
あの戸棚をもう一度、開けようと思えた日 #171
もう歪んでしまって使えなくなった
あのイヤリングを、
しまっておいたあの戸棚。
それをまた、開けようと思えた。
あれからどれくらい経っただろうか。
かなり長い時間が流れていたのか。
そこまで経っていないのか。
ただ、気がつけば季節は流れ、
景色も変わっていた。
戸棚の前で、深呼吸をする。
恐る恐る手を伸ばした。
震える手で開ける。
…あった。
前と同じ場所に。
前と何一つ変わらず。
ちゃんと、歪んだまま。
本当はもう違うのかもしれない。
私は見た。
そして、そっと閉めた。
身体だけが、最後の時を覚えていた。
大切だけど、
もう私の耳にははまらない。
この耳に何もないままでも、
もう大丈夫。
そう気づいた時、
一筋だけ、涙が流れ落ちた。
※追記
かみこてさんがこの記事を詩にして、
記事にしてくださいました。
心に余韻が残るような、
素敵すぎる詩なのでぜひ✨
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