
え、何が?反映さん。 #03 勤務と就職活動
履歴書とペンを机に出した。
「おはよう、汐留」
反映さんが出勤してきた。
「履歴書なんか書いてどうしたのさ」
「いずれはどこかに就職したいので」
反映さんは座布団に腰を下ろした。
「汐留がそんなに頑張っているなら、俺もやらないとな」
反映さんは紙を用意し、何かを書き始めた。僕は無意識に反映さんの手元をチラチラとみていた。
「よし、できたぞ、見てくれ汐留」
反映さんは、僕に紙を渡してきた。
・本当の意味で街を練り歩く
・二度寝はしても二度見はしない
・あの件に至ってはもう手遅れだ
・どうか、人肌の温もりをください
「なにこれ」
「今年の活動内容だ」
反映さんは無言で頷いた。
「本当の意味で街を練り歩くって、どういうことですか?」
反映さんは一度、顔をしかめた。
「じゃあ、今から行くか」
「え、店は」
「いいよ、どうせ誰も来ないから」
僕は反映さんについていった。少し歩くと街の電気屋に着いた。
「ここはでかいテレビがあるからな」
反映さんは液晶テレビの前で立ち止まり、流れている番組を見始めた。
「あー環太平洋があれなのねぇ。物騒な世の中だねぇ、ふむふむ」
しばらくして反映さんはマッサージチェアに座り、スイッチを入れた。マッサージチェアが動き出すと、反映さんから「ああぁ」と声が漏れ始めた。
僕は一通り店内を見て周った。
戻ってくると反映さんは寝ていた。マッサージチェアの動きが止まると反映さんは起き上がった。
「こんなことをしている場合じゃない」
反映さんは小走りで外へ向かった。僕はついていく。
「どうしていつもこうなんだ」
反映さんは拳を地面についた。
「西陽がっ、西陽がっ」
反映さんは涙を流し、嗚咽した。西陽が差し込んでいた。
反映さんは、しばらく肩で呼吸をしていた。呼吸が落ち着くと立ち上がった。そして西陽に向かい、大きく息を吸い込んだ。
「のびる影 飛ぶ鳥黒い 差す西陽 野田と田所 サドル盗まれ」
僕は反映さんの背中を見ていた。