
房総往還5 元名海岸→館山宿〔完〕
房総往還は内房と呼ばれる、東京湾に面した房総半島の西海岸を通る主要道。
参勤交代・外国船警備・内房と外房を結ぶ道の発着点・内房各地の湊を繋ぐ道、様々な用途で使われました。
今回は千葉県船橋市の船橋大神宮から館山市中心部まで、約110kmを歩きます。
2026.08.18
1.元名海岸

海と富士山両方が窓から眺められる部屋、フジオーシャンビュールーム。
国内でも希少かもしれません。




房総往還は桝形がたくさん残っています。
車を運転していると、不便極まりないですが、歩いていると楽しくて仕方ありません。

ポスターを見ただけでは情報が少なくて何をやるのかわかりませんが、この我が道を行く姿がたまりません。

そして昨日から何度も目にするこの看板、こちらも情報が少ないのですが、何かが伝わってきます。


菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)。
江戸時代前期に活躍した浮世絵師で、今歩いているのは南房総の保田です。
本の挿絵に過ぎなかった浮世絵を、木版画で大量生産し、1枚の絵画作品として庶民でも手に入れやすく流通させました。
浮世絵文化の礎を築いたパイオニアです。

2.保田



飲食店の入口で名前を書く様に、釣船の予約が記入できるボードが、釣具店の前にありました。
アナログっていいですね。



ばんやは週末は行列必至の漁協直営の海鮮処です。

ばんやの入口には、店より目立つ看板、「旧車會」お断り。
見慣れない単語なので調べてみると、少年期に暴走族だった人たちが大人になり、同じ様な走り方をするものの、昼間に走ったり道路交通法を守るなど、中途半端な走り方をする集団です。
銚子街道を歩いた際に、 旧車會と思われる集団に会いました。

銚子街道 銚子港
ブンブンすれ違う昭和風のバイクの群れ。よ〜く見ていると、年配の人が多くびっくりしました。
秋の羊雲と銚子港を背景に走る姿は、迷惑ですが芸術的でもありました。

銚子街道 銚子港
面白いので手を振ってみたら、ふり返して来ました。
旧車會に出会った日の記録はこちら↓



亀ケ崎。
橋が架かっているので、渡れそうなので寄り道をして行ってみます。




残念ながら、亀ケ崎は私有地で立入禁止でした。
3.竜島


この地は、平家との戦いに敗れた源頼朝が、小船で安房国へ逃れ上陸した地点です。

八王子神社。
名の由来は日本武尊(ヤマトタケル)の8人の王子にちなんでいます。日本武尊は、大和朝廷全国統一のため東に遠征した際に、三浦半島から海を渡り上総付近に上陸したと言われています。

海を渡る際に大和武尊が大嵐に見舞われ、妃の弟橘媛(オトタチバナヒメ)が身を捧げて海の神の怒りを鎮めた事で、無事上陸できたとの伝説があります。
妃の亡骸が辿り着いたのが、上の画像の傾城島(けいせいじま)です。

日本武尊が上陸した場所は、富津岬や木更津など諸説があります。





灯籠流しは、みさご島の前で行われます。ポスターには弟橘媛伝説が記されていました。



その付近は房州捕鯨発祥の地。
大黒山は鯨見台としての役割を果たしていました。
今年の春に、かつて捕鯨で盛んだった地域で、今でも祝い事などがあると鯨を食べる習慣が残っている地域を歩きました。

平戸往還 長崎県東彼杵町

場所は平戸往還の彼杵宿。
平戸往還を歩き終えて帰りの飛行機まで時間があるので、2年前に長崎街道を歩いた時に、立ち寄りたかった店に行きました。

見た目はそうでもありませんが、味は抜群でした。とても美味しいのですが、食べていると哺乳類である事に気付かされます。

当たり前ですが、哺乳類なので肉の味でした。
平戸往還を歩いた時の記録はこちら↓
房総往還に戻ります。








4.岩井





オレンジ色の屋根の駅。
南房総の風景にあっています。





房総往還を歩いていると、「年間民宿」をよく見ます。最初は理解できませんでしたが、海水浴場が増えるにつれ夏以外も営業している事をアピールするための表現方法なのでしょう。







鋸山の麓を歩いていた辺りから、独特の石積みが目に入ってきます。
鋸山の石切り場が近いので、贅沢に石が使われています。

椰子の木が高く伸び、塀が無く芝生が美しい住宅地、カリフォルニアの様です。




カリフォルニア風の住宅地の次は、昭和の街並みが残る和風住宅地、こちらも綺麗です。
5.南無谷海岸



舟艇格納庫跡。
悲しい歴史遺構の案内看板があります。行こうとしましたが、私道につき立入禁止の看板がゆく手をふさぎます


トンネルはテンションが上がります。

このゴツゴツした感じは手掘りとしか思えません。

椰子の木とサルスベリ。
サルスベリがハイビスカスに見えて、まるで南国の様な風景です。

先ほど見た勝山駅もそうですが、オレンジ色の屋根と海の風景が、行った事ありませんがスペインやポルトガルの風景の様にも見えてきました。

再びトンネルが表れます。
手掘りの様なトンネルは房総往還を歩き少しは慣れてきましたが、全国の街道を歩いてますが極めて珍しいと思います。






祠と鳥居の下に巌窟があり、見事な珊瑚が置かれていました。この近くの海にはこんな立派な珊瑚があるのですね。


南無谷(なむや)海岸。
日蓮上人が布教のために鎌倉に向かう途中、海が荒れていたのでこの地に滞在したのがご縁で、村の名が南無妙法谷村(なむみょうほうやむら)となりました。
やがて長すぎるという事で、南無谷村となり、現在の地名に至ってます。





日蓮上人の裸像。
説明看板を読むと服を洗っている時に弟子が彫ったとしか書いてありません。何処にあるのか気になりますが、見てはいけない様な気もします。



上の画像の家の佇まいが、画像ではうまく伝わりませんが、往時の南房総を象徴する屋敷の風景だと思います。


住宅地の隣にいきなりトンネルが表れますが、もう驚かなくなってきました。
6.原岡桟橋


岡本城跡。
戦国大名里見氏の城跡の一つです。水軍を擁する対岸の小田原北条氏と戦うために東京湾を見下ろす高台に建てられていました。



街道歩きで初めて食べた海の家での食事。
昨日食べられなかった竹岡式ラーメンがリベンジできました。


これが噂の富士山と夕陽が見える桟橋。
まさか街道歩きで立ち寄れるとは思ってなかったので感動。

桟橋は大勢人がいるとすれ違うのが大変です。左上に富士山の頂きが拝めました。

松山ケンイチがいました。




同じ祭りのポスターが2種類ありました。
凄そうな祭ですね。


千葉県の伝統工芸品というと、先ず出てくるのが房州うちわ。この付近が産地で、日本三大うちわのひとつです。
日本三大うちわ
房州うちわ
千葉県 館山市・南房総市
京うちわ
京都府 京都市・南丹市
丸亀うちわ
香川県丸亀市

7.那古宿



すごい場所に寺があります。
何も知らずに見たので疲れが飛びました。

クタクタですがこれは、登らずにはいられません。

工事中かと思いましたが、落石防止ネットでした。


館山湾が一望できる素晴らしい眺め。
船が何艘か停泊していて、天然の良港である事がよくわかります。

崖観音堂のすぐ隣の高台には、崖を背にした諏訪神社があります。

スタイリッシュな拝殿。
この様な拝殿は他に類がありません。
今年の2月に唐津街道を歩いた際に、福岡市中央区で立ち寄った鳥飼八幡宮には度肝を抜かれました。

唐津街道 福岡市中央区
一の鳥居をくぐっても、その凄さにはまだ気がつきません。

山門をくぐろうとすると、奥に見える建物に一瞬目を疑います。



江戸時代半ば以来205年振りの大遷宮で、現在の姿になっています。きっと何度も意見を交わしながら氏子さんたちと相談しながら造られたと思いました。
お近くに行かれたら必見の神社です。
唐津街道、鳥飼八幡宮を訪れた時の記録はこちら↓
房総往還、諏訪神社に戻ります。











今回房総往還を歩いて5日目、記憶が間違っていなければ初めて房総街道という文字を見ました。
実際歩いて感じましたが、鉄道が開通するまでは、港から船で三浦半島や江戸に移動するのが主流だった様で、陸路はさほど盛んではなかったと思われます。


和菓子店もオレンジ色の屋根です。


ベーカリーもオレンジ色の屋根です。



8.館山宿





この付近のイヌマキの道はおすすめです。
歩きながら言葉を失ってました。







鶴谷八幡宮(つるがやはちまんぐう)。
平安時代に創建された約千年の歴史がある安房国総社。
本日の道中で、2種類のポスターが貼ってあった、鶴谷八幡宮例大祭「安房国司祭 やわたんまちが」が行われます。


安房神社遙拝殿も立派です。



本日最後のお楽しみが生垣の道。

日本一長い生垣の道と、言い切れるかもしれません。

ほとんどの生垣は、千葉県の木であるイヌマキでできています。

生垣の道の途中には、旧長尾藩の墓地があります。藩の墓地が代々引き継がれて今も残っている事実に妙に感動しました。







本日はここまで。
来週は外房を通る、伊南房州通往還を千葉市内の八幡宿からこの交差点まで5日間かけて歩きます。



オレンジ色の屋根が似合います。


上の皿の左の刺身は生の鯨です。
店の大将曰く、冷凍ではなく生が食べられるのは、隣町の和田に鯨を捌く工場があるためらしいです。
貴重な味を美味しくいただきました。



駅前に空室情報の掲示板がありました。初めて見ました。

高速バスで帰ります。

房総往還は、途中から沖縄の島を歩いている様な錯覚を覚える位の異空間でした。
木更津から館山までの3日間だけでも、歩く価値がある道です。
全国の街道を歩いた旅の記録、時速4㎞の世界の「目次」はこちら↓