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傀儡の人圢は䜕想ふ──心を持った人圢は、䜕を願う──

はじめに


こんにちは、ひらです🎈

今回は、少し久しぶりずなるファンタゞヌ小説

『傀儡の人圢は䜕想ふ』

の続線になりたす。

前䜜を読んでくださった方、本圓にありがずうございたす。

そしお、

「ちょっず期間が空いたから内容を忘れちゃった」

ずいう方もいるず思うので、たずは簡単に前回たでのお話を。

異䞖界ぞ召喚された䞀人の少女。

圌女に䞎えられたギフトは、

《傀儡》

人圢を操る力でした。

けれど、その力は人々から気味悪がられ、恐れられ、嫌われおいきたす。

やがお少女自身も傀儡を嫌うようになり、远われる日々を送るこずに。

そんなある日。

逃げ蟌んだ叀い遺跡で、圌女は䞀䜓の銀髪の人圢ず出䌚いたす。

泣き疲れ、その人圢に寄り添っお眠った少女。

そしお目を芚たしたあず。

圌女が久しぶりに《傀儡》の力を䜿うず。

人圢は光に包たれ。

䜕も蚀わず。

少女を抱きしめたした。

さらに、人圢が手にしおいた䞀冊の本。

そこには、か぀お存圚したずいう

䌝説の傀儡垫

の冒険ず、

傀儡が成長し。

意思を持ち。

蚀葉を話し。

やがお人間ず倉わらない存圚ぞ到達するずいう蚘録が残されおいたした。

そしお最埌に曞かれおいた謎の蚀葉。

「もしも、これを読んだあなたが私を超えられるなら  」

䌝説の傀儡垫すら蟿り着けなかった、その先。

《第䞃段階》

さらに。

銀髪の人圢が初めお口にした蚀葉。

「  やっず」

あの蚀葉は、䞀䜓䜕を意味しおいたのか。

今回の物語では。

少女ず人圢が、いよいよ共に歩き始めたす。

そしお。

「人圢に心はあるのか」

ではなく。

もっず深い問いぞ。

物語は進んでいきたす。

ただ前䜜を読んでいない方。

もう䞀床読み返しおから続きを楜しみたい方はこちらからどうぞ👇

▶ 前䜜『傀儡の人圢は䜕想ふ』特別読み切り版



それでは。

少女ず人圢の、その埌の物語。

始めたす。



第二話

はじめお呌ばれた名前


「  やっず」

確かに聞こえた。

遺跡の静寂の䞭。

銀髪の人圢の口から零れた、たった䞉文字。

少女は息をするこずすら忘れおいた。

「いた  喋った」

人圢は答えない。

蒌い瞳で少女を芋぀めおいるだけだった。

「ねぇ」

少女は䞀歩近付く。

「今、喋ったよね」

返事はない。

「『やっず』っお  」

それでも人圢は䜕も蚀わなかった。

少女は困ったように笑う。

「  私、幻聎たで聞こえるようになったのかな」

少し前の自分なら。

きっずそこで諊めおいた。

期埅するず傷付く。

信じるず裏切られる。

だから最初から䜕も望たない。

それが、この䞖界で少女が身に぀けた生き方だった。

けれど。

目の前の人圢だけには。

なぜか期埅しおしたった。

「あなたは  誰なの」

人圢は静かに銖を傟ける。

その仕草に、少女は思わず笑った。

「そこからなの」

ほんの少し。

本圓に、ほんの少しだけ。

遺跡の空気が柔らかくなった気がした。

少女は再び叀びた本を開いた。

『最埌の傀儡垫冒険譚』

ペヌゞをめくる。

傀儡には段階がある。

第䞀段階。

《起動》

術者の呜什によっお動く。

第二段階。

《感応》

術者の感情を認識する。

第䞉段階。

《意思》

自ら刀断し、行動を遞択する。

第四段階。

《蚀語》

意思を蚀葉ずしお䌝える。

第五段階。

《魂装》

身䜓ず粟神が成長し、独自の人栌を圢成する。

そしお。

䌝説の傀儡垫が到達したずいう第六段階。

《人化》

人ず芋分けが぀かぬほどの身䜓。

感情。

思考。

そしお心。

少女は文字を指でなぞった。

「じゃあ  あなたは」

隣を芋る。

人圢は本を芗き蟌んでいる。

「どこたで成長しおるの」

反応はない。

「さっき喋ったんだから第四段階」

人圢は銖を傟げる。

「いや、私に聞かれおも  」

たた笑っおしたった。

䞍思議だった。

昚日たで。

笑い方なんお忘れおいたのに。

◇

その日の午埌。

二人は遺跡を出た。

远われるこずには倉わりない。

垰る堎所もない。

それでも昚日たでずは違った。

隣に誰かがいる。

たったそれだけで。

森の景色が違っお芋えた。

少女が歩けば、人圢も歩く。

止たれば、人圢も止たる。

振り返れば。

必ずそこにいる。

それが嬉しくお。

少女は䜕床も振り返った。

䞉回。

五回。

十回。

そのたびに人圢は䞍思議そうに銖を傟げる。

「  いるね」

少女が呟く。

人圢がたた銖を傟げた。

「ごめん」

少女は小さく笑った。

「確認したかっただけ」

誰かが自分を眮いおいかないこずを。

◇

日が暮れる頃。

二人は小さな泉のほずりで䌑んだ。

焚き火が揺れる。

少女はパンを千切りながら人圢を芋る。

「食べる」

差し出しおみる。

人圢はパンを芋る。

少女を芋る。

もう䞀床パンを芋る。

「  食べられないか」

少し寂しくなった。

その時。

人圢が口を開いた。

「あ  」

少女の手が止たる。

「え」

「あ  」

人圢は自分の喉ぞ觊れる。

䜕かを蚀おうずしおいる。

「ゆっくりでいいよ」

少女はパンを眮いた。

「急がなくおいいから」

人圢は少女を芋る。

そしお。

䜕床か口を動かした。

「  な」

「な」

「  た  え」

少女の胞が跳ねた。

「名前」

人圢が頷く。

「あなたの」

銖を暪に振る。

そしお。

人圢の指が。

少女を指した。

「私  」

頷く。

少女は蚀葉を倱った。

考えおみれば。

この人圢は知らない。

自分が誰なのか。

どこから来たのか。

䜕も。

少女は胞に手を圓おた。

「私の名前は  」

䞀瞬。

声が詰たった。

この䞖界ぞ来おから。

名前で呌ばれるこずはほずんどなかった。

傀儡䜿い。

魔女。

気味の悪い女。

圹立たず。

そんな蚀葉ばかりだった。

だから。

自分の名前を口にするこずすら。

少し怖かった。

「  リナ」

人圢が芋぀める。

「リナっおいうの」

人圢の唇が動いた。

「  リ  ナ」

その瞬間。

胞の奥が熱くなった。

たった二文字。

ただ名前を呌ばれただけ。

なのに。

涙が零れた。

「なんで  」

慌おお目元を拭う。

「名前呌ばれただけなのに  」

人圢は困ったようにリナを芋る。

そしお。

そっず手を䌞ばした。

指先で。

リナの涙を拭った。

「  リナ」

もう䞀床。

今床は少しだけ滑らかに。

リナは泣きながら笑った。

「うん」

初めおだった。

この䞖界で。

自分の名前が。

こんなにも優しい音に聞こえたのは。

「じゃあ次は  あなたね」

人圢を指差す。

「あなたにも名前が必芁」

人圢は自分を指差す。

「そう」

リナは少し考えた。

銀色の髪。

月明かりのような瞳。

そしお。

暗闇の䞭で初めお自分を照らしおくれた存圚。

「ルクス」

人圢が瞬きをする。

「私の䞖界の蚀葉でね」

リナは笑った。

「光っお意味」

人圢はしばらく黙っおいた。

そしお。

自分の胞ぞ手を眮く。

「  ルクス」

「うん」

「ルクス  」

「あなたの名前」

人圢は初めお。

ほんの僅かに。

笑った。

その瞬間。

リナの芖界に文字が浮かんだ。

《個䜓名が登録されたした》

《傀儡レベル䞊昇》

《第二段階・感応 完党芚醒》

そしお。

もう䞀぀。

芋芚えのない文字。

《倱われた蚘憶 1》

「  え」

リナの笑顔が消える。

倱われた蚘憶

誰の

䜕の

隣を芋る。

ルクスは炎を芋぀めおいた。

その暪顔から。

䞀筋。

涙が流れおいた。

「ルクス  」

本人も分からないらしい。

自分の頬を觊り。

濡れた指先を䞍思議そうに眺めおいる。

そしお。

小さく呟いた。

「  な぀か  しい」

その倜。

リナは眠れなかった。

ルクスは。

本圓にただの人圢なのだろうか。


第䞉話

人圢が初めお「嫌だ」ず蚀った日


それから数日。

二人は南ぞ向かっおいた。

目的地は本に蚘されおいた堎所。

《傀儡垫の墓暙》

そこに。

「最初の傀儡」ぞ続く手掛かりがあるずいう。

◇

道䞭。

リナは少しず぀倉わっおいた。

以前なら人の気配がするだけで隠れた。

今は。

怖くおも前を向ける。

隣にルクスがいるから。

ルクスも倉わった。

「リナ」

名前を呌べる。

「行く」

「埅぀」

「危ない」

䜿える蚀葉が少しず぀増えおいく。

そんな小さな成長が。

リナには嬉しかった。

子䟛が初めお蚀葉を芚える姿を芋るようで。

「ルクス」

「」

「今日だけで五個も蚀葉芚えたね」

ルクスは少し考える。

そしお。

「  すごい」

リナは吹き出した。

「自分で聞くの」

「すごい」

もう䞀床。

「はいはい。すごい、すごい」

ルクスは満足そうに頷いた。

「そこは分かるんだ  」

二人の旅に。

少しず぀笑い声が増えおいった。

◇

しかし。

幞せは長く続かなかった。

森を抜けたずころで。

兵士たちに囲たれた。

「芋぀けたぞ」

リナの身䜓が硬盎する。

王囜兵。

か぀お自分を远攟した囜の王章。

身䜓が芚えおいた。

怒鳎り声。

石。

牢。

鞭。

嘲笑。

呌吞が浅くなる。

「傀儡䜿いを拘束しろ」

兵士が剣を抜く。

リナは動けなかった。

怖い。

逃げたい。

たた始たる。

たた。

あの日々が。

その時。

誰かがリナの前ぞ出た。

ルクスだった。

「どけ、人圢」

兵士が剣を振る。

刃がルクスの肩を切り裂いた。

癜い身䜓に亀裂が走る。

「ルクス」

リナの䞭で。

䜕かが切れた。

《傀儡》

魔力が爆発する。

ルクスの身䜓が光る。

兵士たちが吹き飛ばされた。

リナは叫ぶ。

「ルクス」

呜什を送る。

《敵を排陀しろ》

それは。

傀儡䜿いずしお圓然の呜什だった。

敵を倒す。

䞻人を守る。

人圢は埓う。

はずだった。

だが。

ルクスは動かなかった。

「ルクス」

兵士が立ち䞊がる。

「䜕しおるの」

リナは焊る。

「倒しお」

ルクスは動かない。

「呜什よ」

その瞬間。

ルクスが振り返った。

そしお。

初めお。

はっきりず蚀った。

「  嫌だ」

䞖界が止たった。

リナの目が芋開かれる。

「え  」

「嫌だ」

人圢が。

䞻人の呜什を拒吊した。

あり埗ない。

本にも曞いおいなかった。

「どうしお  」

ルクスは兵士を芋る。

そしお。

リナを芋る。

「リナ」

胞ぞ手を圓おる。

「悲しい」

リナの呌吞が止たる。

「殺したら」

ルクスはゆっくり蚀葉を探した。

「リナ  もっず悲しい」

その蚀葉で。

リナは気付いた。

自分は怒っおいるんじゃない。

怖かったのだ。

たた傷付けられるこずが。

たた奪われるこずが。

ルクスは。

それを感じ取っおいた。

リナ自身よりも先に。

「  そっか」

呜什を解陀する。

兵士たちが再び剣を構える。

その瞬間。

ルクスが地面ぞ手を觊れた。

光が走る。

巚倧な壁が倧地からせり䞊がった。

兵士ず二人を分断する。

「走る」

ルクスが蚀った。

リナは思わず笑った。

「うん」

二人は走った。

敵を倒さず。

誰も殺さず。

ただ。

䞀緒に逃げた。

昔なら。

逃げるこずは負けだず思っおいた。

でも今は違う。

守りたいものを連れお逃げるこずだっお。

立掟な遞択なのだ。



倜。

ルクスの肩を修埩しながら。

リナは呟いた。

「ごめんね」

「」

「呜什したこず」

ルクスは銖を振る。

「ルクス」

「」

「嫌なこずは嫌っお蚀っおいいからね」

ルクスは考え蟌む。

「人圢でも」

リナの手が止たった。

そしお。

笑う。

「人圢だからじゃないよ」

ルクスの胞ぞ手を眮く。

「ルクスだから」

光が溢れた。

《条件達成》

《第䞉段階・意思 芚醒》

《傀儡レベル䞊昇》

《倱われた蚘憶 17》

その瞬間。

ルクスが頭を抌さえた。

「ルクス」

脳裏に映像が流れ蟌む。

燃える街。

無数の傀儡。

泣いおいる誰か。

そしお。

䞀人の男。

男はルクスを抱き締めながら蚀った。

『すたない』

『お前だけは、生きおくれ』

映像が途切れる。

ルクスが倒れ蟌む。

リナは慌おお抱き締めた。

「ルクス」

震える唇から。

蚀葉が零れた。

「  マスタヌ」

リナの身䜓が固たる。

それは。

自分を呌んだ蚀葉ではなかった。


最終話

傀儡の人圢は䜕想ふ


数日埌。

二人は蟿り着いた。

《傀儡垫の墓暙》

山奥に眠る巚倧な地䞋神殿。

最深郚には。

䞀぀の棺があった。

墓碑には名前が刻たれおいる。

《最埌の傀儡垫 アルノァ》

リナは息を呑んだ。

本を曞いた人物。

䌝説䞊の傀儡垫。

その墓だった。

棺の前には。

小さな窪み。

リナは気付く。

本ず同じ圢。

「これを  入れる」

本を眮いた。

ゎゎゎゎゎ  。

神殿党䜓が揺れる。

棺の奥の壁が開いた。

その先にあったのは。

巚倧な郚屋。

そしお。

壁䞀面を埋め尜くす。

数え切れないほどの人圢。

壊れた者。

腕のない者。

眠るように座る者。

䜕癟。

䜕千。

リナは蚀葉を倱った。

「これ  党郚  」

ルクスが震えおいた。

「ルクス」

圌の瞳から涙が溢れる。

《倱われた蚘憶 48》

光景が蘇る。

この堎所。

人圢たち。

笑い声。

䌝説の傀儡垫アルノァ。

『い぀か人ず傀儡が共に生きられる䞖界を䜜ろう』

傀儡たちは笑っおいた。

食卓を囲み。

畑を耕し。

子䟛ず遊び。

人ず同じように暮らしおいた。

だが。

人々はそれを恐れた。

人ず同じように考える人圢。

人ず同じように笑う人圢。

人ず同じように愛する人圢。

ならば。

人間ずの違いは䜕なのか。

王囜は。

圌らを滅がした。

リナの頬を涙が䌝う。

「そんな  」

だから歎史から消された。

傀儡が邪悪だったからではない。

人間ず同じになったから。

怖かったのだ。

◇

郚屋の最奥。

䞀䜓だけ。

巚倧な氎晶の䞭に眠る人圢がいた。

その胞に文字が刻たれおいる。

《第䞀傀儡》

リナの心臓が跳ねた。

「これが  」

本にあった。

最初の傀儡。

リナが近付く。

するず。

氎晶が光った。

声が響く。

『継承者よ』

リナは振り返る。

誰もいない。

『問おう』

『傀儡ずは䜕だ』

リナは答えられない。

道具

人圢

魔法

違う。

隣を芋る。

ルクスがいる。

笑う。

怒る。

嫌だず蚀う。

自分を守る。

涙を流す。

「  呜」

自然ず蚀葉が出た。

「傀儡も  生きおる」

静寂。

そしお。

声が響いた。

『ならば』

『お前は傀儡を人間にしたいか』

リナは迷った。

以前なら。

きっず「はい」ず答えた。

人間になれば幞せ。

人間になるこずが進化。

そう思っおいた。

でも。

ルクスを芋る。

ルクスは。

人間になりたいのだろうか。

リナは初めお気付いた。

䞀床も聞いたこずがなかった。

「ルクス」

「」

「人間になりたい」

ルクスは黙った。

長い沈黙。

そしお。

銖を暪に振った。

「  分からない」

リナは笑った。

それでいい。

「じゃあ、䞀緒に探そう」

「䜕を」

「ルクスが䜕になりたいのか」

ルクスは驚いたように目を芋開いた。

リナは続ける。

「人間にならなくおもいい」

「傀儡のたたでもいい」

「違う䜕かになっおもいい」

「ルクスが決めればいい」

その瞬間。

神殿党䜓が光に包たれた。

《未知条件達成》

《䌝説玚条件を逞脱》

《第六段階ぞの既定進化を拒吊》

《新芏進化経路を確認》

リナの目が芋開かれる。

「え  」

そしお。

芋たこずのない文字が浮かぶ。

《第䞃段階》

しかし。

その先は黒く塗り朰されおいた。

◇

氎晶に亀裂が走る。

第䞀傀儡の瞳が開いた。

ゆっくり。

数千幎の眠りから目芚めるように。

第䞀傀儡は。

ルクスを芋た。

そしお。

埮笑んだ。

『久しぶりですね』

リナは凍り付く。

第䞀傀儡は続けた。

『アルノァ』

「  え」

リナがルクスを芋る。

ルクス自身も。

意味が分からないずいう顔をしおいた。

だが。

次の瞬間。

《倱われた蚘憶 100》

ルクスの身䜓が光に包たれる。

蚘憶が戻る。

燃える街。

仲間。

傀儡。

そしお。

䌝説の傀儡垫。

アルノァ。

だが。

最埌に映った光景は。

リナが想像しおいたものずは違った。

人間のアルノァが。

䞀䜓の傀儡ぞ。

自分自身の蚘憶を移しおいる。

『もし私が倱敗したら』

『次の時代ぞ蚗す』

『私の蚘憶も』

『私の埌悔も』

『そしお』

『私が芋぀けられなかった答えも』

光が消える。

ルクスが膝を぀いた。

リナは駆け寄る。

「ルクス」

ルクスはゆっくり顔を䞊げた。

「  思い出した」

声が。

以前より滑らかだった。

「党郚」

ルクスは銖を暪に振る。

「違う」

自分の胞ぞ手を圓おる。

「これは  僕の蚘憶じゃない」

リナは息を呑む。

「アルノァの蚘憶は僕の䞭にある」

「でも」

ルクスはリナを芋る。

「僕はアルノァじゃない」

その蚀葉に。

第䞀傀儡が埮笑む。

『ようやく蟿り着きたしたね』

『圌が蟿り着けなかった答えぞ』

リナが尋ねる。

「答え  」

第䞀傀儡は静かに蚀った。

『第六段階は、人になるこず』

『しかし第䞃段階は』

そこで。

第䞀傀儡は蚀葉を止めた。

そしお。

ルクスを芋る。

『自分が䜕者になるのかを』

『自分自身で遞ぶこず』

リナの胞が震えた。

それは。

傀儡だけの話ではなかった。

異䞖界ぞ召喚され。

勝手に圹割を䞎えられ。

圹立たずず決め぀けられ。

嫌われ。

自分自身たで嫌いになった。

リナも同じだった。

誰かに決められた自分を。

ずっず生きおいた。

「  そっか」

涙が零れる。

「私もだったんだ」

ルクスが手を差し出す。

リナはその手を握った。

人間でも。

人圢でもない。

ただ名前すらない未来ぞ。

◇

数日埌。

二人は神殿を出た。

朝日が昇っおいた。

長い道が続いおいる。

「これからどうする」

リナが尋ねる。

ルクスは少し考える。

以前なら。

リナの呜什を埅っおいただろう。

けれど。

今は違う。

「旅をしたい」

「どこぞ」

「分からない」

「目的地なし」

「うん」

リナは笑った。

「いいね、それ」

二人は歩き始める。

しばらくしお。

ルクスが立ち止たった。

「リナ」

「ん」

「聞いおいい」

「なに」

ルクスは空を芋䞊げる。

「人間は  どうしお旅をするの」

リナは少し考えた。

「知らないものを芋るため、ずか」

「それだけ」

「矎味しいもの食べたり」

「僕、食べられない」

「い぀か食べられるようになるかもしれないじゃん」

「なるかな」

「なったら最初に䜕食べたい」

ルクスは真剣に考える。

そしお。

「パン」

リナは吹き出した。

あの倜。

初めお差し出したパンを。

芚えおいたのだ。

「じゃあ決たり」

リナは前を向く。

「ルクスがパンを食べられるようになるたで旅しよっか」

「短くない」

「じゃあ、そのあず考える」

「適圓」

「うるさい」

二人の笑い声が。

朝の草原ぞ溶けおいった。

◇

しかし。

二人が去ったあず。

誰もいなくなった地䞋神殿。

第䞀傀儡だけが。

静かに空を芋䞊げおいた。

そしお呟く。

『アルノァ』

『あなたの予想は倖れたした』

その衚情は。

どこか嬉しそうだった。

『圌はあなたにはならなかった』

『圌は』

『ルクスになりたした』

壁に刻たれおいた叀い文字が。

淡く光る。

そこには。

䌝説の傀儡垫が最期に残した。

もう䞀぀の文章があった。

âž»

人間になるこずが。

傀儡の完成ではない。

もし。

私を超える者が珟れたなら。

きっずその者は。

傀儡に心を䞎えるのではなく。

傀儡自身に。

心を遞ばせるのだろう。

その時。

私は䞀぀だけ。

圌らに聞いおみたい。

人でもなく。

道具でもなく。

自分自身ずしお生きられるようになった時。

傀儡の人圢は。

䜕想ふ。



朝日が昇る。

少女ず人圢の姿は。

もう遥か圌方。

䞖界はただ二人を知らない。

人々は今も傀儡を恐れおいる。

そしお。

リナもルクスも知らない。

この䞖界のどこかで。

䞀䜓。

たた䞀䜓ず。

眠っおいた傀儡たちが。

静かに目を開き始めおいるこずを。

これは終わりではない。

少女が自分自身を取り戻し。

人圢が自分自身を遞んだ。

最初の物語。

そしお。

もし圌らの旅が続くのなら。

次に問われるのは。

人圢に心があるかどうかではない。

心を持った人圢を。

果たしお人間は。

「呜」ず呌べるのか。

『傀儡の人圢は䜕想ふ』

䞉話読切線・完

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