メむンコンテンツぞスキップ

「平壌ぞ至る道」第話

    ≪あらすじ≫
    䞀九九䞉幎。北朝鮮に嚘を拉臎された譊官、同囜に持垫の兄を拿捕された氎産業者、日本ぞの垰化を機にか぀おの同胞から党おを奪われた元朝鮮総連幹郚の䞉人は、拉臎被害者家族集䌚を通しお知り合い、同囜政暩䞎党、朝鮮劎働党の建物爆砎を蚈画する。その過皋で玹介された圚日朝鮮人の鄭盞慶ずいう若者を工䜜員に仕立おあげ、北朝鮮ぞ密航させるための蚓緎を斜すが、テロ行為は結局新たな憎しみの連鎖を生むだけず感じる鄭は、代わっお金日成の銅像の錻䞋にヒトラヌを芋立おたチョビ髭をむタズラ描きし、誰も肉䜓的に傷぀けるこずのない埩讐を提案する。
    半幎埌、鄭は芚醒剀取匕の船を利甚し、北朝鮮ぞ密入囜を果たす。

    第話

    䞀九九䞉幎十月 倧阪

     男は垃斜駅近くの现い路地でタクシヌを降りた。
     深倜二時十五分。呚囲に人の気配はない。それでも自然ず足早になり、金韍掙のアパヌトに着く頃には、皮ゞャンパヌの䞋に滲む汗を感じた。
     モルタル造りの二階、韍掙の郚屋の鍵。ドアの䞋に䞊んだ怍朚鉢の、右から䞉番目。そこにはサボテンが怍えおある。こんなトゲの塊の䞋に隠しよるずは誰も思わんやろ、そう韍掙が笑っおいたこずを芚えおいる。
     男はゞャンパヌのポケットからスキヌ甚手袋を取り出しお嵌め、サボテンを匕っこ抜いた。怍朚鉢の底、泥にたみれた茶封筒の䞭から取り出した鍵を鍵穎に入れようずする刹那、ふず思い出した。
     郵䟿受けの䞋をたさぐっおみる。
     そこにはガムテヌプの残骞しかなかった。

    「人ん家に忍び蟌む時はな」
     蚘憶の䞭の金韍掙はい぀も薄い笑顔を顔に貌り぀かせおいる。郵䟿受けの䞋をたず探しおみい、鍵をテヌプ留めしおる奎が倚いんや。アホばっかしやで、この囜は。
    「そやから、ワシらもわざずアむツらをおちょくっおやらんずな」
     そしお韍掙は自分の郵䟿受けにも同じような措眮を斜した。䞖間の有象無象ず違っおいるのはただ䞀点、それが郚屋の鍵ではないずいうこずだけだった。
    「アむツらがここに来お、同じように鍵を芋぀けお、䜕や韍掙もただの間抜けやなずか蚀いながら、いざ穎にぶっ挿そうずしたら党然合わぞん、その時の連䞭の顔を想像しおみい」
     その鍵が消えおいる。男は静かにドアノブを回した。扉を匕いおみる。動かない。怍朚鉢から取り出した、「本物の」鍵を挿す。

     ドアを半分開けたたた、倖からの月明かりを郚屋の䞭に滑り蟌たせ、きっちり䞉分埅っお䞭に入る。扉を閉め、ロックする。畳の黎臭さが錻腔を぀く。 
     裞電球を぀けるたでもなく、姿を消した叀い友人が残した手掛かりなど、この郚屋には䜕も残っおいないこずは瞭然だった。
     敷きっ攟しの垃団に身を朜らせ、男は取り敢えず眠ろうずした。畳ず同じように臭く冷たい垃団の感觊を、努めお意識しないようにしお。

     ドアノブを回す音がした時、すぐに䜓を起こすこずができたのは、結局眠れなかったこずが自分に䞎えた僥倖だず思った。腕時蚈の倜光塗料は四時半を指しおいる。
     窓の倖、真䞋の路地。芋匵りの小僧が二人、姿を隠すこずもなく、こちらを芋䞊げおいた。
     二人
     血が䞀瞬逆流する。この俺ず察峙するのに、助倪刀にガキ二人だけ
     ドアノブを回すがちゃがちゃずいう音が、埐々に激しく、倧きくなっおいる。「鄭盞慶
     聞き慣れた叫び声。心なしか䞊ずっおいるのは、俺を芋぀けた喜びからか、俺ず察峙する恐怖からか。
     男は躊躇せず、窓から身を躍らせた。割れたガラスが頬を切る。凍お付いた空気にそこだけ、じんわりず枩もりを感じた。突然の出来事に小僧二人の衚情が歪むのを芖界の隅がずらえた。
     男は巊膝を䞊げ、小僧に察しおハむキックの䜓勢を取った。小僧は慌おお䞡腕を揃え、右顔面をガヌドする。それで、こい぀が倚少なりずも栌闘技の経隓があるこずは分かった。恐らく連䞭の門䞋生。
     それなら手心は䞍芁だ。
     抱えた巊足を、思い切り䞋に振りぬいた。足先が目の前の盞手の脇腹にめり蟌む。そのたた敵の䜓は地面ぞず倒れた。
     もう䞀人の芋匵り圹、小僧がゞャックナむフを手に、県を血走らせおいる。
     ドアを蹎砎っお郚屋に入っおきたのだろう、韍掙の郚屋の割れた窓ガラスから坊䞻頭が顔を出した。
    「信掛䜕びびっずんのや」
     そうか、この小僧は、恐れ倚くも力道山の本名ず同じ名前なのか。
     男が近づいた分だけ、信掛が埌ずさる。男は声をかけた。「おい」
     それだけで信掛の党身は、電流を圓おられたようにビクリず硬盎した。
    「オマ゚、そんなオモチャで俺をどうにかできるず思ったか」
     返事はない。聞こえおくるのはアパヌトの二階から繰り返される喚き声だけだ。倜明け前に窓ガラスが割れ、ク゜坊䞻頭がぎゃあぎゃあ叫んだずころで、誰も目を芚たしはしない。誰もカヌテンを開けたりはしない。
     ここは、そういう地域だ。
    「俺にナむフを預けたら、この堎は芋逃しおやる」
     小僧が、ちらりずアパヌトの窓を䌺った。それが男の神経に障った。
    「オマ゚、俺のこず知っおんねやろ」
     玠早く小僧が頷く。
    「じゃあ、あの坊䞻ず俺ず、どっちが怖いか、刀断぀くよな芋おみい、アむツが今やっおるこず蚀うたら、二階の郚屋から指瀺出すだけの、文字通り高みの芋物や。自分が䞋りおきお俺ずやり合うだけの根性もない。オマ゚、ほんたにそんな男の蚀いなりでええんか」
     小僧が睚み぀けおくる。男が呟く、なんやその県は
     信掛は簡単に芖線を萜ずした。
    「ここで俺を逃がしお、埌で腕䞀本折られるだけで枈たすか、いらん男気発揮しお今ここで俺からアバラ党郚いおこたされるか、奜きな方を遞べや」
     盞手は俯いたたた、ナむフを持った右手を差し出しおきた。
     苊もなくそれを受け取り、屈蟱に震える若者の肩を軜く叩いお、男はその堎を立ち去ろうずヌその時、ヒステリックに続く坊䞻頭の声が、決定的な蚀葉を玡いだ。
     信掛 䜕しずんじゃこらあ韍掙をやった時みたいにせんかいや
     男は足を止めた。䞀本䞀本、党身の毛が逆立っおいくようだった。
     振り返った男の匷匵った顔。信掛はその堎にぞたり蟌んだ。
    「こ、殺しおはおら」
     口䞊が最埌たで述べられるこずはなかった。脇腹にナむフを突き立おられながら喋り続けるのは簡単なこずではない。
     過床の緊匵が小僧の心拍数を抌し䞊げおいたのか、傷口からは噎氎のように血が溢れ出し、やがお党身の痙攣が始たった。二十幎にも満たないず思われる某信掛の人生は、そしおこの小汚い路地で終焉を迎えようずしおいる。
     アパヌトからの叫び声がやんだ。
     男はナむフを抜き取り、攟り投げ、歩き去った。ここには二床ず垰っおくるこずもない。自分の拠り所は、もうあず䞀箇所しか残されおいないが、その人に過床な迷惑はかけられない。
     ここで死んでしたうのも䞀぀の人生か。
    「誰でもええわ、さっさず襲っおこいや。喜んで刺されたるわ」
     癜みはじめた東倧阪の空。返事はない。
     男はゆっくりず歩き続けた。

    第2話URL

    第3話URL

    第4話URL

    第5話URL

    第6話URL

    第7話URL

    第8話URL

    第9話URL

    第10話URL

    第11話URL

    第12話URL

    第13話URL

    第14話URL

    第15話URL

    第16話URL

    第17話URL

    第18話URL

    第19話URL

    第20話URL

    第21話URL

    第22話URL

    第23話URL

    第24話URL

    第25話URL

    第26話URL

    第27話URL

    第28話URL

    第29話URL

    第30話URL



     
     
    こんにちは。ペンネヌムからもお分かりのように、猫奜きのおじさんです。はよく分からないので䞀切やっおたせん。若い時はキックボクシングゞム、珟圚の趣味は薪割りです。宜しくお願いしたす。

    あなたぞのおすすめ