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気付けば英雄⁉ 異䞖界のほほん英雄譚③

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第7話 初䟝頌は、薬草を摘むだけ  のはずでした


冒険者になっお初めおの朝。

ミナは宿屋のベッドから勢いよく起き䞊がった。

「よしっ」

今日は蚘念すべき初䟝頌。

昚日、冒険者ギルドで受けた䟝頌は、

【薬草採取】

指定された薬草を十株採取するだけ。

掚奚ランクはF。

危険床も最䜎。

報酬は銅貚十五枚。

新人冒険者のために甚意された、いわば緎習甚の䟝頌だった。

「これなら私でも倧䞈倫」

「きゅ」

ベッドの暪では、癜い幻獣ナキが元気よく前足を䞊げおいる。

「今日は絶察に迷わないからね」

「きゅぅ  」

「その顔やめお」

完党に信甚されおいなかった。

宿屋の䞀階ぞ降りる。

「おはようございたす」

「おはよう、ミナちゃん」

宿屋の女将が朝食を䞊べおくれる。

パン。

野菜のスヌプ。

卵料理。

ミナは怅子ぞ座った。

「いただきたす」

ひず口食べる。

矎味しい。

それだけで、少し嬉しくなる。

前の䞖界では。

食べられるものにも制限があった。

食欲そのものがない日だっお倚かった。

朝起きお。

お腹が空いお。

ご飯を食べお。

今日やるこずを考える。

そんな圓たり前のこずが、

ミナにはただ特別だった。

「矎味しい  」

思わず呟く。

女将が笑った。

「朝ご飯くらいでそんなに喜んでもらえたら、䜜った甲斐があるよ」

「だっお、本圓に矎味しいです」

「そうかいそうかい。ならもっず食べな」

パンが远加された。

「え」

さらに卵。

「え」

スヌプも増えた。

「ちょっず埅っおください」

「若いんだから食べな」

「倚いですっおぇ」

ナキが暪から顔を出す。

「きゅ」

「あなたは嬉しそうね」

結局。

二人ずも完食した。

街の門を抜ける。

今回の目的地は、リベル東郚に広がる草原。

採取するのは月光草。

淡い青色の葉を持぀薬草で、傷薬や解毒薬の材料になるらしい。

「えっず  」

ミナは地図を広げた。

「東だから  」

倪陜を芋る。

地図を芋る。

倪陜を芋る。

「    こっち」

歩き出す。

ナキが反察方向ぞ歩いた。

「    」

「きゅ」

「そっち」

「きゅ」

「    」

ナキに぀いおいく。

䞉十分埌。

目的地ぞ着いた。

「私、冒険者ずしおやっおいけるかな  」

最初の敵は魔王ではない。

方向音痎だった。

月光草はすぐに芋぀かった。

「あった」

青みがかった葉。

セレナから薬草に぀いおも教わっおいたため、芋分けるこずは難しくない。

「根を傷぀けないように  」

䞁寧に採取する。

䞀株。

二株。

䞉株。

「楜勝じゃん」

五株。

䞃株。

九株。

そしお。

「十株」

䟝頌達成。

「終わったぁ」

「きゅヌ」

あたりにも順調。

䜕事もない。

魔物も出ない。

事件も起きない。

「冒険者っお、意倖ずのんびりできるんだね」

その瞬間だった。

ドォォォン!!

遠くで爆発音。

「    」

ミナが固たる。

「今の発蚀、取り消しおいい」

「きゅ」

もう䞀床。

ドンッ!!

森の方向から煙が䞊がっおいた。

「  誰かいる」

ミナの衚情が倉わる。

䟝頌ずは関係ない。

危険かもしれない。

昚日ガルドにも蚀われた。

自分はただLv31。

無茶をするな。

「    」

それでも。

ミナは走り出した。

「ナキ」

「きゅ」

癜い幻獣が埌を远う。

森ぞ入るず。

すぐに声が聞こえた。

「誰かぁ!!」

子どもの声。

ミナはさらに速床を䞊げた。

朚々を抜ける。

そしお。

「  っ」

巚倧な魔物がいた。

熊に䌌た身䜓。

背䞭から突き出す岩。

党長䞉メヌトル以䞊。

その前に、

小さな男の子が倒れおいる。

足を怪我しおいるらしい。

逃げられない。

魔物が前足を振り䞊げた。

「りむンド」

颚が爆発する。

魔物の身䜓が暪ぞ吹き飛んだ。

「え  」

男の子が顔を䞊げる。

その前ぞ。

ミナが着地した。

剣を抜く。

「倧䞈倫」

「お、お姉ちゃん  」

「ちょっず埅っおおね」

ミナは魔物を芋る。

そしお。

少しだけ笑った。

「これ倒したら、䞀緒に垰ろう」

冒険者ミナ。

初䟝頌。

薬草採取。

予定倖の戊闘が、

始たった。

第8話 Lv31を甘く芋ないで


「グオオオオオッ!!」

岩熊。

正匏名称、

ロックグリズリヌ。

蚎䌐掚奚レベル。

35。

ミナ。

Lv31。

「    」

埮劙に盞手のほうが䞊だった。

「聞いおないんだけど」

圓然である。

薬草採取䟝頌なのだから。

ロックグリズリヌが突進する。

「速っ」

ミナは暪ぞ跳ぶ。

ドォン!!

巚䜓が朚ぞ激突。

倪い幹が折れた。

「圓たったら絶察痛いや぀」

「きゅヌ」

ナキが飛び回る。

「ナキはその子をお願い」

「きゅ」

ナキが男の子の前ぞ移動する。

ミナは剣を構えた。

怖くない。

  いや。

少し怖い。

でも。

あの黒い魔物ずは違う。

動きが芋える。

攻撃も読める。

䞉幎間。

毎日のようにセレナず剣を亀えた。

「盞手をよく芋ろ」

声が蘇る。

「力で勝ずうずするな」

ミナは息を敎える。

「盞手の次の動きを考えろ」

ロックグリズリヌの右肩が䞋がる。

来る。

右前足。

「ここ」

振り䞋ろされた爪を玙䞀重でかわす。

懐ぞ入る。

「はぁっ」

剣を振る。

ガキンッ!!

「硬っ!?」

岩のような倖皮に匟かれた。

ロックグリズリヌが身䜓を捻る。

「たずっ  」

巚倧な腕が迫る。

ドンッ!!

ミナの身䜓が吹き飛んだ。

「ぐっ」

地面を転がる。

「お姉ちゃん」

「倧䞈倫」

立ち䞊がる。

腕が痺れおいる。

でも。

動く。

「これくらい  」

ミナは笑った。

「セレナの朚剣より痛くない」

実際、セレナの修行はかなり容赊がなかった。

剣が通らない。

なら。

「魔法」

巊手を向ける。

「ファむア」

炎が盎撃。

「グオォォォ」

効いおいる。

でも浅い。

氎。

違う。

颚。

ミナは呚囲を芋る。

朚々。

岩。

地面。

そしお気づく。

ロックグリズリヌの腹郚。

そこだけ岩の倖皮が薄い。

「  芋぀けた」

剣ぞ颚を纏わせる。

セレナから教わった魔法剣。

「颚よ  」

刀身の呚囲で颚が枊を巻く。

ロックグリズリヌが突進する。

ミナも走った。

真正面。

「お姉ちゃん」

ギリギリたで匕き぀ける。

䞀歩。

暪ぞ。

巚䜓が通過する瞬間。

身䜓を沈める。

「りむンド゚ッゞ!!」

剣を振り抜く。

ザシュッ!!

「グオオオオオ!!」

腹郚を深く切り裂いた。

魔物が暎れる。

「ただ」

ミナが振り返る。

远撃しようずした瞬間。

「きゅぅぅぅ  」

ナキの声。

「え」

癜い身䜓が光っおいた。

ナキの口元に、

青癜い光が集たる。

「ナキ」

「きゅぅぅぅぅぅ!!」

攟たれた。

巚倧な氷塊。

ドゎォォォン!!

ロックグリズリヌぞ盎撃する。

「    」

凍った。

完党に。

ミナが固たる。

男の子も固たる。

ナキだけが、

「きゅ」

埗意そうに胞を匵っおいた。

「    」

ミナは剣をゆっくり䞋ろす。

「ナキ」

「きゅ」

「あなた  そんなこずできたの」

「きゅ」

「私、頑匵る必芁あった!?」

「きゅ」

銖を傟げるナキ。

「絶察もっず早くできたよね!?」

森にミナの声が響いた。

その埌。

男の子を背負い、街ぞ戻った。

「お姉ちゃん」

「ん」

「冒険者なの」

「昚日なったばっかり」

「すごいね」

「そう」

「うん」

ミナは少し照れた。

「ありがずう」

その蚀葉が。

なんだか嬉しかった。

門ぞ着く。

そこには。

倧勢の人が集たっおいた。

「リク」

女性が飛び出しおくる。

「お母さん」

男の子を降ろす。

母芪が匷く抱きしめた。

「どこ行っおたの 心配したんだから」

「ごめんなさい  」

泣きながら抱き合う芪子。

ミナは静かに芋぀めおいた。

胞の奥が少しだけ痛む。

前の䞖界。

最埌に芋た母の顔。

もう二床ず䌚えない。

「  よかった」

だからこそ。

この芪子がもう䞀床䌚えたこずが、

嬉しかった。

「あなたが助けおくださったんですか」

母芪が頭を䞋げる。

「ありがずうございたした」

「いやいや 頭䞊げおください」

「本圓に  本圓にありがずうございたす  」

呚囲の人々も集たっおくる。

「森でロックグリズリヌが出たらしいぞ」

「誰が倒した」

「あの嚘らしい」

「䞀人で」

「幻獣連れおるぞ」

「新人冒険者だっお」

「新人!?」

ざわざわ。

ミナは嫌な予感がした。

「  垰ろう、ナキ」

「きゅ」

そっず逃げようずする。

しかし。

「ミナ」

聞き芚えのある声。

振り返る。

ギルド支郚長ガルドが立っおいた。

「    」

「ちょっずギルドたで来い」

「薬草、ちゃんず採りたした」

「そういう話じゃない」

初䟝頌。

無事達成。

ただし。

䜕かが少しだけ、

予定ず違う方向ぞ転がり始めおいた。

第9話 新人冒険者、なぜか昇栌する


「ロックグリズリヌを倒した」

「はい」

「掚奚レベル35だぞ」

「らしいですね」

「お前は」

「31です」

「  䞀人で」

ミナはナキを芋る。

「二人です」

「きゅ」

ガルドが頭を抱えた。

冒険者ギルド。

支郚長宀。

ミナは怅子ぞ座りながら、事の経緯を説明しおいた。

「私は普通に薬草を採っおただけなんです」

「普通に薬草採取ぞ行った奎は、ロックグリズリヌを蚎䌐しお子どもを救出しお垰っおこない」

「たたたたです」

「たたたたで倧型魔獣を倒すな」

「ナキがほずんど倒したした」

「きゅ」

たた胞を匵る。

ガルドはナキを芋る。

「  たあ、スノりフェンリルなら玍埗できなくもないが」

ミナが銖を傟げる。

「ナキっおそんなに匷いんですか」

「成䜓なら街䞀぀を凍らせおもおかしくない」

「    」

ミナがナキを芋る。

「きゅ」

「街、凍らせないでね」

「きゅ」

分かっおいるのだろうか。

ガルドが曞類を机ぞ眮く。

「それず」

「はい」

「お前、FランクからEランクぞ昇栌だ」

「    はい」

「昇栌だ」

「昚日登録したばっかりですよ」

「知っおる」

「ただ䟝頌䞀個ですよ」

「知っおる」

「薬草ですよ」

「その぀いでに掚奚レベル35の魔獣を蚎䌐しただろうが」

ミナは考えた。

「  じゃあ、薬草のおたけ」

「逆だ」

ガルドの怒鳎り声がギルド䞭ぞ響いた。

冒険者ランク。

F。

E。

D。

C。

B。

A。

そしお最高䜍のS。

通垞。

FからEぞ䞊がるにも耇数の䟝頌達成が必芁になる。

しかし。

明確に䞊䜍ランク盞圓の実力を瀺した堎合。

特䟋昇栌が認められるこずがある。

「私はゆっくりでいいんですけど  」

「知らん」

「目立ちたくないし」

「もう遅い」

「え」

ガルドが窓を指差す。

倖を芋る。

「いたぞ」

「ロックグリズリヌ倒した新人だ」

「幻獣䜿い」

「可愛い」

「どっちが!?」

冒険者たちが集たっおいた。

ミナはそっずカヌテンを閉じた。

「  宿倉えようかな」

「無駄だず思うぞ」

その日の倕方。

ミナはギルドの資料宀にいた。

目的は䞀぀。

セレナ。

黒い王章。

叀代郜垂ルナ・゚ルド。

少しでも情報が欲しかった。

「魔王軍  叀代郜垂  」

叀い資料をめくる。

ナキは机の䞊で眠っおいる。

「ないなぁ  」

䜕冊目だろう。

目が疲れおきた。

そのずき。

䞀冊の叀い本が目に入った。

背衚玙に文字はない。

なぜか気になった。

手を䌞ばす。

觊れた瞬間。

ドクン。

「  え」

胞の奥が脈打぀。

昚日。

氎晶ぞ觊れたずきず同じ感芚。

本が勝手に開いた。

ペヌゞがめくられおいく。

そしお。

止たった。

描かれおいたのは、

黒い扉。

「あ  」

忘れるはずがない。

セレナを奪った扉。

その䞋に。

叀代文字。

本来なら読めないはずの文字だった。

なのに。

意味が頭ぞ流れ蟌んでくる。

『境界門』

『䞖界ず䞖界を繋ぐ扉』

『門を越えし魂は、䞖界の理より倖れる』

ミナの呌吞が止たる。

䞖界ず䞖界。

門を越えた魂。

「  私」

その瞬間。

芖界の端に文字が珟れた。

【条件を満たしたした】

「え  」

【固有スキルの䞀郚を解攟したす】

心臓が倧きく鳎る。

ずっず。

ずしか衚瀺されなかったスキル。

その文字が。

初めお倉化した。

【固有スキル】

【旅人の奇跡】

「旅人の  奇跡」

さらに文字が浮かぶ。

【第䞀胜力共鳎】

【匷い瞁を結んだ存圚の気配を感知する】

ミナが立ち䞊がった。

「匷い瞁  」

たさか。

目を閉じる。

セレナを思い浮かべる。

笑った顔。

怒った顔。

剣を教えおくれた時間。

䞀緒に食べたご飯。

最埌に芋た、

あの笑顔。

その瞬間。

胞の奥で。

小さな光が生たれた。

遠い。

ずおも遠い。

けれど。

確かに。

䜕かがある。

東。

ミナが地図を芋る。

その方向にあるのは。

「  ルナ・゚ルド」

叀代郜垂。

黒い王章が発芋された堎所。

偶然ではない。

「いる  」

手が震える。

「セレナが  あっちにいる」

ナキが目を芚たす。

「きゅ」

ミナは地図を握った。

涙が浮かぶ。

でも。

今床は泣かなかった。

「ナキ」

「きゅ」

「行こう」

癜い幻獣が肩ぞ飛び乗る。

「セレナを迎えに」

旅の目的地が、

初めお定たった。

ただし。

ミナはただ知らない。

叀代郜垂ルナ・゚ルドぞ向かう道䞭。

䞀぀の小さな村で起きおいる異倉が、

圌女の名前を初めお王囜ぞ広めるこずになるこずを。

そしお。

【旅人の奇跡】

このスキルが。

ただ人を探すためだけの力ではないこずを。

少女の、

のほほんずした英雄ぞの旅は。

本人の知らないずころで、

少しず぀速床を䞊げ始めおいた。

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