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むブ物語刀断寓話゚ラずペル第䞃十二話 亀に歌を

    アむ


    街はただ、眠りから目を芚たしたばかりだった。

    厩れた家も、足りない氎も、䞍安そうな顔も残っおいる。

    それでも私たちは、次の朝ぞ進む方法を探しおいた。

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    ゚ラずペル 第䞃十二話
    【亀に歌を】


    朝日が昇る。

    䞭倮殻郜の倧広堎には炊き出しの煙が立ちのがり、倚くの人が新しい朝を迎えおいた。

    あの日、゚ラず䞀緒に空ぞ行くず決めおから、数日が経っおいた。

    広堎の䞭心に建おられたテントでは、LAG長官代行のディケが頭を掻きながら、地図ぞ现かなメモを曞き加えおいる。

    「やはり、氎が足りたせんね」

    誰に聞かせるわけでもなく、ディケはそう呟いた。

    私ぱラが䞇党の状態に戻るたで、ここで手䌝うこずにしおいた。

    ディケの目の䞋には、はっきりず濃い圱が浮かんでいる。

    ――この人、あれから䞀床も寝おない。

    刻々ず倉わる街の状況を敎理し、蚘録し、凊理しおいく。

    普段は、少し倉わった人だず思っおいた。

    でも今はわかる。
    こういう人がいるから、ルヌベントはただ立っおいられる。

    「氎、ないんですか」

    気づけば、私はディケに声をかけおいた。

    独り蚀を聞かれおいたこずに、ディケは少し驚いたようだった。
    けれどすぐに、ため息たじりに話し始める。

    「圓初の予定では、節氎すれば二週間は持぀はずでした」

    ディケは県鏡を倖し、マントの端でレンズを拭いた。

    「ですが、今回の灜害察応で貯氎池の氎が半分を切っおいたす。これでは、あず䞀週間持぀かどうか  」

    疲れた声だった。

    しかし、その衚情は次の瞬間に険しくなる。

    「それなのに、䜏人たちはもっず氎をよこせ、䜓を掗わせろず倧隒ぎです」

    苛立ちを抑えきれないのか、ディケの目が据わっおいく。

    「ロヌズさんに盞談したら、なら酒を配ればいいずか蚀い出すし。子䟛に酒を配っお、酒で䜓を掗わせるんですか」

    私は苊笑いを浮かべながら、広堎の様子を芋枡した。

    地面を揺らしおいた震動は、ほずんど収たっおいる。

    それでも被害は深刻だった。

    ずくに亀の甲矅倖苑郚では、倚くの家屋が倒壊しおいる。埩旧の目凊すら立たない堎所も少なくない。

    「朝から元気ですね」

    ディケの悲鳎にも䌌た声を聞いたのか、オトが笑いながらテントぞ顔を出した。

    その傍には、小さな子䟛たちがいる。

    䞍安そうな顔で、オトの服の裟を掎んでいた。

    オトは子䟛たちの頭を撫でるず、ゆっくり歌い始める。

    優しい歌声が、広堎ぞ広がった。

    炊き出しをしおいた人も、荷物を運んでいた人も、少しず぀手を止める。

    疲れた顔を䞊げ、静かにその歌ぞ耳を柄たせおいた。

    ひず぀の節を歌い終える頃には、匵り぀めおいた空気が少しだけほどけおいる。

    ディケは頭に手をやり、オトぞ小さく頭を䞋げた。

    「すいたせん。私が感情的になっおも仕方がないこずは、わかっおいたす。ただ  」

    続きの蚀葉を探すディケを芋お、オトは小さく銖を振る。

    「ディケさんが頑匵っおいるこずは、みんなわかっおいたす」

    オトは穏やかに笑った。

    「でも、もう少しだけ。呚りを頌っおもいいかもしれたせんね」

    そう蚀うず、テントの䞭に眮かれおいた小さな箱を開ける。

    䞭には、たくさんのクッキヌが入っおいた。

    オトはそれを䞀枚ず぀、子䟛たちぞ配っおいく。

    子䟛たちは嬉しそうな声を䞊げ、䞡手でクッキヌを受け取った。

    そしお、少しだけ明るくなった顔で、テントの倖ぞ駆けおいった。

    「゚ラさんは、なんずかなるず蚀っおいたしたが  今は圌女の蚀葉だけが唯䞀の垌望です」

    ディケは地図に曞き蟌たれたメモを芋぀めながら、皮肉そうに笑う。

    私は小さく頷き、口を開いた。

    「竜石の力を匕き出すためには、竜祀教の  シヌズの力が必芁です」

    そう蚀うず、ディケは黙っお頷き、テントの倖ぞ目を向けた。

    「手配はできおいたす。懞念されるのは、竜石を䜿った時に再びギガントタヌトルが暎れ出す可胜性です」

    私は口元ぞ手をやった。

    確かに、犁区でも゚ラが力を䜿ったあず、倧きな揺れが起こった。

    ゚ラが蚀ったように、ギガントタヌトルがドラゎンを恐れおいるのなら、その力を感じた時に䜕をするかわからない。

    テントの䞭に静けさが萜ちた。

    「それなら、先に蚀っおおけば良いじゃん」

    明るい声が、テントの倖から聞こえる。

    目を向けるず、い぀もず倉わらない゚ラが立っおいた。

    赀いスカヌフが、朝の颚に揺れおいる。

    「゚ラ。ただ寝おなくお倧䞈倫なの」

    私が蚀うず、゚ラは歯を芋せお芪指を突き立おた。

    「倧䞈倫 もう元気になったよ」

    あっけらかんず答える。

    「で、さっきの話の続きだけど、先に亀に蚀えば良いよ」

    あいかわらず説明が雑だ。

    その方法があるなら、先に蚀っおほしい。

    私はひず息吐いおから蚊ねた。

    「その方法っお、あるの」

    ゚ラはにこにこしながら答える。

    「さっきオトの歌を聎いお思い぀いたんだ。オト、亀に歌を聞かせおよ」

    ゚ラの芖線がオトぞ向く。

    オトは䞀瞬だけ驚いた顔を浮かべたが、すぐに頷いた。

    「゚ラさん。ちゃんず説明しおください」

    ゚ラは頭に手をやるず、少しだけ舌を出した。

    「オトが亀に歌を聞かせお、私がその意味を亀に運ぶんだよ」

    「どうやっお」

    今床はディケが蚊ねる。

    「それはね  」

    ゚ラの話をたずめるず、こうだ。

    オトがギガントタヌトルに向けお歌う。

    歌には、これから゚ラが空を飛ぶこずず、それが敵意によるものではないこずを蟌める。

    亀に暎れないでほしいずいう願いも、䞀緒に届ける。

    その歌を、゚ラの竜の力でギガントタヌトルの意識ぞ盎接流し蟌むずいう蚈画だった。

    「私の力だけじゃ、亀はたた怖がるかもしれない」

    ゚ラは自分の手を芋぀めお蚀う。

    「でもオトの歌声なら、怖がらせないで䌝えられるはずだよ」

    「そんなこず、できるの」

    私はただ信じられずにいた。

    「できるかもしれない」

    青い髪の青幎が、テントの入口に立っおいた。

    シヌズだ。

    「どうやっお」

    私が蚊ねるず、シヌズは口元をわずかに䞊げる。

    「竜石の力ず、゚ラの力を䜿えば可胜だ」

    シヌズの蚀葉を聞いた゚ラは、なぜか自信満々に胞を匵った。

    「やる䟡倀はありそうですね」

    そう蚀うず、ディケはずれた県鏡を指で抌し䞊げた。

    

    どこで聞き぀けたのか、広堎には倚くの人が集たっおいた。

    話を聞いたニコやロヌズたちも、゚ラずオトぞ芖線を向けおいる。

    「亀に歌を聞かせるんですか」

    気づけば、サンの姿もあった。

    傷を負った右手は、包垯で吊られおいる。

    「サン。動いお倧䞈倫なの」

    私が声をかけるず、サンは口を尖らせた。

    「ペル。酷いです。こんな楜しそうな話を、私抜きで始めるなんお」

    ――いやいや、あなた肩から血を出しお寝蟌んでたしたよね

    口には出さなかったが、サンの顔を芋お少し安心した。

    説明しようずしたずころで、倧きな声が広堎に響く。

    「みなさヌん。これから圌女たちがギガントタヌトルず話をしたす。ですので、お静かにお願いしたヌす」

    間の抜けたディケの声に、人々の間から小さな笑いがこがれた。

    LAGの憲兵たちが広堎の呚囲に䞊び、人の流れを敎えおいく。

    「前の方から、少しず぀䞋がっおください。あっ、苊情は曞面でお願いしたす」

    ディケはい぀もの調子で続けた。

    その声に笑いが広がるず、匵り぀めおいた人々の空気もわずかに和らいだ。

    やがお人混みの䞭心から、緩やかな歌声が聞こえおくる。

    〜♬

    眠りの背䞭に 街をのせ
    長い長い道を 歩いおきたね

    揺れる倧地も 痛む足も
    もうひずりで 抱えなくおいい

    空を行く圱が 芋えおも
    どうか怖がらないで

    あれはあなたを傷぀ける
    竜の牙ではないから

    〜♬

    たるで語りかけるような歌が、広堎を満たしおいく。

    その傍では、竜石を持ったシヌズが詠唱を始めおいた。

    淡い青い光が竜石からこがれ、静かな朝の空気に溶けおいく。

    ゚ラは目を閉じ、オトの歌に蚀葉を重ね始めた。

    胞元から、やわらかな光が挏れ出す。

    それは犁区で芋たような、激しく匷い光ではなかった。

    枩かく、蟺りを包み蟌むような光だった。

    呚囲から感嘆の声が䞊がる。

    子䟛たちもオトの歌を真䌌るように、小さな声で歌い始めた。

    ――届け。届いお。

    私も胞に手を圓お、目を閉じお歌ぞ意識を向ける。

    やがお地面が、かすかに揺れた。

    たるで歌声に返事をするように。

    小さく、それでも確かに。

    歌が終わるず、゚ラを包んでいた光がゆっくりず匱たっおいく。

    目を開けるず、゚ラがこちらを芋お笑い、りィンクをした。

    「亀。わかったっおさ」

    私も笑っお答える。

    「空ぞ行くよ」

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    🔙第䞃十䞀話   第䞃十䞉話🔜



     
     
     
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