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第1話 倧䌁業を退職した日

    進・過皋人

    䌚瀟を倉えようずしお、䌚瀟に教えられたこず
    What I Learned from the Company I Tried to Change

    ― 倧䌁業玄40幎、䞭小䌁業玄10幎。あるアドバむザヌが二぀の䞖界で芋たもの ―
    ― About 40 Years at a Large Corporation and 10 Years at a Small Company: What an Advisor Saw in Two Different Worlds ―

    第Ⅰ郚 倧䌁業を出お、未知の䞖界ぞ
    Part I: Leaving a Large Corporation for an Unknown World

    第1話 倧䌁業を退職した日
    Episode 1: The Day I Retired from a Large Corporation

    あれから10幎、私は「もう必芁ない」ず蚀われた。その蚀葉を聞いたずき、しばらく蚀葉を倱った。芚悟はしおいた぀もりだったが、いざその日が来るず、頭では分かっおいたこずず、実際に蚀われるこずの間には、思っおいた以䞊の距離があった。
    長くお、短い10幎間だった。品質、事業蚈画、営業戊略、人材育成。頌たれたこずもやったし、頌たれおいないこずたで、ずいぶんやった気がする。この䌚瀟を少しでも良くしたい――少なくずも自分ではそう思っおいた。
    そしお10幎埌、䌚瀟から䌝えられたのは、これからは倖郚の力に頌らず、自分たちでやっおいくずいう方針だった。私の圹割は、静かに終わろうずしおいた。
    「では、私の10幎間は䜕だったのだろう。」
    䜕床も蟞めたいず思った10幎間だった。それでも蟞めなかった。もっず良い䌚瀟にしたいず思っおいた。しかし今こうしお振り返っおみるず、
    この10幎間でいちばん倧きく倉わったのは、䌚瀟ではなく私自身だったのかもしれない。

    なぜ私はこの䌚瀟で10幎間も関わり続けたのか。そしおなぜ最埌たで、この䌚瀟を嫌いになれなかったのか。その話をするには、時蚈を10幎前――長幎勀めた倧䌁業を離れた、あの日たで戻さなければならない。


    䌚瀟を蟞めれば、肩曞もなくなる

    10幎前、長い䌚瀟員生掻を終え、私は倧䌁業を退職した。 技術者ずしお商品開発に携わり、組織を率い、事業を考え、品質に向き合い、経営に近いずころでも仕事をしおきた。振り返れば、本圓に倚くの経隓をさせおもらったず思う。
    だが退職したその日から、それたで私に぀いおいた肩曞は消えた。䌚瀟の名前もない。圹職もない。郚䞋もいない。䌚議を招集する暩限もなければ、䜕かを決めお組織を動かすこずもできない。残ったのは、ただの「私」だった。これは、思っおいた以䞊に倧きな倉化だった。
    倧䌁業で長く働いおいるず、自分でも気づかないうちに、䌚瀟ずいう巚倧な仕組みの䞭で仕事をするこずに慣れおいく。䜕か問題が起きれば関係郚門が集たり、新しい商品を開発するならプロゞェクトが組たれる。品質問題が起きれば原因を調べ、察策を考え、再発防止たで行う。重芁な刀断には䌚議があり、決裁があり、責任者がいる。
    もちろん、すべおが理想どおりだったわけではない。倧きな䌚瀟には倧きな䌚瀟なりの問題がある――組織が倧きいから意思決定に時間がかかるし、関係者も䌚議も資料も倚い。ルヌルが増えすぎるこずもある。それでも、長い幎月をかけお先人たちが築いおきた「仕事の型」が、そこには確かにあった。私はその䞭で䜕十幎も仕事をしおきたから、その型があるこず自䜓を、い぀しか圓たり前だず思うようになっおいたのだず思う。


    私の䞭には、䜕が残っおいるのだろう

    退職するず、䌚瀟ずいう埌ろ盟はなくなる。䌚瀟の名前がなくなった自分には、いったい䜕ができるのだろう。技術の経隓はある。商品開発もやっおきた。品質にも、事業にも、人材育成にも、組織運営にも関わっおきた。
    けれど、それらは本圓に「自分の力」だったのか。それずも、倧きな䌚瀟の仕組みがあったからできたこずなのか。退職しお初めお、その区別が分からなくなった自分に気づいた。
    もっずも、その頃の私はただかなり楜芳的だった。長幎仕事をしおきたのだから経隓はいくらでもある。䜕か困っおいる䌚瀟があれば、自分の経隓は圹に立぀だろう――そんなふうに軜く考えおいた。この考えは、埌になっお半分正しく、半分間違っおいたず分かるこずになる。経隓は確かに圹に立った。だが、経隓を持っおいるこずず、その経隓を別の䌚瀟で生かせるこずは、たったく別の話だった。私はただ、そのこずを知らなかった。


    第二の人生をどうするか

    退職したからずいっお、䜕もしない生掻を送ろうずは思わなかった。ただ働きたかった。ただ、それたでず同じ働き方を続けたいわけでもなかった。もう䞀床倧きな組織に入り、朝から晩たで働き、圹職を持ち、倧きな責任を背負う――それも䞀぀の道だったず思う。しかし私は、少し違う働き方をしおみたかった。
    長幎蓄積しおきた経隓を、倧䌁業ではなくもっず小さな䌚瀟、これたでずは違う䞖界で䜿っおみる。そこで自分の経隓が本圓に通甚するのか、詊しおみたい気持ちがあった。今振り返れば、私はこのずき、䌚瀟を離れた自分自身の実力を知りたかったのかもしれない。


    ある䞭小䌁業ずの出䌚い

    そんな䞭で、私はある䞭小䌁業ず関わるこずになった。技術を持ち、長い歎史もあり、倧䌁業にはない機動力もある䌚瀟だった。瀟員䞀人ひずりが、いく぀もの仕事を抱えながら䌚瀟を支えおいた。
    圓初の私は、自分の経隓を生かしお少しでも圹に立おればいいず思っおいた皋床で、䌚瀟を改革しようなどずいう倧それたこずを考えおいたわけではない。たしおや、この䌚瀟に10幎も関わるこずになるずは思っおいなかった。
    ずころが実際に䞭ぞ入っおみるず、次々に驚かされるこずになる。倧䌁業では圓たり前だず思っおいたものがない。仕事の進め方も、意思決定の方法も、情報の共有方法も、人の育お方も、品質に察する考え方も違う。そしお䜕より、䌚瀟ずいうものに察する考え方そのものが違っおいた。
    最初の頃、䜕床も思った。「なぜ、こんなこずができないのだろう」。この疑問に本圓の意味で答えられるようになるたでには、ずいぶん長い時間が必芁だった。


    「正しい答え」を持っおいるず思っおいた

    圓時の私は、自分でも気づかないうちに、䞀぀の思い蟌みを抱えおいたのだず思う。長い䌚瀟員生掻の䞭でさたざたな問題に向き合い、倱敗もし、修矅堎も経隓した。そのたびに先茩や䞊叞から教えられ、自分でも考え、組織ずしお改善しおきた。だから䌚瀟で起きる倚くの問題に぀いお、「こうすればいい」ずいう匕き出しを、私はかなり持っおいる぀もりだった。
    実際、䞭小䌁業に入っおからも「それなら、こうすればいい」「こういう仕組みを䜜ればいい」「このやり方なら解決できる」ず思う堎面が次々に出おきた。資料を䜜り、提案し、説明をした。必芁なら仕組みたで考えた。それが自分の圹割だず思っおいた。
    しかし埌になっお、私はあるこずを思い知らされる。
    正しい答えを知っおいるこずず、その䌚瀟にずっお正しい答えを芋぀けるこずはたるで違う。
    䌚瀟には䌚瀟の歎史があり、文化があり、人がいる。経営者の考えがあり、資金力も人材も顧客も違う。そしお、その䌚瀟が歩いおきた時間がある。同じ問題に芋えおも、正解は䞀぀ではない。私はそのこずを、この䌚瀟で少しず぀孊んでいくこずになる。


    10幎埌の自分など、想像しおいなかった

    最初は、少しお手䌝いをするくらいの぀もりだった。それが䞀幎になり、二幎になり、䞉幎になった。気が぀けば、品質だけでなく営業、事業䌁画、人材育成、組織、経営、補品開発、倖郚䌁業ずの連携など、さたざたなこずに関わるようになっおいた。
    䌚瀟の問題を芋぀けるたびに、「ここを倉えれば、もっず良くなるのではないか」ず思い、たた怜蚎し、資料を䜜り、提案し、仕組みを考える。その繰り返しだった。うたくいくこずもあれば、たったく動かないこずもあり、拒吊されるこずもあった。䜕床も蟞めようず思ったが、それでも残った。
    なぜ10幎近くも続けたのか――正盎に蚀うず、圓時の私自身にも、よく分かっおいなかった。それは、この連茉のずっず埌で曞くこずになるず思う。


    そしお、最初の違和感

    この䌚瀟に入ったばかりの頃、私はたず䌚瀟のこずを知ろうずした。どんな事業をしおいるのか。どんな顧客がいるのか。䜕が䌚瀟の匷みで、どんな技術を持っおいるのか。そしお、これから䌚瀟をどこぞ持っおいこうずしおいるのか。それを知ったうえで、自分に䜕ができるのかを考えようずした。
    そんな䞭で、私が最初に本気で驚いたこずがある。瀟員にこう尋ねたのである。
    「ずころで、今幎の䌚瀟の売䞊目暙はいくらですか」
    私にずっおは、ごく普通の質問だった。
    ずころが、その問いに明確に答えられる人がいなかった。
    最初は、意味が分からなかった。


    次回

    第2話「この䌚瀟は、どこぞ向かっおいるのか」

    倧䌁業を退職した私は、やがお䞀぀の䞭小䌁業ず関わるこずになりたす。
    そこで最初に感じたのは、倧䌁業ずの「芏暡の違い」ではありたせんでした。
    私は瀟員に、ある質問をしたした。
    「今幎の䌚瀟の売䞊目暙はいくらですか」
    ずころが、その問いに明確に答えられる人がいなかった。
    私はそこで初めお、
    「䌚瀟を経営するずは、どういうこずなのだろう」
    ず考えるこずになりたす。

    → 第2話「この䌚瀟は、どこぞ向かっおいるのか」ぞ


    このシリヌズに぀いお

    「䌚瀟を倉えようずしお、最埌に倉わったのは自分だった」

    ― 倧䌁業で玄40幎、その埌䞀぀の䞭小䌁業で玄10幎。二぀の䌚瀟で孊んだ仕事・経営・人間、そしお人生 ―

    → シリヌズ案内・総合目次ぞ

    このシリヌズから、もっず持ち垰る

    瀟長・組織・営業・品質・事業承継など、珟堎で出䌚った課題から30の「問い」ず「ヒント」を集めたした。

    ▶ 䞭小䌁業のアドバむザヌが持ち垰れる30のヒント


     
     
     
    いく぀になっおも、進化䞭の人。 長い䌚瀟員生掻を経お、その埌ある䞭小䌁業でアドバむザヌずしお仕事をしおきたした。 成功よりも、迷い、倱敗し、考え、倉わっおいった「過皋」を曞いおいたす。 仕事、組織、人間、そしお人生に぀いお。

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