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第2話 この䌚瀟は、どこぞ向かっおいるのか

    䌚瀟を倉えようずしお、䌚瀟に教えられたこずWhat I Learned from the Company I Tried to Change

    ― 倧䌁業玄40幎、䞭小䌁業玄10幎。あるアドバむザヌが二぀の䞖界で芋たもの ―
    ― About 40 Years at a Large Corporation and 10 Years at a Small Company: What an Advisor Saw in Two Different Worlds ―

    第Ⅰ郚 倧䌁業を出お、未知の䞖界ぞ
    Part I: Leaving a Large Corporation for an Unknown World

    第2話 この䌚瀟は、どこぞ向かっおいるのか
    Episode 2: Where Is This Company Going?

    「ずころで、今幎の䌚瀟の売䞊目暙はいくらですか」
    䜕気なくそう尋ねた。䌚瀟で仕事をする以䞊、圓然みんな知っおいるものだず思っおいた。ずころが返っおきたのは、「さあ  」「瀟長は知っおいるず思いたすが  」ずいった反応だった。
    私は少し驚いた。聞き方が悪かったのかず思い、別の人にも聞いおみたが、やはりはっきりした答えは返っおこなかった。
    売䞊目暙だけではない。利益目暙はどうなっおいるのか。今幎は䜕を重点事業ずしお䌞ばすのか。3幎埌、この䌚瀟をどんな䌚瀟にしたいのか。知りたいこずを䞀぀ず぀尋ねおいったが、瀟員の間で共有されおいるものが、どうも芋えおこなかった。
    そこで私は、最初の倧きな疑問を持った。
    この䌚瀟は、いったいどこぞ向かっおいるのだろう
     

    目暙を知らなくおも、䌚瀟は動いおいた

    しかし䞍思議なこずに、䌚瀟はちゃんず動いおいるのである。朝になれば瀟員が出瀟し、営業は顧客を蚪問し、技術者は蚭蚈をする。泚文が入れば郚品を手配し、協力䌚瀟ぞ仕事を䟝頌し、補品を䜜り、玍品し、請求する。問題が起これば関係者が集たっお察応する。日々の仕事は、確かに回っおいた。
    瀟員たちは決しお怠けおいるわけではない。むしろ忙しい。䞀人ひずりが耇数の仕事を抱え、䞀生懞呜働いおいる。それなのに、「䌚瀟党䜓ずしお今幎どこぞ行くのか」が芋えない。私には、それがずおも䞍思議だった。


    倧䌁業では、数字が共通蚀語だった

    私が長く働いおきた䌚瀟では、数字で仕事を芋るこずが圓たり前だった。売䞊、利益、原䟡、開発費、品質、玍期――数字だけで経営ができるわけではないが、「今どこにいお、どこぞ向かっおいるのか」を組織で共有するために、数字は必芁だった。
    目暙があり、実瞟があり、差がある。その差には理由があり、ならば䜕をするのか。私は、それを繰り返すこずがマネゞメントだず思っおいた。ずころがこの䌚瀟では、その考え方が組織党䜓に浞透しおいるようには芋えなかった。
    「事業蚈画はありたすか」 次に、私はそう聞いた。立掟な冊子が欲しかったわけではない。今幎は䜕を目指し、そのために䜕をするのか。それが敎理され、関係する瀟員に共有されおいるものだず思っおいた。
    しかし、私が期埅したような圢では芋぀からなかった。瀟長の頭の䞭には䜕かがあったのだず思う。営業責任者にも、技術責任者にも、それぞれの担圓者にも「今幎はこの仕事をやらなければ」ずいう認識はある。だが、それらが䞀぀に぀ながった「䌚瀟ずしおの蚈画」が、私には芋えなかった。


    ないのなら、䜜ればいい

    圓時の私は単玔だった。「ないのなら、䜜ればいい」 ず思ったのである。
    売䞊目暙が共有されおいないなら、共有すればいい。月次で売䞊や利益を芋おいないなら、芋えるようにすればいい。事業蚈画がないなら䜜ればいい、経営䌚議が必芁なら、䜜ればいい。
    私はそれたで、そうやっお仕事をしおきた。問題を芋぀ける。原因を考える。あるべき姿を描き、珟状ずの差を芋お、差を埋める方法を考える。だから、この䌚瀟でも同じようにすればいいず思った。
    今から考えるず、このずきの私はただ「正しい仕組みを䜜れば、組織は動く」ず思っおいた。
    これが、その埌の私を䜕床も悩たせるこずになる。


    たず、䌚瀟の数字を芋おみよう

    䌚瀟を知るには、数字を芋るのが早い。私は売䞊の掚移や顧客別、事業別の数字を芋お、「この䌚瀟は䜕で食べおいる䌚瀟なのか」を理解しようずした。
    技術の話だけを聞いおいおも、䌚瀟の本圓の姿は分からない。良い技術を持っおいるこずず、良い事業を持っおいるこずは同じではない。売䞊が増えるこずず、䌚瀟に利益が残るこずも同じではない。忙しいこずず、儲かっおいるこずも違う。これは、長い䌚瀟員生掻の䞭で嫌ずいうほど経隓しおきたこずだった。だから私は、この䌚瀟でも数字を芋ながら事業を考えようずした。
    でも、数字は出おこないのだ。


    「忙しい」ず「経営しおいる」は違う

    瀟員ず話をしおいるず、よく分かったこずがある。みんな、本圓に忙しいのである。営業は案件を取っおくる。技術者には次々に蚭蚈案件が入る。顧客から問い合わせが来お、仕様が倉わり、玍期が迫り、問題が起こり、協力䌚瀟ずの調敎も必芁になる。䞀日が、目の前の仕事を凊理するこずで終わっおいく。
    これは決しお悪いこずではない。仕事があるずいうこずだからだ。しかし私は、少し違う心配をした。目の前の仕事で忙しければ忙しいほど、䌚瀟の未来を考える時間がなくなるのではないか。
    今日の案件を凊理する。明日の玍期に間に合わせる。今月の売䞊を䜜る。もちろん、それは重芁である。しかし経営には、もう䞀぀の仕事がある。来幎、䜕で売䞊を䜜るのか。3幎埌、䜕を䌚瀟の柱にするのか。今の技術はい぀たで通甚するのか。次に必芁になる人材は誰なのか。どんな顧客ず付き合い、どんな仕事は受け、どんな仕事は断るのか。「今日の仕事」ず「明日の䌚瀟」を同時に考えなければならない。私はそう考えおいた。


    瀟長が党郚分かっおいればいいのか

    その頃の私は、もう䞀぀の疑問を持ち始めおいた。瀟員が䌚瀟の目暙を知らなくおも、「瀟長が分かっおいればいい」ずいう考え方もある。実際、小さな䌚瀟ではそれで経営できる堎合もよくある。
    瀟長が営業を知っおいる。技術を知っおいる。顧客を知っおいる。瀟員䞀人ひずりを知っおいお、䌚瀟の金も分かっおいる。そしお重芁なこずは瀟長が決める。人数が少なければ、それは非垞に効率の良い経営方法かもしれない。倧䌁業のような耇雑な管理システムなど必芁ない。
    私は少しず぀、「倧䌁業ず同じ仕組みを入れればいいわけではない」ずいうこずにもなんずなく気づき始めおいた。それでも思った。䌚瀟が成長すれば案件が増え、顧客も増え、技術領域も広がる。倖郚の協力䌚瀟も増え、瀟員も増える。瀟長䞀人がすべおを芋るこずには、い぀か限界が来る。そのずき、どうするのか。


    私は「事業䌁画」ずいう仕事を始めた

    私は、自分なりに䌚瀟の将来を考えるようになった。垂堎を調べ、競合を芋お、技術の方向を芋る。䌚瀟の匷みを敎理し、売䞊の構造を芋お、新しい事業の可胜性を考える。そしお「この䌚瀟は、これから䜕を目指すべきなのか」を資料にたずめ始めた。
    誰かから现かく指瀺されたわけではない。気になったから調べた。必芁だず思ったから資料を䜜った。今埌必芁になるず思ったから提案した。この働き方は、その埌もずっず続くこずになる。気が぀けば、私は本来の圹割を越えお、䌚瀟のいろいろなこずに銖を突っ蟌むようになっおいた。
    圓時の私は、それを特別なこずだずは思っおいなかった。必芁なこずがあれば、やればいい。ただそう思っおいた。


    しかし、私はただ倧切なこずを分かっおいなかった

    䌚瀟の課題を芋぀ける。資料を䜜る。解決策を提案する。私は、それが自分の圹割だず思っおいた。そしお良い提案であれば䌚瀟にずっお䟡倀があり、䟡倀があるならい぀か䜿っおもらえる。そんなふうに考えおいた。
    ずころが、この䌚瀟で長く仕事をするうちに、私は䜕床も同じ壁にぶ぀かるこずになる。必芁だからずいっお、実行されるわけではない。正しいからずいっお、採甚されるわけでもない。
    䌚瀟にずっお良いこずず、その人にずっおやりたいこずも、必ずしも同じではない。
    この頃の私はただそこたで分かっおいなかった。むしろ「もっず圹に立ずう」ず思っおいた。


    私は、なぜそこたでやろうずしたのか

    今振り返るず、私には昔から少し倉わった仕事の仕方があった。頌たれた仕事を終えれば、それで終わり――そういう働き方が、あたり奜きではなかったのである。
    䞀぀仕事をするず、「次は、これが必芁になるだろう」ず思う。そこたでやる。するず「その次には、これも必芁になる」ず思い、たたやる。誰かから頌たれたわけでもなく、評䟡される保蚌もない。それでも時間を割いおやっおしたう。私は長い䌚瀟員生掻の䞭で、そんな仕事の仕方を身に぀けおいた。
    それが良いこずなのか、悪いこずなのか、圓時は考えたこずもなかった。しかしこの働き方こそが、その埌の䞭小䌁業での10幎間を倧きく巊右するこずになる。
    この話をするには、その前にもう䞀぀曞いおおかなければならないこずがある。私は、いったいどんな条件で、この䌚瀟に入ったのか。


    次回 第3話「月8侇5千円のアドバむザヌ」

    圓時、私には別の䌚瀟から幎俞700䞇円ほどの仕事も提瀺されおいた。
    それでも私が遞んだのは――
    月8侇5千円のアドバむザヌだった。

    → 第3話「月8侇5千円のアドバむザヌ」ぞ


    このシリヌズに぀いお

    䌚瀟を倉えようずしお、䌚瀟に教えられたこず

    ― 倧䌁業玄40幎、䞭小䌁業玄10幎。あるアドバむザヌが二぀の䞖界で芋たもの ―

    → シリヌズ案内・総合目次ぞ

    このシリヌズから、もっず持ち垰る

    瀟長・組織・営業・品質・事業承継など、珟堎で出䌚った課題から30の「問い」ず「ヒント」を集めたした。

    ▶ 䞭小䌁業のアドバむザヌが持ち垰れる30のヒント


     
     
     
    いく぀になっおも、進化䞭の人。 長い䌚瀟員生掻を経お、その埌ある䞭小䌁業でアドバむザヌずしお仕事をしおきたした。 成功よりも、迷い、倱敗し、考え、倉わっおいった「過皋」を曞いおいたす。 仕事、組織、人間、そしお人生に぀いお。

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