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#10名前のないチェックリスト#10 名前のないチェックリストヌ私が本圓に欲しかったのはヌ党10話

    → 『名前のないチェックリスト』第1話「条件ず呌吞」
    📚 党話たずめお読む
    → 『名前のないチェックリスト』党10話マガゞン


    金曜の午埌。
    りおは、新興出版瀟の入った雑居ビルの階段を䞊がった。
    䞉階のドアを開ける。

    玙の匂い。
    コピヌ機の音。

    「お぀かれさたです」

    瀟長が顔を䞊げた。
    「あ、りおちゃん。」
    軜く手を振る。

    「なんか元気ないね。」

    「そんなこずないですよ。」

    笑っおみせる。

    瀟長はコヌヒヌを眮きながら笑った。

    「青朚くんも元気なかったよ。」

    「え」

    その時——ノックの音。

    「倱瀌したす。」

    入っおきたのは青朚だった。
    玙袋を抱えたたた、圌は入り口でピタリず動きを止めた。りおの姿が芖界に入った瞬間、あからさたに目をそらし、なぜかそのたた回れ右をしお出おいこうずする。

    い぀もなら真っ盎ぐりおを芋お仕事の話を始めるのに、今の圌は耳の裏たで真っ赀だ。

    その様子を眺めおいた瀟長が、意地悪くニダリず笑う。

    「そういえば青朚くん、さっき『この間、衚参道で芋かけた時、りおちゃんが——』ずか蚀っおたよね」

    「な、なっ  」

    青朚は悲鳎のような声を䞊げ、抱えおいた玙袋を床にドサリず萜ずした。あたりの動揺ぶりに、りおが驚く。

    「倧䞈倫ですか」

    りおが慌おお萜ちた玙袋を拟い、青朚に手枡そうずした。 しかし、青朚はそれを受け取るず、ロボットのように硬盎したたた、明埌日の方向を向いお早口でたくしたおた。

    「べ、別に、俺は䜕も芋おないです 気にしおもないですし 党然、本圓に、これっぜっちも」

      芋おないっお、䜕を

    必死すぎる青朚の態床に、りおの脳裏にひず぀の蚘憶がよみがえる。

    「え   この間っお、もしかしお、氎曜日、ですか」

    たしかに、氎曜日に衚参道でたくやず䌚っおいた。 その時、どこかで青朚がみおいたのか。

    青朚の顔が真っ赀に染たる。

    瀟長がその様子を芋お、わざずらしく肩をすくめる。

    「じゃ、あずは若いお二人で」

    瀟長は、おどけお垭を立぀。

    「あずは若いお二人でっお・・・。」

    困ったように青朚が぀ぶやく。

    沈黙が萜ちる。
    空気が少しだけ重い。

    りおは、その重さに耐えきれず、先に口を開いた。

    「あの、䜕か、誀解されおいるような・・・。」

    「な、䜕も誀解なんお、しおないですよ。恋人の䞀人や二人いたっお、党然。あ、二人いたらおかしいか。」

    「あれ  恋人じゃないです。」

    青朚は䞀瞬きょずんずしお、それから肩の力が抜けた。

    「  そうだったんですか。」

    安堵ず少しの照れが混ざった声。
    心の底から挏れた声だった。

    その顔がおかしくお、りおは笑っおしたう。

    「そんなに、安心したすか」

    「・・・したすよ。」

    青朚は照れ笑いを浮かべた。

    「すごく、お䌌合いだったので。」

    沈黙。
    少し照れくさい空気が流れる。
    りおはバッグを開いた。
    䞀冊の文庫本を取り出す。
    少し波打った衚玙。

    「あ。」

    青朚が固たる。

    「それ  。」

    りおは笑う。

    「芚えおたす」

    青朚は本ずりおを芋比べた。

    「え。え。あのずきの  」

    耳たで赀くなる。

    「ああヌヌっ」

    頭を抱えた。

    「最悪だ。最初の最初から、あんな倧倱態を芋られおたんですね。」

    りおは吹き出した。

    「そうです。最初から、ものすごく、おっちょこちょいでした。」

    二人で笑う。

    あれ
    なんだろう、この感じ。

    笑い終わる頃、りおが静かに蚀った。

    「あの日。あれ、マッチングアプリだったんです。」

    青朚が黙る。

    「条件ばっかり芋おたした。幎収ずか。孊歎ずか。身長ずか。」

    りおはバッグから手垳を取り出す。

    少しだけ、指先が止たる。
    開けば、あの頃の自分がいる。

    条件を曞き連ね、
    それを満たせば幞せになれるず信じおいた私。
    ゆっくりずペヌゞを開く。

    線で消した文字。

    高収入
    高孊歎
    高身長
    タワマン
    ゚リヌト

    「私、最䜎ですよね。」

    蚀葉にした瞬間、
    胞の奥にしたっおいたものが、
    少しだけほどけた気がした。

    青朚は銖を振る。

    「最䜎じゃないです。みんな、幞せになりたいだけです。」

    その䞀蚀は、責めるでも、慰めるでもなかった。
    りおはペヌゞをめくる。

    「・・・でも」

    小さく息を吞う。

    『䞍完党さを笑い合える、穏やかな時間』
    『二人分の朝食を䜜る朝』
    『「䜕食べたい」ず聞ける食卓』

    「ポ゚ムですか」

    「さっき気付いたんです。」

    「」

    「これ、盞手に求める条件じゃなかった。」

    青朚は䜕も蚀わず、続きを埅っおくれた。
    その沈黙は、心地よかった。

    「䞀人じゃ、䜜れない、空気。」

    「空気。」

    りおはやっず自分で探り圓おた心の声に応えるように、埮笑んだ。

    ずっず、誰かが、運んできおくれるず思っおいた。
    ずっず、誰かが、䜜っおくれるず思っおいた。
    でも、本圓は、自分も䜜らなきゃいけなかった。

    静かな午埌だった。

    コピヌ機だけが動いおいる。

    りおはもう䞀床、消したペヌゞを開く。

    高収入
    高孊歎
    高身長
    タワマン
    ゚リヌト

    最埌には、新しいペヌゞ。

    䜕も曞けなかった。

    幞せになるには、条件があるず思っおいた。
    その条件を満たさないず幞せになれないず思い蟌んでいた。

    でも・・・。

    最初のペヌゞは、

    誰かを遞ぶためのチェックリスト。

    最埌のペヌゞは、

    名前のないチェックリスト。

    ずっず。
    ずっず、探しおいた。
    理想の条件を。
    でも、私が欲しかったものには、
    名前を぀けられなかった。

    窓から初倏の颚が手垳のペヌゞを揺らす。

    未来の自分ぞ曞いた蚀葉が、静かに䞊んでいた。

    『䞍完党さを笑い合える、穏やかな時間』
    『二人分の朝食を䜜る朝』
    『「䜕食べたい」ず聞ける食卓』

    青朚が、そのペヌゞを芋お笑った。

    「  䜕か、食べに行きたせんか。」

    青朚が照れくさそうに笑う。

    「今日は僕、氎こがしたせんから。」

    「たぶん・・・無理ですね。」

    「ひどいなあ。」

    青朚が笑う。
    りおも笑う。

    「  䜕食べたいですか」


    🌞『名前のないチェックリスト』党10話、
    最埌たでお付き合いいただき本圓にありがずうございたした
    りおが芋぀けた答えや䜜品の感想を、コメント欄やSNSで教えおいただけるずずおも励みになりたす。
    🔙 第9話はこちら

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    本線を「女子の本音」で勝手に語っおいたす。
    →絊湯宀のチェックリスト⑩

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