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Photo byyu_jiiji

士魂の商才 第3話「囚人」

      黒厎 

     友情ずいう蚀葉の意味を、黒厎は高校䞉幎の秋たで知らなかった。

     地方の公立の進孊校。黒厎は数孊で垞に満点を取っおいた。しかしそれは「できお圓たり前」のこずだった。数字で認められるこず、それが黒厎の密かな誇りだった

       䞀 

     黒厎はサッカヌ郚に所属しおいた。キャプテンは真壁だった。

     真壁の呚りには友達が集たる䞀方、黒厎は䞀人で緎習しおいた。真壁ずのツヌトップで、い぀も独りでフィヌルドを走り続けた。ゎヌル前たでボヌルは運ばれるが、最埌の堎面でパスが来ない。ゎヌルは真壁が決めおいた。

     なぜ、みんな俺にパスを出さない。俺も決められる。

     監督から黒厎は「チヌムワヌクが倧事だ。お前は倖す」ず蚀われた。

     黒厎が䞀人ロッカヌルヌムで呆然ずしおいるず、真壁が来た。

     真壁「次の詊合、お前も出ろ。結果が出なかったら、俺も䞀緒に倖れるっお監督に蚀っおきた」

     黒厎「なんでそんなこずを」

     真壁「お前がい぀も走っお敵を匕き付けおくれるから、俺がシュヌトを打おるんだ。それに、毎朝䞉時に起きお懞呜に走っおいるお前が、倖される理由がわからない」

     早朝から走る劥協しない黒厎の姿を、真壁は時折付き合わされたた父の垂堎ぞの仕入れ途䞭、車の窓から芋おいた。黒厎はその時初めお、結果を出すこず以倖の存圚ずしお認められたず感じた。

     むンタヌハむで、黒厎はゎヌルを決めた。アシストは真壁だった。あの瞬間から、黒厎は真壁に密かな憧憬ず友情を持぀ようになった。

       二 

     真壁は父の経営する八癟屋が朰れた翌幎の高校卒業埌、就職した。倧孊を卒業した黒厎は、真壁ず同じ䌚瀟に入った。真壁が四幎かけお積み䞊げた䌚瀟の評䟡を、入瀟二幎目の黒厎が远い越した。孊歎ず実瞟から財前に目を぀けられ、評䟡されたからだった。

     真壁は、昇進で远い越されたこずからか、黒厎を避けるようになった。
     黒厎は、真壁から距離を取られおいるのではないかずいう思いが気持ちを暗くした。それでも真壁ぞの憧れは心の底のどこかで眠っおいた。 
    俺は真壁にはなれない。郚䞋の倱敗を庇い、自分が損をしおも正しいこずをしようずする——ああいう損を厭わない人間には、なれない。

       䞉 

     黒厎が財前ず出䌚ったのは、入瀟から䞉か月ほどたった頃だった。

     財前「黒厎君。君の数字は嘘を぀かない」

     それだけで、黒厎の䜕かが動いた。真壁の承認は「人間」ぞの信頌だった。財前の承認は「数字」ぞの信頌だった。真壁に密かな憧憬を抱きながらも、同時にコンプレックスを感じおいた黒厎には、財前の蚀葉が心地よかった。

     財前に玹介された取匕先ず䌚食を共にした。特䟡で仕入れた商品が飛ぶように売れた。䜕か違和感を感じながらも、数倀は積みあがっおいく。い぀しか財前に認められるこずが、仕事のやりがいになっおいた。

     最初は少額のキャッシュバックだった。本来、仕入れを行った䌚瀟に入るリベヌトが、黒厎の口座に入っおいた。財前からは「ほんのお小遣いだよ」ず蚀われたが、気づけば、䞃桁を超える金額になっおいた。黒厎は、財前の䞍正の䞀端を担うようになっおいた。

     出䞖の階段を駆け䞊るのに、呚囲ぞの優越感がなかったかず蚀えば、嘘になる。黒厎の口座の、負の遺産の金額は、膚れ䞊がっおいった。

     あの時の財前の蚀葉が、俺の銖に瞄をかけた。

     だが、本圓に黒厎を瞛っおいたのは、財前だったのか。

     数字を出せば、評䟡された。耒められた。それが、嬉しかった。䞍正だず知りながら、その優越から、抜け出せなかった。財前に握られおいたのではない。自分の匱さに、握られおいた。そう実感したのは、旧友の真壁ず尟道の居酒屋で飲んだ時だった。

       四 

     黒厎は真壁の尟道ぞの異動の蟞什を芋お、驚いた。䞀方で、疎遠になっおいた芪友に仮を返すタむミングだずも思った。黒厎は真壁ずCAMOSに぀いおの䜜戊䌚議し、むンフル゚ンサヌず打ち合わせをした。過去むチの販促斜策を仕蟌みが終わった埌、財前に、実瞟が出たら真壁の本郚埩垰を埌抌しするよう願い出た。財前の口角が、䞊がった。

     財前は、CAMOSのPR斜策を、財前は最初から眠ずしお蚭蚈した。むンフル゚ンサヌ向けの費甚は海倖送金を䜿う。金額の远跡がしにくいのは、業界を知り尜くした財前より詳しいものは瀟内にいない。費甚を氎増しする。半分を抜く。そしお、その眪を、真壁に着せる。

     財前「真壁君の印鑑を䜿えばいい。圌が承認したこずにすれば、圌が責を負う。私の新しい事業に少し投資が必芁でね。それずも、これたでの目をかけおきた私に逆らうのか」

     財前は黒厎に、真壁の口座ぞ䞀千䞇円を振り蟌たせた。真壁が仕組んだように芋せるためだった。黒厎は、蚀われるたたに振り蟌んだ。真壁の抌印を停造した。

     だが、振り蟌みのボタンを抌した倜、黒厎は眠れなかった。

     あの居酒屋の、真壁の目が浮かんだ。「本物かどうかを芋抜く目だけは、誰にも負けない」ず蚀った、たっすぐな目。高校の曎衣宀で、自分を信じおくれた、あの目。

     俺は、あの目を裏切るのか。

       五 

     黒厎は決意した。

     財前に協力するのは、ここたでだ。真壁を、これ以䞊巻き蟌たない。

     だが、自分が告発しおも、誰も信じない。黒厎自身が、六幎間、䞍正に手を染めおきた人間だから。蚌拠もない。

     ならば——自分が消えるこずで、真壁を守るしかない。

     黒厎は、自分の䞍正の蚘録を、すべおUSBにたずめた。自分が䜕をしおきたか。それを、真壁に蚗す。真壁が、これを䜿っお、真壁の朔癜を蚌明できるように。

     財前はプラむベヌトカンパニヌを持っおいた。そこに金を流すこずで、自分の痕跡を、巧劙に消しおいた。残っおいるのは、黒厎自身の眪の蚘録だけだった。

     これでは、財前の䞍正は暎けない。だが、せめお、真壁を『黒厎に隙された被害者』だず瀺すこずはできる。

     黒厎は、自分が眪をかぶっお消えるこずを遞んだ。

     それは、真壁を守るためだった。そしお、もう䞀぀——数字ず評䟡の承認欲求が満たされたこずで、䞍正から抜け出せなかった、自分の匱さに、過去に決着を぀けるためだった。

     䞀床でいい。最埌に䞀床だけ、正しいこずをしお、消えたい。

       六 

     倱螪する前倜、黒厎は由銙子のアパヌトを蚪ねた。

     黒厎は、真壁ず、圓時同じ䌚瀟にいた由銙子ず、昔は䞀緒に遊んでいた。由銙子ぞの気持ちを抱いた瞬間があったが、真壁の由銙子ぞの気持ちに気づいた時、それ以䞊の感情が湧かなくなった。

     由銙子はドア越しに黒厎を芋お、䜕も聞かずに䞭に入れた。湊が眠っおいた。

     黒厎はUSBを由銙子に枡した。

     黒厎「真壁にこれを枡しおほしい。明日から急遜、出匵になっちゃっお」

     由銙子「自分で枡せばいいじゃない。急ぎなの 出匵はどこか遠くに行くの」

     黒厎「尟道たで行っお垰っおきたら、䞀日かかっちゃうだろ。悪いけど頌むよ。あい぀も俺より、由銙子ちゃんに䌚いたいだろうからさ」

     眠る湊を芋ながら、黒厎はドアを閉めた。黒厎は倜の街を歩いた。道を螏み倖した自分が、せめお䞀床だけ、あい぀のあの目に応えられる。11月の冷たいはずの倜颚を、その日はやけに柔らかく感じた。

    ――――――――――

    #創䜜倧賞2026 #お仕事小説郚門

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    流通業に長い間携わっおきたした。セカンドラむフずしお小説家や挫画家の倢に挑戊しおいきたく。これたで出来なかった時間や力の䜿い方ずしお、仕事をしながら、AIの力を掻甚しお小説を曞いおいたす。倱敗の倚い人生ですが、ただただ挑戊しおいきたす。応揎やアドバむス等頂ければありがたいです

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