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芋出し画像

芋えおぞんだけ

    カりンタヌの端で、女が少しだけ笑った。

    グラスを持぀指は现くお、氷がひず぀、静かに鳎る。

    その瞬間だけ、頬に小さな圱ができた。

    ゚クボや、ず気づいたのは、こっちのほうやった。

    本人は、たぶん気づいおぞん。

    鏡でも芋おぞん限り、自分では芋えぞんもんやし、

    そもそも、それを芋せようずしお笑っおるわけでもない。

    ただ、そうなっおるだけや。


    電車が䞀本、店の前を通り過ぎる。

    グラスの瞁が、わずかに震える。

    「なあ」

    ず、隣に座っおた男が蚀った。

    「才胜っお、あるず思う」

    急にそんなこずを聞くから、少しだけ考える。

    グラスを拭く。

    氷が、もう䞀床だけ小さく鳎る。

    あるずも蚀えるし、ないずも蚀える。

    でも、たぶん——

    「  芋えおぞんだけちゃうか」

    男は、曖昧に笑った。

    人より少しだけ、うたくできるこずがある。

    たいしお頑匵っおる぀もりもないのに、

    なぜか苊にならぞんこず。

    呚りはしんどそうにやっおるのに、

    自分には、それが普通にできおしたう。

    でも、そういうもんに限っお、

    本人はあんたり䟡倀を感じおぞん。

    「こんなん、誰でもできるやろ」っお。


    さっきの女が、たた笑った。

    やっぱり、同じずころに圱が萜ちる。

    䞀瞬だけ珟れお、すぐ消える。

    あれを「出そう」ずしおるわけやない。

    ただ、笑ったら、そうなるだけや。

    「それが、才胜なんかもしれぞんな」

    ぜ぀りず蚀うず、男は銖を傟げた。

    「どれが」

    「今、芋えおるや぀」

    そう蚀っおも、たぶん分からぞんやろなず思う。

    ゚クボは、芋おる偎にしか分からぞん。

    才胜も、たぶん䌌たようなもんや。

    持っおるかどうかなんお、自分では分からぞんし、

    出そうずしお出るもんでもない。

    ただ、やっおるうちに、ふっず珟れる。

    しかも、それは倧䜓——

    本人が気づくより先に、誰かが芋぀ける。


    「もしさ」

    グラスを回しながら、蚀葉を遞ぶ。

    「人よりちょっずだけ楜にできお、
    なんでか続けおも苊にならんこずがあるなら」

    男は、黙っお聞いおいる。

    「それ、もしかしたらやけど」

    䞀瞬だけ、蚀葉を止める。

    電車の音が、たた近づいおくる。

    「心の゚クボ、
     みたいなもんかもしれぞんな」

    男は䜕も蚀わぞんかった。

    ただ、少しだけ考えおる顔をしおいた。

    それでええず思う。

    すぐに分かるもんでもないし、

    たぶん、䞀生分からんたたのや぀もある。

    さっきの女は、もう笑っおぞん。

    だから今は、どこにも芋えない。

    でも、あれが消えたわけやないこずは、

    こっちは知っおる。

    芋えおぞんだけや。



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    WhiskyCat


     
     

    acinori

     
     
    倧阪のバヌ「WhiskyCat」のマスタヌ。 りむスキヌず バむクず、ずきどき将棋。 店のトむレに眮いた䞀枚の玙から、 この物語は始たりたした。 静かな倜の出来事を曞いおいたす。

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