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【絵本】Charming Prince Pierre

    姉が描いた、一冊の絵本。

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    「むかし あるところに、2本の美しいキノコにはさまれた
    美しいお城があった。
    王さまと お妃さまと 王子さまが暮らしていた。」
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    「お妃さまは とてつもなく大きなおっぱいの持ち主だった。」

    「ときどきカンシャクを起こした。
    『マシュマロを全部持ってきなさい!!!』と怒鳴った。」
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    「王子の名前は ピエール。」

    「なぜだか いつも寂しくて、退屈していた。
    いつも赤いバッグを持ち歩いていた。
    たったひとつのお気に入り。」
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    「ピエール王子は あまりにもハンサムだったから、
    街じゅうの女の子たちが夢中だった。」
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    「でも ピエール王子は誰にも興味がなかった。
    暗い道を歩いていると、3人のろくでなし姉妹に出くわした。」
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    「ショーを見においでよ、17番通りのターキーハウスで。」
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    「ターキーハウスで何が起きてるんだ???」
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    「女の子たちがカンカンを踊っていた。
    ピエール王子は なかなか面白いと思った。」
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    「ピエール王子はコルセットを着てみた。
    かなりキツかったけど——チャーミングだった。」
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    「ピエール王子はハイヒールも履いてみた。
    かなり歩きにくかったけど——刺激的だった。」
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    「突然 ピエール王子は 踊りたい衝動に駆られた。」

    「この感じは……なんだ?」
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    「そして 踊った。」

    「彼の踊りはすごいぞ!」
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    「どう見ても 史上最高に魅力的なダンサーだった。」

    「興奮した、
    すっごく興奮した、
    すーーっごく興奮した。」
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    「興奮しすぎて、倒れて、死んだ。」

    「おしまい。」


    姉の絵を、少しずつ見せていく。


    掲載作品の無断転載・複製はご遠慮ください。



    主な作品集はこちら:
    【絵本】Charming Prince Pierre
    【ペン画】ペンに籠る執念
    【デジタル画】おどろおどろしいのに落ち着く
    【油絵】ピエールの世界に生きる蛙たち
    【番外】かわいい一面もあります
    【スケッチブック】姉の死と、姉弟観と、親子観。(有料パート)


     
     
    幼少期をイギリスで、思春期をアメリカで過ごした。 帰国子女という肩書きだけが先走り、自分の輪郭はずっと曖昧なままだった。 姉を亡くし、15年以上経ってやっと、過去と向き合う気になった。 姉は絵を残した。僕は言葉を残す。

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