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《新NISA1️⃣》「貯金だけでは老後を生き残れない」——新NISAが誕生した本当の理由と、始めない人が払うコスト

    貯金1,000万円の人が「負けている」現実

    真面目に働き、毎月コツコツと貯金を続けてきた。気づけば口座残高は1,000万円を超えた。

    しかし、その1,000万円は本当に「増えている」のか。

    2020年から2024年にかけて、日本の物価は約10%上昇した。つまりかつて100万円で買えたものが、今は110万円必要だ。一方で銀行の普通預金金利は0.001〜0.1%程度に過ぎない。

    1,000万円を5年間普通預金に預けた場合の利息は、せいぜい数千円〜数万円だ。しかし物価上昇によって目減りした購買力は約100万円分になる。

    貯金をしているのに、実質的に損をしている。

    これが現代の日本における「貯金神話の崩壊」の実態だ。


    なぜ今、政府は「投資しろ」と言うのか

    2024年から始まった新NISAは、国が「貯蓄から投資へ」という政策転換を強力に進める象徴だ。

    背景には3つの構造的な問題がある。

    問題1:公的年金の給付水準低下
    少子高齢化が進む中、現役世代が減り年金受給者が増える。将来の年金額が現在より低くなる可能性は、政府自身が認めている。

    問題2:退職金の消滅
    終身雇用・退職金制度を維持できなくなる企業が増えている。「会社が老後の面倒を見てくれる時代」は終わりつつある。

    問題3:長寿化とインフレの同時進行
    人生100年時代に、インフレで現金の価値が下がる環境の中、「貯めるだけ」では資産が持たない。

    政府が新NISAという「非課税投資制度」を拡充したのは、国民に「自分の資産は自分で増やしてほしい」というメッセージを制度で示したと解釈すべきだ。


    始めない人が払う「見えないコスト」

    「投資は怖い」「損したら嫌だ」「よくわからない」——こう感じてNISAを始めない人は多い。

    しかし「始めない選択」にも、確実なコストが存在する。

    たとえば毎月3万円を30年間、年率5%(S&P500の長期平均に近い水準)で運用した場合の試算をしよう。

    投資元本の合計は1,080万円だ。30年後の資産は約2,496万円になる。

    しかし同じ3万円を30年間ただ貯金した場合、1,080万円のままだ(利息を無視)。

    差額は約1,416万円だ。

    この差額が「始めなかったコスト」であり、誰かに奪われたわけでも、リスクを取った結果でもない。ただ「何もしなかったこと」の結果だ。


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    新NISAは「特別な人のための制度」ではない

    「投資は余裕資金がある人のもの」というイメージが根強い。

    しかし新NISAは月100円から始められる。証券口座さえ開けば、スマートフォンだけで手続きが完結する。難しい銘柄選定も、世界中に分散投資するインデックスファンド1本を積み立てるだけで完結する。

    このシリーズでは、投資経験ゼロの方が新NISAを「正しく・安全に・継続して」使えるようになることを目標にする。難しい専門用語は使わない。「まず何をすべきか」という行動レベルで解説していく。

    次回は新NISAの仕組みを、制度の全体像から整理する。


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    全10話(本総集編含む)で完結です。
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