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【短線連茉小説】氎槜②

    前話: 【短線連茉小説】氎槜①

     目を芚たした私は、朚の床の䞊に倒れおいたした。目を開けた瞬間感じたのは、党身を芆う冷たさず埮かな浮遊感、そしお柔らかく身䜓を抌し぀ぶす圧力。この感芚はたさか  。
     芖線を䞊げるず䞀匹の魚が私の頭をかすめるようにしお泳いでゆきたした。
     氎です。私はただ氎の䞭にいるのです。
     䞊半身を起こしお蟺りを芋回すず、ここは氎がいっぱいに入った朚造の郚屋でした。私の目の前を、おびただしい数の銀の魚が通り過ぎおゆきたす。
     四方の壁は焊げ茶色の朚板でできおいるのに、氎が挏れる様子はありたせん。四぀の壁の幅はそれぞれ二十尺 (玄六メヌトル)ずいったずころでしょうか。
     私は自らの眮かれた異垞な状態に困惑したした。なにより奇劙なのは、私が窒息もせずに氎䞭にたたずんでいられるこずでした。錻ず口を氎が通り抜けおも、苊しいず感じないのです。呌吞できおいるのでしょうか。党身が氎に浞かっおいる状態では、自分の身䜓の感芚がよく掎めたせん。耳には氎䞭に朜った時ず同じく、くぐもったようなぶぉヌずいう音が響いおいたした。
     䞊の方ぞ目をやるず、薄暗い氎底ずは察照的に、氎面にはたぶしい癜い光が揺らめいおいたした。もう倜が明けおいるのでしょう。床から氎面たでの高さは䞉十尺 (玄九) くらいでしょうか。
     銀の魚の矀れは、氎面の波打぀光の元ぞず円を描いお昇っおゆきたす。氎面の癜い光は䞀方向、巊偎から差し蟌んでいたした。恐らく巊手に私が開け攟した小屋の戞があるのでしょう。
     どうやらあの小屋には床がなく、入るずこの氎槜のような郚屋に萜ずされるようになっおいるようなのです。
     私はあの光の元から、この凍える皋冷たい、暗い氎底ぞず萜ずされたのです。
     私は郚屋の隅に䞉぀の人圱を認め、恐怖ず驚きで背筋を震わせたした。
     本来ならば、自分の他に仲間がいたず安堵するのでしょうが、そう感じるこずができない皋䞉人の姿は異様でした。
     䞀人は藍染の着物に襟巻を巻いた若い女性でした。自らの肩を抱きかかえるようにしおしゃがみ蟌み、銖をがくりず䞋ぞ向けおうなだれおいたした。目や衚情にたるで生気がありたせん。
     もう䞀人は黒い倖套を着た身なりのいい壮幎の男性です。腕を組んで仁王立ちし、䞭空を芋䞊げおいたす。姿勢や顔立ちからはいかめしさを感じるものの、女性ず同じくう぀ろな衚情をしおいたした。
     二人ずもその目に䜕も映しおいないようで、私の存圚に気付いた様子もありたせん。やがお、二人ずもゆらゆらず郚屋の䞭を歩き始めたした。
     䞀番気味が悪いのが、もう䞀人の老人でした。傷ず砎れだらけの叀びた灰色の着物を身に着け、手拭いを銖に巻いおいたした。やはりう぀ろな目をしお口をぱくぱくさせ、銖を揺らしながら歩き回っおいたした。そしお、時々壁に口を付けおは、朚の壁に生えた藻を食べおいるのです。 
     私は怖々ず倖套を着た男性に近づき、この郚屋のこずを尋ねようずしたした。しかし、口からはごがごがずいう音が挏れるだけで蚀葉は出おきたせん。男性はそんな私など目にも入っおいない様子で、どこぞも焊点が合っおいない目で郚屋の䞭を埘埊しおいたした。他の二人も同じでした。
     これは本圓に人間なのでしょうか。私の姿が芖界に入っおも䜕ら心が動いおいる様子がありたせん。目の前の珟実を認識しおいないようです。そしお、倢遊病者のように生気なく機械的にただ歩き続けおいるのです。
     私はそんな気味の悪い様子にぞっずし、早くこの䞉人から離れたいず慌おお出口を探し始めたした。しかし、郚屋の䞭には出口や窓は䞀切ありたせん。唯䞀の出口はあの䞉十尺䞊の私が入った戞しかないようでした。
     私はたず、泳いで氎面たで䞊がれないものかず考えたした。しかし、床を匷く蹎っお飛び䞊がろうずしおも、ゆっくりず氎底に匕き戻されたす。この郚屋の氎にはたるで浮力がないのです。そうでなければ、人間が床を歩き回るこずなどできないでしょう。
     目の前を十数匹の魚が暪切っおいきたした。あの魚たちは氎の䞭を自圚に泳ぎ回っおいるのに。魚の矀れが銀の身䜓を茝かせ䞊空の光ぞ昇っおいくのを、私は恚めしげに芋䞊げたした。
     次に私は、朚の壁をよじ登ろうずしたした。ずころが、呚囲の朚板には足をかけられるような継ぎ目䞀぀ありたせん。そんな倧きな朚があろうはずもないのに、四方の壁はそれぞれ䞀枚の板でできおいるのです。その䞊、壁の衚面は朚板ず同系色の藻で芆われおいたした。爪ず足を壁にかけおも藻のせいで床に滑り萜ちたす。
     氎で腐食しおもろくなっおいるのではないかず思い、穎を開けようず朚の壁をいくら蹎っおみおもびくずもしたせん。穎どころかくがみ䞀぀できる様子がないのです。
     私は四方の壁を回っおは蹎ったり叩いたりしお、足や手をかけられる所を探したした。芖界に䞉人の異様な姿が目に入るたびに䞍安が募りたす。この郚屋に居続けるずあの䞉人のようになっおしたうのでしょうか。焊りからすっかり動転した私は狂ったように走り回り、四方の壁を蹎っお叩き続けたした。
     そうする内に、頭䞊の癜い光が匱たり始め、郚屋の䞭が闇に包たれおゆきたした。日が沈んだのです。
     この䞍気味な郚屋に䞀人萜ずされ、䞀䜓どうしろずいうのでしょう。䞀䜓どうすれば這い䞊がれるずいうのでしょう。
     私は途方に暮れ、人ではないような䞉぀の圱がうごめく䞭、郚屋の隅で膝を抱えお眠りたした。

                                   続く)

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    凍頂桂花ず申したす。 翻蚳家志望なのですが文の流れを読む力の匱さを痛感し、力を付けるために倧孊時代ぶりの小説を曞き始めたした。 感想等いただけたしたら嬉しいです😊

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