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第3話 月8万5千円のアドバイザー

    会社を変えようとして、会社に教えられたこと
    What I Learned from the Company I Tried to Change

    ― 大企業約40年、中小企業約10年。あるアドバイザーが二つの世界で見たもの ―
    ― About 40 Years at a Large Corporation and 10 Years at a Small Company: What an Advisor Saw in Two Different Worlds ―

    第Ⅰ部 大企業を出て、未知の世界へ
    Part I: Leaving a Large Corporation for an Unknown World

    第3話 月8万5千円のアドバイザー
    Episode 3: An Advisor Earning Just ¥85,000 a Month

    ※この第3話から有料編です。第1話から第2話までは無料で公開しています。シリーズ全体はこちら →[総合目次]

    私がその会社で仕事をすることになったとき、社長から提示された報酬は、月額8万5千円。(通勤費込み)非常勤だった。
    最初に聞いたとき、「顧問料としては、滅茶苦茶、安いな」と思った。というのも、当時の顧問の報酬は年500〜800万円だったからだ。

    そのころ、私は長年勤めた会社を退職し、第二の人生を始めようとしていた。商品開発、組織運営、事業、品質。約40年かけて身につけてきた経験は、会社を辞めても、どこかで役に立つだろうと思っていた。

    だから、月額8万5千円と聞いたときには少し驚いたのである。

    もっと面白いことが後から分かった。私は「顧問」として採用されたつもりだったのだが、実際の肩書は「アドバイザー」だった。


    顧問だと思っていたら、アドバイザーだった

    顧問とアドバイザー。言葉だけを見れば、大した違いではないようにも思える。だが、私には少し引っかかった。
    顧問という言葉には、少なくとも私の感覚では、会社の経営や事業について一定の経験を持つ人間が、経営者や幹部に助言するという意味合いがある。一方、アドバイザーはもう少し軽い感じがする。

    実際その通りで、社長からの期待値もそれほど高くなく、その分報酬も軽いのだろう。私は、そう暗に受け取った。
    このことは、私と社長の間で正式に確認されることもないまま、10年間も続くことになる。

    アドバイザーとは、必要なときに意見を聞く人。相談されたら助言する人。私は、そんなものだと思っていた。
    肩書など、どうでもいいと言えばどうでもいい。
    それより問題だったのは、「この会社は、私にどんな期待をしているのだろう」ということだった。私は、それを十分に確認しないまま仕事を始めてしまった。

    今になって考えると、これは小さなことではなかった。退職後に顧問やアドバイザーとして働く人にとっても、最初に確認しておいた方がいいことの一つだと思う。

    自分が期待されている役割と、会社が期待している役割。
    この二つがずれていれば、どこかで問題が起きる。
    けれど当時の私は、「まあ、仕事をしていれば分かってくるだろう」くらいに気楽に考えていた。
    これもまた、その後の10年間につながる最初の伏線だったのかもしれない。

    ただ、この月額8万5千円という選択には、まだ書いていないことが一つある。

     
     
     
    いくつになっても、進化中の人。 長い会社員生活を経て、その後ある中小企業でアドバイザーとして仕事をしてきました。 成功よりも、迷い、失敗し、考え、変わっていった「過程」を書いています。 仕事、組織、人間、そして人生について。

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