
    人を感動させる本物の才胜を持っおいたす。

    しかし、
    その力が䜕なのかを、
    自分で説明できない。

    だから『むオン』は、
    単なる“論砎劇”ではなく、

    「人を動かす力ずは䜕か」

    を考え続ける察話篇になっおいたす。

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    ニコ

     
     
    やぁやぁ、ニコです( â€¢Ï‰â€¢àž…) 1日1蚘事朝7時ごろ曎新。 哲孊神話歎史の基瀎から1日1蚘事 ゆヌヌヌくり楜しんで 勉匷しおいきたしょう📚 映画アニメの元ネタたくさんあっお楜しいよ

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