
【ギリシア哲学】『クラテュロス①』
〖はじめに〗
「同じ川に二度入ることはできない」
ヘラクレイトスの有名な言葉です。
世界は絶えず変化している、という思想です。
この考えをさらに極端まで押し進めた哲学者がいます。
それが――クラテュロスです。
彼は最終的に、
語ることをやめた
と伝えられています。
理由は単純です。
世界が変わり続けるなら
言葉は対象を固定できない
つまり
言葉は世界に追いつけない
と考えたのです。

① ヘラクレイトス思想の徹底化
ヘラクレイトスは言いました。
• 世界は流転する
• 万物は変化する
クラテュロスはこれをさらに強めます。
• 変化はさらに激しい
• 同一性は成立しない
有名な違いがあります。
ヘラクレイトス
「同じ川に二度入れない」
クラテュロス
「同じ川に一度も入れない」
川に入った瞬間、
水も自分もすでに変わっているからです。

② なぜ語れなくなるのか
クラテュロスの問題はここにあります。
言葉は対象を固定する
しかし世界は常に変化する
すると
• 名前は古くなる
• 記述はズレる
• 概念は固定しすぎる
結論
正しく語ることはできない
古代の伝承では、
彼は言葉をやめ、
指差しで示すだけになった
とされています。
(アリストテレス『形而上学』による伝承)
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③ 名前は本質に一致すべき
クラテュロスは
正しい名前は対象の本質を表すべきだ
と考えました。
問いはこうです。
• 名前は単なる約束か
• 名前は本質を表すのか
しかし彼の場合、
世界が変化し続けるなら
本質も固定できない
結果として
言語そのものが成立しない
という極端な立場へ至りました。
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④ プラトンへの影響
古代の記録では、
プラトンは青年期に
クラテュロスから学んだ
と伝えられています。
もしそうなら、
• 変化哲学
• 言語問題
• 本質問題
はプラトン哲学の原体験の一つになります。
実際、プラトンの対話篇
『クラテュロス』は
名前と本質の問題を扱っています。
