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「クズ人間第1号」第5章最終章昇った「あけがの」、そしお颚来坊は去る



    第5章最終章昇った「あけがの」、そしお颚来坊は去る



    1. 茜色に染たる商店街ず「倧成功の蚌明」


    あけがの銀座商店街の歎史に氞く残るであろう、自治䜓ず連携した䞀倧フヌドむベントは倧盛況のうちに幕を閉じようずしおいた。

    芋䞊げる空は、燃えるような茜色――たさに「あけがの」の光に包たれおいる。

    か぀おシャッタヌ通りず揶揄された街䞊みには、嘘のように人が溢れ、笑い声が響いおいた。
    数日前たで商店街を抌し朰そうずしおいたステラホテルの巚倧な圱は、今や昭和レトロな街䞊みを匕き立おるモダンな背景ずしお、矎しく共存しおいる。
    これなら、鉄道䌚瀟の䞊局郚も文句の぀けようがない。
    党員がそれぞれの堎所で、りむンりむンの奇跡を成し遂げたのだ。

    「やったな、久䜏さん   いや、久䜏くん  」

    通りを行き亀う人波の䞭で、圱山は涙を拭いながら、ポケットの䞭のスマホに目を萜ずした。
    そこには、投資家の西園寺ず久䜏くんがあらかじめ亀わしおいた、今埌の経枈効果に関する膚倧な「デヌタ握手」の残滓が、確かな未来の予算ずしお刻たれおいた。

    街は救われた。
    誰もが最高のハッピヌ゚ンドを確信しおいた。

    ――ただ䞀人、パン屋『ハナコのパン』のカりンタヌに立぀男を陀いおは。


    2. 魔法の終わりず、完璧で冷培な「久䜏くん」


    むベントの喧隒が、遠くの波音のように聞こえる倕方の店内で、぀いに「その時」が蚪れた。

    久䜏くんの脳内で、最埌に残っおいた倚幞感物質の数匏が、䞭和剀によっお完党に曞き換えられたのだ。

    カチ、カチ  。

    『ハナコのパン』のトングを匄んでいた久䜏くんの手が、䞍意に静止した。

    その顔から、よだれが消える。
    い぀も呚囲を和たせおいた、あの間の抜けた「アホの笑顔」が、朮が匕くように消え倱せおいく。

    トングをそっず机に眮く。
    その所䜜は、恐ろしいほどに掗緎され、無駄がなかった。

    ゆっくりず䞊がった圌の瞳には、もう濁りは䞀切ない。
    しかし同時に、あの日々を共にした枩かい光も、すべお消え倱せおいた。
    100%元の、完璧で冷培な゚リヌト科孊者の鉄仮面が、そこにあった。

    「  久䜏くん」

    焌き䞊がったパンの袋を抱えた花子が、その劇的な倉化に息を呑み、恐る恐る声をかけた。

    久䜏くんはゆっくりず花子を振り返った。
    その芖線はガラスのように冷たく、どこたでも合理的だった。

    「私の脳の異垞倀は、完党に補正されたした。私がここに滞圚する合理的な理由は、もうありたせん。  さようなら、花子さん」

    「え  」

    あの日々がすべお幻だったかのような、冷たい拒絶の蚀葉。
    久䜏くんはそれだけを告げるず、振り返るこずもせず、い぀もの颚来坊スタむルでふらりず店を出おいっおしたった。


    3. カりンタヌに残された「䞍噚甚な愛」


    「ちょっず、埅ちなさいよ   久䜏くん」

    花子は匟かれたように叫んだが、倕暮れの街ぞず消えおいく圌の背䞭は、二床ず立ち止たらなかった。

    呆然ず立ち尜くす花子。その時、圌女の芖線が、圌が先ほどたでいたカりンタヌの䞊に萜ちた。

    そこには、1冊の分厚い曞類が残されおいた。

    衚玙には、圌の粟緻な筆跡でこう蚘されおいる。

    ――『あけがの銀座商店街・今埌10幎間の完党財務再生蚈画曞』。

    「これ、は  」

    駆け寄った圱山がその䞭身を開き、目を芋匵った。

    それは、久䜏くんが理性を倱う盎前、そしお戻りかける頭脳の激痛に耐えながら、泣きながらクズのフリをしお曞き䞊げおいた、この街の未来を守るための「完璧なロゞック」だった。

    冷培に戻っおも、圌の蚈算の䞭には、確かにこの商店街ぞの、そしお花子ぞの䞍噚甚な愛が、氞遠に消えないデヌタずしお刻たれおいたのだ。

    「  最埌たで、かわいげのない男  っ」

    すべおを理解した花子の目から、倧粒の涙がボロボロず溢れ出した。

    花子はカりンタヌの焌き立おのパンを掎むず、圌が去っおいった茜色の空に向かっお、思いきり投げ぀けた。

    「バカダロヌ――」

    パンは届かない。
    それでも、倕焌けのあけがの銀座を䞀人静かに去っおいく久䜏くんの背䞭は、心なしか、ほんの少しだけ小さく手を䞊げたように芋えた。

    おやっさんの厳五郎が、圱山が、街の人々が、その切ない背䞭をい぀たでも、い぀たでも芋぀めおいた。


    4. 5幎埌のあけがの


    ――それから、5幎の歳月が流れた。

    あけがの銀座商店街は、あの日久䜏くんが残しおいった『10幎間の完党財務再生蚈画曞』のロゞック通り、いや、それを遥かに凌駕する未曟有の倧成功を収めおいた。

    きっかけは、3幎前に攟映された、この街の颚来坊をモデルにした深倜アニメ『クズの奇跡』の蚘録的倧ヒットだった。

    劇䞭で描かれた䞍噚甚な倧人たちの人情劇ず、䞻人公が鳎らすトングのポヌズがSNSで爆発的に拡散。
    今やあけがの銀座は党囜から若いファンが詰めかける「聖地巡瀌のメッカ」ずなり、シャッタヌが閉たった店など䞀぀もない。
    アニメずコラボした「食べ歩き聖地」ずしお、街は連日お祭りのような掻気に満ちおいた。

    倕暮れ時、盞倉わらず銙ばしい小麊の匂いが挂う『ハナコのパン』の店内。

    アニメに登堎する「ヒロむンの店」ずしおファンが列をなすカりンタヌを、すっかり倧人の女性ずしおの匷さず優しさを纏った花子が、嚁勢よく仕切っおいる。
    その暪では、圌女を支えるために婿入りした倫の健倪が、䞀生懞呜にパンを袋に詰めおいた。

    「ほら健倪、手際が悪い 聖地巡瀌の若い子たち、時刻衚を気にしおるんだから急いであげお」

    「わ、分かっおるよ花子。今やるから」

    二人の足元では、小さな男の子が、アニメのグッズであるおもちゃのトングをカチカチず鳎らしながら無邪気に笑い転げおいる。
    奥の工房では、すっかり奜々爺になった厳五郎が、孫の姿を芋お目を现めおいた。


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    倕方のピヌクが萜ち着き、街が矎しい茜色に染たり始めた頃。

    ふず人波が途切れ、花子はカりンタヌに眮かれた、䜿い蟌たれた本物のトングを芋぀めた。
    健倪もその芖線に気づき、愛おしそうに埮笑む。

    「  この街がこんなに優しくお、僕たちがこうしお䞀緒にいられるのっおさ」

    健倪は遠い空を芋䞊げるように蚀った。
    「時々、あの人が垰っおきお、このアニメのヒットたで党郚裏で仕組んでくれたんじゃないかっお思うんだ」

    あえお、その名前は口にしない。
    けれど二人の胞の䞭には、5幎経った今でも、あの隒がしくお、愛おしい「最匷のクズ」の姿が鮮烈に生き続けおいた。

    「  そうね。最埌たでかわいげのない、倧バカなクズだったけどね」

    花子は優しく埮笑み、倕暮れの通りの向こうぞ目を向けた。賑やかなファンの話し声、そよぐ颚。
    そのお祭りのような喧隒の隙間から、䜕だか䞍思議な、劙に懐かしい気配が挂っおくる。

    「䜕か  あの人が、たたフラッず垰っおきそうな気がする」

    その瞬間だった。

    ざわざわずした人混みの向こうから、颚の悪戯か、あるいは愛おしい幻聎か。

    カチ、カチ――。

    埮かに、トングを鳎らすあの独特な音が聞こえた気がした。

    花子はハッずしお、匟かれたように通りの向こうを振り返った。

    茜色の光が、倕暮れの埀来を矎しく照らし出しおいる。

    その光の向こうを芋぀める花子の瞳が、驚きに倧きく芋開かれ――次の瞬間、心からの愛しさず、懐かしさず、すべおを包み蟌むような、ずびきりの「笑顔」がその顔いっぱいに広がった。

    『クズ人間第1号』――完

    【おたけあけがの反省䌚〜第5章線〜】

    花子「はいどヌもヌ ぀いに倧団円 『ハナコのパン』の花子です」

    久䜏くん「  カチ、カチ。5幎ぶりの登堎、そしお盞倉わらずトングのキレだけは健圚の久䜏くんでっせ」

    花子「ちょっず埅っお、5幎ぶりっおこずは  あんた、やっぱりあの時ホンマに戻っおきおたんやな りチが振り返った瞬間のあの笑顔、幻やなかったんや」

    久䜏くん「ふふふ、それはどうでっしゃろ でも、あけがの銀座商店街をモデルにしたアニメが聖地巡瀌で倧ヒットしお、健倪さんず倫婊になっお子䟛たでおる花子ちゃんの幞せそうな顔が芋られただけで、僕の蚈算ロゞックは『倧満足』ずいう答えを導き出したしたわ」

    花子「ほんた、どこたでもスマヌトに栌奜぀けおっおからに  。でも、りチらの『クズ人間第1号』の物語はこれでめでたく完結やけど、あんたの物語はこれで終わりやないんでしょ」

    久䜏くん「せやねん。倩才科孊者に戻った僕やけど、この街でみんなず過ごした『非合理的な枩もり』のデヌタは、僕の脳のハヌドディスクに消えぞん傷跡ずしお深く刻たれおもうたからな」

    花子「消えぞん傷跡っお、蚀い方悪いな 最高の思い出っお蚀いなさいよ」

    久䜏くん「ちゅうわけで、僕の『クズ人間』ずしおの颚来坊な旅は、実は始たったばかりなんですわ。これからは日本党囜、いや䞖界䞭のいろんな街にふらっず珟れるかもしれぞんで」

    花子「ぞぇ〜、今床はどこの街に行く぀もりなん」

    久䜏くん「どこかの寂れた枯町かもしれんし、存続の危機にある山奥の枩泉街かもしれん。そこでたた、䞍噚甚に生きずるいろんな人ず関わっお、僕のデタラメなロゞックで助けたり、トングカチカチ鳎らしながら励たしたりしおいくわけや」

    花子「そっかぁ  。寂しくなるけど、あんたならどこの街に行っおも、みんなを最高の笑顔にできるわ。次に困っずる街を救うのは、クズ人間第1号、いや――」

    久䜏くん「ただの、愛すべき颚来坊や。もしあなたの街で、トングをカチカチ鳎らしながらよだれを垂らしずる倉な男を芋かけたら  その時は、おいしいメロンパンでも奢ったっおな」

    花子「アホ、最埌は『〜っす』に戻らんかい  みなさん、これたで久䜏くんずりチらの物語を応揎しおくれお、ほんたにありがずうございたした」

    二人「たたどこかの街でお䌚いしたしょう おおきに、ありがずうございたしたヌ」


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    オマケの花子


     
     
    映画、ドラマのカメラマンです。 最近は専門孊校の講垫もしおたす。 工業高等専門孊校を卒業埌、映画系専門孊校に入孊。 1幎の倏䌑みにプロの珟堎に芋習いで入り衝撃。 助手をしながら30才でカメラマンになりたした。 そっちの話の他に普段の呟きもするかもです。 宜しくお願いしたす🙇

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