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メルヘンチック⑀効分

執筆日⑀2026幎10月01日

 バレンタむンデヌが今幎もやっおきた。蚀うたでもない。ゎリの生たれためでたい日でもある。でも圌はい぀も孀独な誕生日を過ごしおきた。きっず今幎も䟋幎通りだろう。

 圌女の千代は、この日も仕事ぞ行く俺に察しブツブツず䞍満を蚀った。高校生ず違うのだからず説埗しお、今日もワヌプロをカタカタ打っおいる。

 うちの䌚瀟にはキャンペヌンガヌルも倚数いるので、こういう日は愚痎をこがしおくる女が倚い。

「神嚁さヌん 。ちょっず聞いお䞋さいよヌ」

 この間、キャンペヌンガヌルずしお入ったばかりの女子短倧生の畑みずきが近付いおきた。俺は男䞉兄匟だったので、こんな子が効だったらいいなずいう感芚で可愛がっおいる。ダキモチ焌きの千代にはこの子のこずは話しおいない。圌女は䜕かず俺に懐いおいた。

「おう、みずきちゃん。䜕かあったのかい」

「今日バレンタむンデヌだず蚀うのに、二ヶ月間付き合っおた圌氏に昚日フラれちゃったんですよヌ。信じられないず思いたせん」

「それで今日、仕事のシフトを急に入れおたんだ。ありゃりゃ、可哀想に  」

「じゃあ、神嚁さん。今日仕事終わったらご飯ご銳走しお䞋さいよヌ」

「䜕でそうなるんだよ」

「だっおご飯でも奢っおもらわないず私、可哀盞じゃないですか。ちゃんずチョコレヌトぐらいプレれント臎したすから。いいでしょ、ね」

 俺には珟圚圌女がいるが、バレンタむンデヌも仕事だず蚀ったら怒っお、電話も出おくれなくなり、お互い気たずくなっおいたので、仕事終わったあずの予定は空いおいた。効のように可愛がっおいる子からの誘いだし、仕事終わっおから䞀緒に食事に行く玄束ぐらいいいだろう。

 その日は畑みずきずの玄束もあるので定時の五時に䞊がる぀もりでいたが、忙しくお䞉時間も残業になっおしたった。みずきの奎、こんな遅くなっちゃ、きっず怒っおいるだろうな  。

 䌚瀟から出おトボトボ道を歩いおいるず、背埌から突然声を掛けられた。

「もヌ、遅過ぎですよヌ」

 声の䞻は畑みずきだった。䌚瀟の近くの公園にあるベンチで、今たで俺を埅っおいたのだろうか。ちょっずした眪の意識に駆られる。

「ごめん、ごめん。どうしおも仕事が忙しくなっちゃっおね」

「同じ䌚瀟にいるから、そのぐらい分かっおたすよ。い぀も神嚁さんお忙しそうだもんね。ずころで今日は䜕をご銳走しおくれるんですか」

「䜕でもいいよ。君の奜きなもので」

「じゃヌこの間、芋぀けたお排萜なレストランあるんですよヌ。そこでいいですか」

「はいはい、構わないですよ」

 みずきの蚀うお排萜なレストランは、実際に来おみるず本圓にお排萜なレストランだった。俺たちは䞭に入り、スパヌクリングワむンを泚文する。

「はい、神嚁さん。矩理チョコでヌす」

「嫌な枡し方だな。たヌいいや、ありがずさん」

 料理を遞び終わる頃にはワむンも届き、早速也杯する。

「おいしヌ」

 そう蚀うみずきの顔は笑顔でいっぱいだった。芋おいるず、こっちたで楜しくなっおくる。

 料理も食べ終わり、食埌のコヌヒヌを飲みながら談話をしおいるず、みずきが俺に尋ねおきた。

「神嚁さん、圌女さんずはうたくいっおるんですか」

「いっおたら、こんなバレンタむンデヌに畑さんずこの時間、䞀緒に食事しおる蚳ないだろう 今日、仕事だっお蚀ったら怒っお逢っおくれないんだ」

「倧倉ですねヌ」

「たヌ、色々ずね」

「私もそういう圌氏ずのやり取りが欲しいなヌ 。ねヌ、神嚁さんの友達で今、誰かで圌女募集䞭の人っおいないんですか」

 真っ先に頭の䞭で思い぀いたのがゎリだった。慌おお掻き消す。

「うヌん、どうだかね  」

「り゜だ 今、誰かいるっおいうような顔しおたしたよ」

 女は時にずおも鋭くなる時がある。ここは玠盎に癜状するしかない。

「たあ、いないず蚀えば嘘になるけど  」

「じゃあ、私に玹介しお䞋さいよヌ」

 効のように可愛がっおいる畑みずきをあのゎリに  。

 䜕だか耇雑な気分だった。

「駄目なんですか」

「いや、駄目っお事はないよ」

「じゃあ、い぀玹介しおくれるんですか」

「うヌん  」

「私、今週の土曜ず日曜なら予定空いおるんで、その時に玹介しお䞋さいよヌ」

 この子に匷く頌たれるず、俺は䜕故か拒めなかった。こうなっおしたったら仕方ない  。

「分かったよ。俺の友達に䌝えずくよ」

「やったヌ。じゃあ、入り口の所に写ルンですがあったから、早速買っお撮らなくちゃ」

「䜕で」

「実際に䌚っおから、こい぀はタむプじゃないっお蚀われたら悲しいじゃないですか」

「気が早いなヌ  」

「こういうのはタむミングが倧事ですからね」

 䌚蚈を枈たせるず、みずきはレゞ暪に眮いおあった写ルンですを買い、自分を撮るようにせがんできた。店の前で䜕枚もシャッタヌを切らされ、「ちゃんず可愛く撮っお䞋さいよヌ」ずポヌズを倉えられる。

「倧䞈倫だよ。䞀応この写真を芋せながら、ちゃんずフォロヌしおおくから」

「ほんず お願いしたすねヌ」

「任せずきなっお」

 翌日、䌚瀟垰りに写真屋ぞ寄り、䞀時間仕䞊げでフィルムを珟像に出した。時間を朰しおから受け取り、店の前で袋を開けおみる。

 ピントは甘く、フラッシュで顔は癜く飛び、䞉枚目には俺の指が思い切り写り蟌んでいた。

 畑みずきは俺から芋おもかなり可愛い郚類に入るが、それでも写真の出来は酷いものだった。撮ったのは俺なのだが、この写真を芋せお玹介するず蚀っおも、喜びそうなのはゎリぐらいしか思い぀かない。

 の䌚長の名に掛けお、あい぀にはうたく蚀っおおけばいいか。家に垰っおから、ゎリに電話を掛けおみる。

「もしもし、岩厎ですけど  」

「おう、ゎリか。おたえにいい話を持っおきたんだ」

「䜕の」

「女の子の玹介話」

「ほんずかよ」

「ほんずだっお」

「りン臭いな  」

「それを蚀うなら胡散臭いだろ。たあいいや、今から䌚えるか 写真もあるんだけど」

「ああ、芋るだけならいいよ」

 ゎリはふおくされおいるように衚面䞊芋せおいるだけで、内心嬉しいに違いない。ここらで少し匕いおみるか。

「別に無理にずは蚀わないよ。俺の䌚瀟のキャンペンガヌルやっおる短倧生の子で、歳はうちらの䞀個䞋。結構可愛い子だし、嫌なら他に玹介するから」

「埅およ、誰もいいなんお蚀っおないだろ」

 すぐにゎリはチンケなプラむドを捚おお、逌に掛かっおきた。

「いや、声が明らかに嫌そうだったし、無理させおも悪いしね」

「無理じゃねえよ。いいよ、今から神嚁の家に行くから埅っおろよ」

 そう蚀い終わるずゎリは電話をすぐに切った。焊るぐらいならハナッから玠盎になればいいものを  。

 すごい勢いで車を飛ばしおきたのか、ゎリは家たで䞉分で来た。電話を切っおから倧急ぎでやっおきたのだろう。

「ハヌハヌ 、しゃ、写真は」

「来るなりいきなりそれかよ」

「ほんずは無いんだろ」

「あるよ、ほれ」

 しばらくゎリは、畑みずきの写真を芋おいた。

「なあ、ゎリ。写真写りが悪いだけで、実際は本圓に可愛いよ」

「うヌん  」

 どうやら自分の頭の䞭で郜合良く思い描いおいたのずは違う様子で、生意気にもショックを受けおいるようだ。

「おいおい、俺が可愛いよっお蚀ったら、実際に可愛いのはゎリも知っおるだろ」

「うヌん  」

「ずりあえず、䌚うだけ䌚っおみればいいじゃん」

 煙草に火を点けおゆっくり煙を吐き出しながら、ただゎリは悩んでいた。

「どうしたよ、黙っちゃっお」

「ん 、ああ  」

「嫌なのか」

「これじゃあ、いいや」

 䜕だ、この野郎  。

 仮にも俺が効代わりに可愛がっおいる子を捕たえお、その台詞。

「おたえな 、蚀い方っおもんを少し考えなよ。これじゃあっおよ  」

「うヌん 、やっぱわりヌけどやめずくわ」

 これはこれで䜕だか悔しい自分がいる。

「写真写りが悪いだけで、実際は本圓に可愛いんだぞ」

「でもやっぱいいよ。そんな可愛いなら、誰か別の奎に玹介しおやればいいじゃん」

 このク゜野郎  。

 蚀うに事欠いお、䜕おいう蚀い草だ。

「分かった。別の奎にでも玹介するよ。俺が効代わりに可愛がっおる子だったから、最初にゎリぞ玹介しようず思ったんだけどね。気に入らないんじゃ仕方ないな」

「ああ、わりヌなヌ」

 たったく悪びれるわけでなく、口先だけで蚀葉を発するゎリの背䞭を芋おいるず、静かな青い炎の殺意が芜生える。

 翌日になっお䌚瀟で仕事をしおいるず、畑みずきが近付いおきた。

「神嚁さんヌ。誰か玹介しおくれる人、芋぀かりたしたか」

「ごめんね、もう少し時間もらえるかな 今週の土日には絶察に玹介するから」

「期埅しお埅っおたすよ」

「ああ、仕事に戻りな」

 みずきにああは蚀ったものの、䞀䜓、誰にこの事を振ればいいのだろうか。今日はその事で色々ず考えおしたい、仕事がほずんど手に぀かない。

 こうなったのもゎリのせいだ。あの野郎、せっかく俺が可愛い子を玹介しおやるっお蚀っおいるのに、これじゃ嫌だずか莅沢抜かしやがっお  。

 出されたオカズを黙っお喰えっお感じだ。

 家に垰っおから地元の友達関係に電話を掛けたくっおみる。倧抵の奎は圌女がいるか、ゎリが断るような女はいいよず蚀われた。これじゃ、あたりにも畑みずきが可哀盞だ。

 俺はし぀こく䜕人にも電話を蟛抱匷くしおいるず、の幹郚である小林昌圊が玹介の話にのっおきた。

「ぞヌ、神嚁が可愛いっお蚀うなら、本圓にそうなんだろ 僕、今は圌女いないからぜひその子を玹介しおくれよ」

 玠盎にそう蚀われるず、俺も嬉しかった。よくよく考えおみたら、ゎリに畑を玹介したっおうたくいく蚳がないのだ。きっず圌女も、実際に䌚ったら嫌がるだろう。

 その点を考えたら小林の方がいい。

「今週の土日のどっちか、予定空いおるか」

「どっちでもいいよ。い぀も僕、暇しおるし」

「こういうのは早いほうがいいから、土曜日にしおおこうな」

「分かった。わざわざ連絡くれおありがずうね」

 こうしお気分良く俺は電話を切る事ができた。あずは畑みずきに連絡しお圓日に二人を䌚わせるだけ。

 小林ずの電話のあず、畑に連絡するず、圌女は倧喜びしおいた。


 土曜の昌過ぎに目を芚たすず、シャワヌを济びる。今日は倕方の五時から二人を䌚わせる玄束の日だった。確か、川越垂駅の改札で五時に埅ち合わせだったよな。

 ゆっくりシャワヌを济びお、眠気をすっかり芚たす。リビングの゜ファヌに腰掛け、四時ぐらいたでたったりしおいるず、匟が俺を呌んでくる。

「兄貎ヌ」

「䜕」

「友達が来おるよ」

 誰だろう 玄関たで行くず、ゎリず䞭孊時代の同玚生の䜐々秀暹が䞀緒に立っおいた。

「䜕だ、ゎリか」

「䜕だはないだろ」

「急にどうしたんだよ」

「暇でやる事もなかったから、オッサずおたえの家に来ただけだよ」

「神嚁君、久しぶりだねヌ」

「おお、オッサ。䌚うの䜕幎ぶりだ 久しぶりだなヌ」

 䜐々秀暹は、昔から぀いおいる仇名がオッサ。その由来は分からないが、オッサにはもう䞀぀別の仇名があった。

「あれ、神嚁。オッサっお蚀うの珍しいね。い぀もはオロナミンゞュニアっお蚀っおたのにさヌ。たあ、オッサは嫌がっおるけどね。りヒヒ  」

 そう別名オロナミンゞュニア。圓時、オロナミンので『倧村厑』が出挔しおいたが、オッサは小さい時からどこか『倧村厑』に䌌たような感じがあったので、たたにオロナミンゞュニアず呌ばれおいた。

「䞭孊卒業しおから、あたり蚀われなくなっおいたのになヌ」

「そうそう、オッサにゎリ。悪いけど、今日俺は五時から予定があるから、それたでしか䞀緒にいれないよ」

「別に構わないよ。䜕か甚事でもあんの」

「この間、ゎリに俺が効代わりに可愛がっおる女を玹介するっお蚀ったろ。おたえがいいっお蚀うから、今日小林に玹介するんだよ」

「ぞヌ、そうなんだ」

 俺が今日、匕き合わせる話をしたのに、ゎリはたったく悔しがる玠振りすら芋せない。それが䜕だか悔しかった。

 その時、電話が鳎り出した。

「もしもし、神嚁ですが 」

「韍䞀  」

 蚊の鳎くような小さな声だったが、俺には誰かすぐに分かった。圌女の千代だった。この間のバレンタむンデヌの件以来、初めお千代からの連絡。

「䜕の甚だよ」

「この間は怒っちゃっおごめんなさい」

「 で、今日は電話しおきおどうしたの」

「謝ろうず思っお 。仕事柄、忙しいの分かっおお私、ワガママ蚀っちゃったから 。あれから色々考えたんだけど、やっぱり私がいけなかったなず反省したの」

「うん、たヌ 、俺も少しは気を䜿っお、バレンタむンぐらい䌑みずっずけば良かったよな。俺のほうこそ、ごめんな」

「ううん 、私こそ、ごめんね。今、韍䞀に䌚いたくなっちゃったの。これから䌚えないかな」

 䜕で今日に限っおこう色々ず急な予定が舞い蟌む 頭が痛くなっおきそうだった。

 たあ圌女である千代ず仲盎りできたのは、非垞に嬉しい事だ。

 ゎリがオッサを連れお遊びに来おくれたのも懐かしい気分になれたし、嬉しい気持ちはある。

 でも、䜕で今日に限っお䞀気に来るのだろうか。

「どうしたの、韍䞀 迷惑だったかな」

「い、いや、問題ないよ。今から千代の家たで迎えに行くよ」

「うん、埅っおるね」

「ただ、友達も今さっき来ちゃっお䞀緒なんだけどいいかな」

「うん、党然構わないよ。ごめんね、ワガママばっかり蚀っお  」

「党然、䜕蚀っおんだっお。俺だっお友達に千代を玹介したかったずいうのも前から思っおたし、ちょうどいいよ。じゃあ、これから行くね」

 電話を切っおから、ゎリずオッサに頭を䞋げる。

「ねえ、今の電話の内容聞いたでしょ 頌む。これから女を向かいに行くけど、口裏をうたく合わせおくれないか あい぀凄いダキモチ焌きだから、俺が玹介ずはいえ他の女ず関わるのをすごい嫌うんだ」

「たあ、こういう堎合じゃ、しょうがねヌよな。じゃあ、俺の車で千代ちゃんを向かいぞ行くずするか」

「悪いな、ゎリ」

 こうしお俺ずゎリずオッサの䞉人は川越の隣町である川島に䜏む、俺の圌女を迎えに行く事になった。千代を迎えに行っお垰るのを考えるず、玄束の五時たでギリギリだ。この際、千代にはみんな䞀緒に集たる予定だった事にしないずマズい。

「ゎリにオッサ。あのさヌ、かなり匷匕なんだけどね 。これから小林に畑みずきっお子を玹介するけど、千代がうるさいから話を合わせおほしいんだ」

「䜕お合わせりゃいいの」

「たずゎリもオッサも小林も、今日みんなで集たっお食事する予定だったっお」

「すげヌ匷匕だなヌ。その畑さんお女の子はどう説明するのよ」

「俺たちが集たる玄束をしおたら、小林が圌女を連れおきちゃったっお事にする」

「だっお今日初めおその二人は䌚うんでしょ いくら䜕でも無理があるよ」

「無理でもなんでも俺の為にみんな、話は合わせおもらう」

「あいかわらず匷匕な奎だな。たヌ、俺は別にそれで構わないよ。オッサは」

「僕も構わない」

「ありがずう。恩にきるぜ、二人ずも  」

 そこたで話すず、ゎリの車は川島に䜏む千代の家に近付いおいた。

 千代の家たで着くず、軜くゎリがクラクションを鳎らす。その音で千代は家から出おきお、俺たちの乗る車の近くに来た。

「ごめんなさい」

「俺よりもこっちにいる友達のゎリずオッサに謝っおくれよ。わざわざ俺ず千代の為に付き合っお迎えに来おくれたんだぞ」

「すいたせん、わざわざ来お頂いお  」

「い、いやヌ 。そんな気にしないでよ。なあ、オッサ」

「あ、ああ 、党然気にする事ないよ」

 二人ずも女に瞁が無い生掻を送っおいたので、俺の圌女ずはいえ異性を前にしお少し緊匵しおいた。

 ずりあえずこの堎はだが、問題はこのあずだ。いかに小林ず畑の二人に状況を理解しおもらっお協力しおもらうかである。

 二人ずも初察面、しかも今日これから玹介で䌚うずいう事になっおいるのに、突然カップルのふりができるのか  。

 いや、しおもらわないず俺が困っおしたう。絶察にそうしおもらうしかない。

 川越垂駅に着くず、俺は千代に話し掛けた。

「いい、千代 ゎリたちず、ここで埅っおお。もう䞀人友達ず埅ち合わせなんだけど、䜕かそい぀、圌女も連れおくるらしいから改札たで迎えに行っおくるから」

「うん、分かった」

 よし、第䞀関門突砎  。

 時蚈を芋るず五時たであず䞀分だった。俺は党力で駅の改札に向かう。改札たで来るず、二人の姿はただ芋えない。ただ時間にしお五分も経っおないのに、劙に長く感じた。

 倕方なので電車が到着するず、改札口は人であふれ返る。䞀人䞀人䞹念にチェックを入れおいるず、畑みずきの姿が芋えた。

「おヌい、畑さヌん」

「あ、神嚁さん」

 俺に気付いお畑が近付いおくるのず、同時に小林の姿も芋える。ひょっずしたら神様が俺に察し、うたくいくように協力しおくれおいるのかもしれない。

 二人が俺のそばに来おから、話を切り出した。

「どうも、小林。こちらが畑みずきさん。 で、こちらが小林昌圊ね」

 二人ずもはじめたしおず挚拶を亀わしおいる。お互いに少し緊匵しおいるみたいだ。

「あのさヌ、二人に俺からお願いがあるんだ。いいかい」

「どうしたんですか」

「䜕」

「俺の圌女が蚳あっお今、䞀緒にいるんだ。あず友達二人 。友達はどうでもいいんだけど、畑さんも小林も俺の圌女の前で付き合っおいるずいう事にしお欲しいんだ」

 二人ずも状況が掎めおいない様子でキョトンずしおいる。

 時間があたりない。手短に説明しなければならない。

「俺の圌女、すごいダキモチ焌きなんだよ。だから俺ず畑さんが知り合いでっお事になるず、埌々面倒なんだ。だから二人ずも俺に協力しおくれないか」

「うヌん、よく分からないんですけど、私ず小林さんでしたっけ ようするに、私たちがカップルのフリをすればいいんですよね」

「うん、お願いできるかな」

「私は問題ないですよ」

「小林は」

「うん、䜕か倉な玹介になったけど、この際仕方ないよね」

「ありがずう、二人ずも」

 よし、あずは倩に運を任せるだけ。俺は必死に心の䞭で神様に祈った。

 ゎリの車に六人がギュりギュり詰めになっお、ファミリヌレストランぞ寄る事にした。幞い小林の自宅がレストランの近くにあったので、圌は車䞀台じゃ倧倉だろうず、車を取りに行っおくれる。

「䞀緒に圌に぀いお行かなくお倧䞈倫なの」

「え、ええ 。圌が埅っお先に泚文しおろっお 。圌から急に今日䌚おうっお蚀われたんですけど、こんなに倧勢いるず思いたせんでした」

 ありがずう、畑みずき  。

 俺のさっきの話でうたい具合にアドリブを利かせお話を合わせおくれおいる。感謝しきれないぐらい玠敵な挔技だった。

「小林ずは付き合っおどれぐらいなの」

 ゎリがいらぬ、質問を畑さんにしおくる。千代がそばに居なければ、怒鳎り぀けおいるずころだった。ボロが出ないよう俺は千代の泚意を出来る限り、畑に向けないよう努める。

「千代は䜕、頌む」

「え、うヌんず 。このパスタでいいわ」

「じゃあ、俺はハンバヌグずドリアでも頌もうかな」

「食べ過ぎよう。倪っちゃうよ」

「倧䞈倫だよ、これぐらい  」

 暪目で呚りの様子をチラリず芋るず、ゎリは小林のいない間をいい事に畑に色々ず話し掛けおいる。実物を芋お、写真ずは党然違うのを理解したようだ。内心あい぀は俺の玹介を蹎っおしたい、ずおも悔んでいるのだろう。

 オロナミンゞュニアはそのやり取りを芋お、䜕を考えおいるのか薄っすらずニダけおいる。

「ただいたヌ」

 そうこうしおいる内に小林が垰っおきた。これで䜕ずかなるだろう。料理が運ばれお食べ終わったら、無責任だが俺ず千代はこの堎から退散すればいい。

 小林ず畑は即垭の停カップルずは、ずおも芋えないような名挔技。ゎリずオッサの二人は、矚たしそうに俺ず小林の䞡カップルを眺めおいた。

「みんな、食事も終わったし、そろそろ俺たちは垰るよ」

「えヌ、もう垰っちゃうの」

 たたゎリが䜙蚈な口を挟んでくる。俺は千代に芋られないように、ゎリをひず睚みするず、䌝祚を持っおレゞに向かった。みんなの分を払うのは痛い出費だが、無蚀の感謝の぀もりだった。

 玹介するず蚀ったけど、あの二人には今回悪い事をしおしたった。今床、お瀌をしなければいけないな  。

 垰り道、千代ず䞀緒に歩いおいるず、圌女はずっず無口のたただった。

「どうしたんだ、千代」

「あの畑さんお小林君の圌女の人  」

「うん、その圌女がどうかしたの」

「ずおも綺麗だったね  」

「銬鹿だなヌ 。おたえのほうが党然可愛いよ」

 俺がそう蚀うず、千代は道端で急に泣き出しおしたう。

「おい、どうしたんだよ」

「ご、ごめんね 。䜕でもない  」

「䜕でもないのに、䜕故、泣くんだよ」

 泣いお真っ赀になった瞳で、千代は俺を睚んでくる。

「あの人、小林君っお人ず付き合っおるのに、しょっちゅう韍䞀のほうばっかり芋おたんだよ そんなのおかしいよ  」

 確かに畑からしおみたら、今日玹介っお぀もりで来たのに、初察面の男䞉人の䞭にいきなり攟り蟌たれたのだ。しかも眮き去りのたた  。

 圌女の気持ちを考えるず、俺しか知り合いはいないのだから、きっず心现かったのだろう。考えるず、本圓に悪い事をしおしたった。

「気のせいだろ 考え過ぎだ  」

「今日の韍䞀、おかしいよ 。もう私、今日は垰るね  」

「お、おい 。䜕でそうなんだよ」

「知らない  」

 そう蚀い残しお、千代は俺の前から走り去っおいく。今日は本圓に螏んだり蹎ったりだ、チクショり  。


 翌日、仕事終わっおから早速小林昌圊から連絡があった。昚日の件で怒っおるのかず思ったら、かなり䞊機嫌。よほど畑みずきを気に入ったのだろうか。

「神嚁ヌ 、ありがずう。ほんずにありがずう」

「昚日は悪かったな。結局どうなったの、あのあず」

「いやヌ、畑さんっお最高だよヌ。あのステヌキをおいしそうに食べおる姿ずか芋お、䞀発でいい子なんだなっお気に入っちゃったよ」

「それは良かったな」

「神嚁のほうから圌女に僕の事をどう思っおるか、聞いおくれないかな」

「ああ、党然構わないよ。お安い埡甚だ」

「じゃあ、頌んだよ」

「あいよ、任せずきなっお」

 続けお畑みずきに電話を掛けようずするず、電話が鳎り出した。

「もしもし、神嚁ですけど」

「あ、神嚁さん。ちょっず聞いお䞋さいよヌ」

 ちょうど畑みずきからの電話だった。

「䜕かあったのかい」

「この間の小林さんいるじゃないですか」

「はいはい」

「あの時の状況は挔技でカップルを挔じたのに、小林さん䜕か勘違いしちゃったみたいで困っおるんです」

 そう蚀えば、さっき小林にあれからどうなったのか聞いおも、ハッキリ蚀わずにうたく誀魔化されたような気がする。

「困っおるず蚀うず」

「垰り道、二人きりになったら、いきなり『みずき綺麗だよ』っお呌び぀けでチュヌしようずしたり、抱き締めようずしたり 。私、いくら圌氏いなくおも、ああいう人はちょっず駄目です」

 あの倧銬鹿野郎 、人の顔を思い切り぀ぶしやがっお  。

「そうだったんだ。ごめんね、倉な奎を玹介しちゃっお  」

「圌女さんは倧䞈倫でしたか」

「い、いや 、それがあのあず泣きながら垰っおしたったんだよ。困った事に  」

「えヌっ 。䜕で、ですかヌ」

 たさかみんなでレストランにいる時、みずきが俺のほうをずっず芋おたからなんお蚀えやしない。少し口を滑らせおしたったようだ。

「あれ、どヌかしたんですか」

「俺ずちょっずした事で口喧嘩になったんだよ。別に倧した事じゃない」

「ふヌん、ならいいですけどね」

「じゃあ、小林のほうは、俺からうたく断っおおこうか」

「え、ええ。そうしおもらえるず助かりたす」

「ごめんね、今床埋め合わせしたす」

「期埅しおたすよヌ」

「じゃ、たた  」

 電話を切っお、虚脱感に襲われた。

 千代ずはたたうたくいかなくなるし、小林は俺の顔を朰すで、散々な目に遭ったような気がする。でもこのあず小林に畑みずきずの件をうたく諊めさせなければいけないし、千代ずの仲も考えなくおはいけない。頭が痛くなっおくる。

 電話機の前でそのたた色々考えおいるず、再床電話が鳎った。ひょっずしお千代からだろうか。

「はい、神嚁ですが  」

「あ、もしもし」

 聞こえおきたのはダミ声。ゎリからの電話だった。

「昚日は悪かったね。本圓にありがずう。オッサずあれから垰ったの」

「ああ、あい぀は最埌たで䜕か知らないけど、ニコニコしおたよ」

「ぞヌ、そうなんだ」

「でさヌ 、その件で䞀぀聞きたかった事があっおさ」

「昚日の事で」

「ああ」

「䜕に぀いお」

「いや 、小林は畑さんず結局うたくいったのかなず思っおね」

 嫌な気配を感じたが、嫌な事続きだったので倚分俺の気のせいだろう。

「ああ、小林の銬鹿野郎、匷匕過ぎお圌女に嫌われたらしい。俺がこれからあい぀をうたく説埗しお断らないずいけなくなったよ」

 ゎリからの返事がしばらくなかった。

「あれ、もしもし。聞こえおる」

「ああ、聞こえおるよ」

「どうかしたの」

「あのさヌ  」

「な、䜕」

 䜕でゎリのこずになるず、鋭く分かっおしたうのだろう。電話の最初に俺が感じた嫌な気配は、どうやら気のせいじゃなかったようだ。

「小林が駄目になったからっお、こんな事蚀うのもあれだけどさヌ  」

「畑みずきを実際に芋お気に入っおしたっただろ」

「よく分かるな  」

 俺の予感は、芋事的䞭。ただただ頭が痛くなりそうだ。

「あのね、君は最初に俺があれだけ蚀ったのに、畑みずきの事をこれじゃいいっお断ったんだよ。その蟺はちゃんず理解しおるの」

「あ、ああ 。わりヌず思っおるよ」

 わりヌず思っおるよじゃねぇ、このボケが  。

「ずにかく俺は小林を圌女の倉わりに、これから説埗しなきゃならないんだ。おたえの事は党郚枈んでからだ」

「䜕だよ、冷おヌなヌ」

「党然、冷たくないっお。悪いのは俺を信じなかったおたえが悪いんだ」

「協力しおくれよ。な 頌むよ。俺、おたえが効代わりに可愛がっおる女っお結構タむプなのかもしれないな」

「䜕、今さら郜合のいい事蚀っおんだよ」

「分かった、分かった 。俺の事は埌回しでいいからさヌ。な」

「分かったよ」

 これ以䞊し぀こくされおも疲れるだけなので、ずりあえず適圓に生返事をしおおく事にした。

 翌日仕事䞭、畑みずきはいなかったので少しだけホッずする。でもこれっお嫌なこずを先延ばししおいるだけなんだよな。

 暗い気分で家に垰るず、䜕故か䜐々秀暹が家の䞭にいた。

「オッサ、おたえ䜕をしおんの」

「あ、神ダン。実はさ、君のおじいさんに、僕がクリヌニングの機械の営業をしおいるず話したら、早速機械を賌入しおくれおね」

「  」

 このク゜野郎。うちのおじいちゃんの人柄の良さを逆手に取り、なおか぀俺に蚱可も取らずに。

「あ、職人さん。その機械はもう少し右に眮いお」

 俺は頭に来お、オッサの尻を蹎飛ばした。


いいなず思ったら応揎しよう