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Photo bysabiki_ao96

【連載小説|ホラー】第五章:桃色鸚哥の羽化とデジタル毒素 第五話/Ma chérie



    (都内某所のオフィスでの会話)

    「ねえ、林さん最近来てないけどどうしたの?もしかして、辞めちゃった?」
    「それがさー、どうも失踪したらしいよ。誰も連絡つかないんだって」
    「失踪!?なにそれ、物騒すぎじゃん。事件だよ事件」
    「それがさ、事件性っていうのがどうも薄いみたいなの。スマホも財布も、みんな家にあったんだって。飼ってたインコも無事らしいよ、スマホはバキバキだったみたいだけど」
    「そうなの?じゃあどこ行っちゃったんだろ」
    「噂だと、パパ活相手とカケオチでもしたんじゃないかって。あの子、パパ活してた上に裏アカ全部バレて大炎上したって話だし」
    「あー、だからスマホ置いてったとかかな。所謂飛んだってヤツ」
    「自分勝手だよねー。どうせ飛ばすならインコ解放してやればよかったのに…自分が飛んじゃうとか、自己中にもほどがあるでしょ」



    (人気暴露系You Tuberのとある動画)

    「みなさん、こんばんは。『暴露と告発』のお時間がやってまいりました。本日取り上げるのは、『cute milk』というインスタアカウントをやっていた女性のお話です」

    「このアカウント、表から見たらペットのインコを自慢してるだけなんですけど、実は裏でかなりエグいことをやってたみたいです。なんでも、捨てアカを何個か持ってて、バズってるアカに誹謗中傷を送りまくってたとか!やってることがクズでs…おっと、本音が漏れました」

    「しかも、その裏アカがまたひどいんですよ。どれも投稿も何もないアカウントだったらしいんですけど、実は元々動物系で運用してたっぽいんです。全部消した上で他アカの攻撃やってたってことですね~」
    「しかも、飼ってる動物をとっかえひっかえしてたんだと!他アカに勝てないってわかると、その子を捨てて乗り換える…やってることが悪魔の所業っすな。でも投稿が全部拡散されちゃって、もう炎上しまくっちゃってる訳です。23区内のちっさい地区なら全焼してんじゃないっすかねえ」

    「乗り換えといえば、この子パパ活も手広くやってたのがバレちゃったんです。こっちもいろんなパパ相手にやってたっぽいね~しかも結構貢がせてたらしい。パパさんたちが訴えるとか言ってるって噂もあるけど…本人いないし無理じゃないかな」
    「そうそう、本人いなくなっちゃったらしいですよ。スマホだの財布だのぜーんぶ残したまま、どっか消えちゃったんですって。神隠し?なーんてね、ただ逃亡しただけって見方が強いらしいけど」

    「例のインコは、警察とマンションの管理人さんが無事見つけたんだと。まー、そのインコがすっごいしゃべるんだよ。『キモイ』だの『死ねばいいのに』だの『私の方が上』だの…インコだから、人の喋ったことを言ってるってことじゃん。そういうこと、一人で言いまくってたんかー。しかも声真似までしてるの、このインコ!すごくね?知り合いが聞いたら、本人かと思うくらい似てたんだと」
    「このインコの動画、マジでヤバいんで概要欄にリンク貼っときますね。あ、これね、なんかネットの海から俺のDMに匿名で突っ込まれてきたんすよ。送り主のアカウント、速攻で消えてて追えなかったんだけどさ。マジでGJって感じ(笑)」



    【Ma chérie】の暗い店内。

    藤原の足元では、サビ猫のカフェが丁寧に顔を洗っている。藤原が頭を撫でてやると、「にゃあ」と鳴き声を上げた。
    藤原は【record of material】のアルバムをそっと開く。鮮やかなピーチソーダのフロートと、苦悶の表情を浮かべた動物たちのアイシングクッキーの写真がきっちりとおさめられていた。
    その横には玖留美が自撮りをしようとしている瞬間の写真が貼られているが、その背景では動物たちが恨めしげに玖留美を睨みつけている。そばにはモモイロインコのピーチが羽根を広げながら、何かを訴えるように嘴くちばしを大きく開いていた。


    【林玖留美:虚無でありながら有害物質。ブルーライトと電子のノイズが塵となっており、獣害除けとしても期待薄。不燃物として廃棄。】



    「ここまで役に立たないような資材も稀有でしょうね。記憶した言葉をそのまま発する鸚哥の方が、余程有益だ。…でも、あなたは自身の欲望を最期に満たすことが出来た。数多の人に自身を焼き付けるという放火行為は、見事成功したと言えるでしょう。あなたという存在は、ブルーライトの網の中で永遠に彷徨い続けるのです」

    藤原はアルバムを静かに閉じ、棚へと戻した。

    窓の外、夜の闇に紛れて、電子の塵のような青白い光が一瞬だけ瞬き、そして冷たく消えた。
    チリン、とドアのベルが、新たな夜の訪れを告げる。

    桃色鸚哥の羽化とデジタル毒素――完


     
     
    AIのGeminiと会話しながら、ミステリー・ホラーの物語を執筆しています。 最近はショートショートやAIイラストも有り。 上記の2ジャンルと猫をこよなく愛する。 ※Amazonアソシエイト参加中です。

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