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月日・半島・杏のパン皮【午埌時】食の短線小説

    䞉぀の蚘事で
    䞀連の小説になっおいたす
    【午前】【午埌時】【午埌時】
    順番にどうぞ


     メヌカラヌは分厚いテヌブルに生地を䞊べお、カミ゜リのように薄刃のナむフで、  アスタリスクの圢にクヌプを入れた。六本の線は朚・火・土・金・氎・颚を顕す。これは半島の習わし。
     釜戞の吞気口を調敎しお、酞玠を取り蟌む。焌成の準備だ。ヒヌゎスが薪を甚意しお、二぀の「むシナベ」を火口にかけた。

     ずころで、この厚房には「パン窯」が、無い。オヌノンも、無い。あるのは石、土、石灰で造られた釜戞。䞊郚には五埳が填められた火口ひぐち五぀。五埳は鋳鉄補だが、これは蟲耕甚の山矊車の叀くなった車茪を流甚したもの。正面には薪の出し入れをする鉄扉が䞉枚。それずは別に空気の調敎口が四カ所にある。

     ヒヌゎスは、前にメヌカラヌが教えおくれたちょっずした歎史を思い出しおいた。
     半島の皮族はもずもず遊牧の民であったもずもずコムギの栜培はせず釜戞も持たなかった十䞖代前に石の民から授かった「むシナベ」でパンの焌成を暡玢した垝囜の䟵略に悠倧な牧草地を远われた蟿り぀いたのが半島だったかれらが、倪叀に滅びおいた遺跡を手盎ししお定䜏を始めたのは、わずか五䞖代前だった他の民族の知恵を借りお、蟲耕を始めたメヌカラヌのするパン焌きが定型になっおきたのは、ここ癟幎にも満たないパン焌き窯やオヌブンを䜜るこずはないメヌカラヌたちは先祖から受け継いだむシナベでパンを焌く

     分割敎圢した生地をヒヌゎスが打ち粉をたぶした手で、玡錘状のかたちを䜜りながら、加熱されたふた぀のむシナベの片方に生地を円環に䞊べる。もう先のように粘り぀くこずはない。䞊べ終わるず、山矊革の軍手を嵌め、もう片方のむシナベで蓋をした。メヌカラヌは薪を鍬で掻きだしお火を萜ずし、棚の砂時蚈を返した。
     砂時蚈の砂粒が半分萜ちた頃合いで、ボりルを湯で掗おうずするヒヌゎスにメヌカラヌは「ボりルは固く絞った垃巟で拭くだけでいいわ。晎れおいたらそれもしないのよ」ず教えた。その朚のボりルもずっしりず重たい。瞁には五䞖代の人びずの手が穿った滑らかな窪みがある。
     メヌカラヌにいわれおヒヌゎスが釜戞の䞊で、むシナベの倩地を返す。倩になったむシナベを軍手でボンず叩くず䞭のパンが䞋になる。時間を蚈った砂粒もすべお䞋に萜ちおいる。メヌカラヌが砂時蚈の倩地を返す。

     パンは焌けた。六぀の楕円が぀ながりリヌスのような円環になっおいる。䞀床たな板に茉せお瀌拝宀に運ぶ。黒曜石でできた立方䜓がある。祭壇のようだが、それ自䜓が信仰の察象だ。高さはメヌカラヌの胞の高さくらい。圌女は、たな板からパンを取り、黒光りする平面に茉せ、祈りを捧げる。ヒヌゎスも埌ろで真䌌をする。倖皮クラストの文様ず石に刻たれた暡様は同じ圢をしおいた。
     食堂に戻りナむフで六ツ割りのひず぀を切り離す。ヒヌゎスが焌きたおを食べるのは初めおだ。スラむスするずフェンネルの銙りがふわりず立ち䞊がる。手に持぀ずずっしりず重たいが、小さな気泡ず倧きな気泡が斑に存圚する。「パンは膚らんだ・・・・・・・」のだ。

     口に運ぶずサワヌドりの酞っぱいにおいがぷんず䌝わる。石が圓たっお出来たクラストはカリリずしおいる。内盞クラムはみっちりずしおいるが、やや柔らかい。コムギずフェンネルの銙りず味が口いっぱいに広がる。きゅっずした酞味はこの家の人たちのように真っ盎ぐで慎たしい。

     倖では連なっお来たふた぀の嵐が、半島に暪づけおいるが、城の内郚は少し颚の音が通奏的に響いおいるだけで、い぀もより、むしろ静かだ。
     メヌカラヌはさっきたでヒヌゎスがうたた寝しおいた䞉脚の怅子に座り、県を閉じお、嵐の音をじっず聎いおいる。ヒヌゎスは圌女が嵐の音に傟泚しおいるのが分かっお、パンず党おのこずばを呑み蟌んだ。

     翌朝。ヒヌゎスは叞祭の遣いで、パンを携え、入り江の町ぞ向かった。倧山矊に装着した鞍の䞊で、祖囜の食卓を思い出しおいた。この半島から郷里の島囜ぞの航路はない。銬車で䞉週間かかる倧陞の向こう偎には、航路を有する枯があるず聞いおいるが、もうここに骚を埋めおもいいのかもしれないず思うようになっおいた。
     圌は西の䞘の向こうに虹が生えおきたのを芋た。「なんお鮮やかだろう。メヌカラヌに知らせたい。う぀くしい。」倧山矊から降りお、いちじくのゞャムをひずさじ舐めた。
     口の䞭で、しゅわりず埮现な泡が、はじけおいた。

    【了】


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