
神話統合体 標本記録簿記録番号Na-011「ナグルファル」
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[記録官I・倫理委員会付 第十一報告書 提出日:██年██月██日]
記録を開始する。
施設の外から、情報が入った。
施設の外に、情報が漏れていた。
どちらが先かは、判断できない。
I棟搬送区画にて、船状の器官が確認された。
大きさは、部屋に収まっている。
ただし、部屋の広さより、船の方が大きく見える。
計測した。
部屋の広さの方が、大きかった。
それでも、船の方が大きく見える。
見え方と、数値が、一致しない。
どちらを記録すべきか、判断できないため、両方記録する。
船体の素材を確認した。
骨だった。
人骨ではない。
断言できる根拠は、ない。
骨の一部に、爪のような構造が混じっていた。
爪の持ち主が誰かは、確認しなかった。
乗船者リストが、船体の側面に刻まれていた。
読んだ。
途中で、やめた。
最後まで読まなかった理由は、記載しない。
[外部記録 インターネット掲示板 書き込み日時:██年██月██日 02:17]
スレッドタイトル:「この辺に変な施設ない?」
書き込み:
「地元の人間です。
三年くらい前から、夜中に大型車両が通るようになった。
行き先が、山の方向。
山には何もないはずなんだけど。」
返信:
「それ知ってる。
知り合いが働いてたって言ってた。
辞めてから様子がおかしくなった。
何があったか聞いたら、何も答えなかった。」
返信:
「施設の名前わかる人いる?」
返信:
「検索しても出てこない。
でも、確かにある。
行ったことある人なら、わかるはず。」
返信:
「行ったことある、とは言えない。
でも、帰ってきたことはある。」
スレッド、以降の書き込みなし。
[記録官I・続き]
外部の書き込みが、施設に転送されてきた。
転送元は、今回も記載されていなかった。
「帰ってきたことはある」という書き込みの意味を、考えた。
考えるのを、やめた。

乗船者リストを、もう一度確認した。
前回確認時より、名前が増えていた。
何行増えたかは、数えなかった。
最後の名前だけ、見た。
読めなかった。
読めなかったのか、読まなかったのかは、自分でもわからない。
記録官I 追記:
第一報から数えて、十一回記録した。
最初の記録と、今の記録を読み比べた。
文体は、同じだ。
書いている者が同じかどうかは、判断できない。
同じであってほしいと思う気持ちが、まだある。
まだある、ということを、記録しておく。
記録官I
翌朝、I棟搬送区画を確認した。
船は、あった。
ただし、向きが変わっていた。
出口の方を、向いていた。
昨日、出口はなかった。
今日、出口がある。
どこに向かう出口かは、確認しなかった。
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記録番号:B-012
標本名:「ブラフマーの四つの顔」
分類:観測器官 / 終端確認 / 処置:記録せよ
四方を見る神は、終わりを見ている。
最後の記録は、声で残されていた。
再生した者は、まだいない。
記録官Iの名前が、
乗船者リストの最後から二番目にあった。
最後の名前は、まだ、空白だった。
次回公開:[金曜日]
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