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第14話 「どっきりシール」

    昭和46年12月頃にライダーカード(20円)が登場して以降、お菓子の景品には斬新で面白い物が色々と登場した。高が子供の玩具と思って馬鹿にしていると痛い目に遭ったりする物もある。その中で今回、焦点を当てたいのはビックリマンチョコのおまけの「どっきりシール」である。以下、面倒なので「ビックリマン」を「吃驚男」と記す。※1

    これは昭和53年頃に流行したロッテ・吃驚男チョコ30円のおまけなのであるが、子供の菓子の景品にしては類い稀なき高い実用性と繊細な描写故に、シールとして使用するのも惜しまれる程、完成度の高い逸品であった。そのどっきりセンスは、実際に貼って試してみたいという衝動に駆られるものばかりで、裏面にはナイスな駄洒落の効いた使用例解説がその欲求を増幅させるのである。更に、宛らトレーディングカードの如く番号付けが施されており、最早、集めざるをえない心境へと追い込まれる。見事な企業戦略である。道理でライダーカード、はりはり仮面と並んで、当時の三大景品の一つとして並び称せられた訳である。

    では裏面解説の例を幾つか挙げてみよう。殆ど平仮名なので注意して読まれたい。

    No. 39 たばこ。パパどっきり。あわててつまもうとする。これが成功すれば今週のハイライト。
    No. 19 ラーメンのなると。どんぶりにはっておく。お母さん、それを見て洗おうとしても取れない。こう「なると」大成功。
    No. 11 レモン。つまもうとすれば大せいこう。すっぱいはせいこうのもと。
    No. 15 マッチのもえかす。ドキッとしてひらおうとして、マッチがえる。
    No. 37 調味料のふた。いくらふっても出ないので、あわてフタめく。
    No. 10 やぶれ。ともだちの G パンにはっておく。あれ、いつやぶれたのかなあとあわてるが、ぜったいにみ「やぶれ」ない。
    No. 27 ジュース缶のふた。ジュースのかんにはる。これをつまんであけようとしても、ぜったいにアカン。
    No. 21 なまたまご。テーブルの上にはっておく。そばにたまごのからをおいておくと、キミわるいほどほんものにみえる。
    No. 90 ぬいばり。床の上にはっておく。お母さん、ドキッとしてひらおうとしても、はりついたはりだから、つまめないのだ。

    かなり面白い。更に、続編「立体どっきりシール」というのもあり、特級酒を低級酒に変化させる No. 12 「低級マーク」や、将棋の駒に貼ってどっきりさせる、 金将、銀将ならぬ No. 20 「銅将」などがある。どうしよう。他にもまだ沢山あるので飽き足らない向きは此処でチェック。※2
    (ここでロッテよ。この頁を取り下げろなどと野暮な事は言うまい。吃驚男の広告宣伝と考えれば安いものだし、そこには当時の少年達の全貌を知りたいという夢が凝縮されているのだ)

    然し残念な事に、その後の吃驚男シリーズでは写実的要素は排除され、漫画的要素へと路線変更されてしまう。幾シリーズかを経て、近頃流行の天使・悪魔編へと突入するのである。最早ここまで来るとかなり様相を異にするのであり、従って区別する意味で想い入れを込めて「元祖吃驚男シール」と呼んだりする者もいる。

    ところで、近頃の吃驚男はよく知らないので電網検索で調査した処に拠ると、「天使、悪魔、聖守、魔守、ヘッド、というキャラの分類が為されており、各人には強烈な駄洒落の効いた名前が付され、その名前から想像出来るままの絵柄で表現されております」などと謳われている。更にキャラの名前を調査してみると、聖ハットトリック、撥水王、吸水鬼、アシス徒、ドライ矢、エリア角鯛、防水下降、等とふざけた名称が登場する。吃驚する事に、ロッチ製品なる偽物まで市中に出廻っているらしく、一体どこまでふざけているのやら。尤も、類似品は元祖吃驚男時代にも存在し、類似品が出回るようになってから裏面解説には「るいじひんにご注意ください」などと印刷されていた。

    序でに、ふざけたキャラといえば、ポケモンキャラも同様である。誤解を生まぬよう断っておくが、私は喜んで番組を観ていたりカードを集めていたりする訳ではない。ポケモンアンコールという英語放送で英語学習をしたり、従姪の舞ちゃんとの会話を円滑に実行する為の情報源として活用しているだけである。一挙両得とは正にこの事で、完璧な論理である。これで安心してポケモン観賞が出来るというものである。いや、だから決してポケモンを観賞して悦に入ったり、ピカチューを観て失神してみたかったりする訳では断じてなく、大人が子供番組を観るという傍から見ると一見莫迦としか言いようのない行為が何故必要なのかを説いているのである。まあ良い。疑わしきは罰っせずである。何だよそれ。

    それでキャラの話だが、鯉キング、銭亀、アリゲイツ等が登場し、其上、なにやら奇面組の面をした向日葵の様なものもいる。キマワリだと。笑止なり。この様なふざけた物を喜んで暗記しなければならないとは情無い。とほほ。因に子供に大人気のピカチューもリアルに描くとこうなるらしい。
    此処だ。※3 

    閑話休題。大人となった今、財力にものを言わせれば菓子の景品をコンプリートする事など造作もない状況となった。当時、金のない餓鬼だった我々には、その全貌を知る事など到底不可能であり、それは夢であったのだ。だからこそ、二千年版復刻ライダーカードが我々三十代の大人の間で彼程までに流行したのである。それでも某社の短期集中販売戦略のため、コンプリート出来なかった憐れな者が数多存在すると聞く。

    今の子供達が果して、大人になってポケモンカードなど懷しむであろうか。天使・悪魔シールも然りである。郷愁や夢に駆られて、コンプリートしたいと思うのであろうか。もしそうならば非常に恐しい。日本の将来は吃驚ものである。だからロッテよ、天使悪魔版は止めて元祖版を復刻しろ。明日の日本を救うのだ。チョコは要らんから。勿論、私の帰国後に宣しく。

    でも、ロッテって外国の会社だよな。

    脚注
    ※1  カタカナ入力ができなくてコピペをして書いていたため面倒だった。
    ※2  http://www.aaa-int.or.jp/tomato/dokkiri.htm   (accessed 2000/7/28)
    ※3  http://page.freett.com/noanaoki/pikatyu.htm  (accessed 2000/7/28)

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