第128話 「問題構造分析」
問題構造分析とは、発生している諸問題の関連性を追究して、問題の構造を明確にし、諸問題の核となる問題が何であるかを把握するための分析手法であり、原発のヒューマンエラーの分析においても活用されている。
有名な例題として納期遅延の分析が知られるが、これは納期遅延の直近の原因には在庫消失という問題があり、在庫消失という事象の原因には、予想外の需要変動、生産指示の遅延、生産工程の遅延があり、更にそれらを引き起こした原因は何かを段階的に追ってあらゆる可能性を潰してゆき因果関係の連鎖構造図を作成するものである。真の目的は連鎖構造図を作成することではなく、そこから問題構造の発掘を行ったり、解決の方向性を見出したりすることにある。
そして今回は、私が直面した或る問題に対して、この分析手法に従って解決策を見出すことを試みたいと思う。その問題とは、82話「音声出力概説」に対する批判がこの世に存在するという問題である。少々の風評、批評、批判を気に病んでいてはネット世界で生きて行くことは困難な訳で、まあそこらへんの事は64話「電網随感」にも書いてある通り心得ている積りなので騒ぎ立てる気は毛頭ないのだが、問題構造分析を行う上で問題を明確にしておくことは不可避の作業なので、ご本人に於かれては何卒ご容赦頂く。
さて、件の批判は何かというと「とほほなWebページをみたら、晒しあげる」趣旨らしき場所を設け「音声出力概説を書いた人は、面白いアイディアだ、と思っているのだろうが、ほとんどCSS2の音声スタイルシートでできてしまう罠。物を書くなら、最低限関連する文献ぐらい目を通しておかなければ、恥をかく。一応、自戎も込めて。」と、書かれて仕舞ったことである。
賢明な読者諸兄にとっては釈迦に説法だが、ここで82話の趣旨を明確にしておくと、規定の論理論調形式に則る中で如何にユーモアを表現するかへの挑戦であって、そのような場合は真実との距離はさして重要ではない。誤読で自戒するとは当に独り相撲。略して誤独。なんとも殊勝なことだが、この種の試みは60話「かしのきモックン」70話「所定の様式」83話「英雄吟詠」92話「閲覧上の注意」などに於いて懲りずに行われ、ギャグが面白くないという批評の下に撃沈を繰り返して来たという苦い歴史そのものでもある。くそう。
家内によれば「罠」とは2ch語らしいのだが、私は有象無象の溜り場で時間を潰すほど悠長でもないので一体何が罠なのか私にはさっぱり不明であるし、私がどんな文献とやらにどれくらいの時間をかけてどの程度まで「目を通し」たのかどうか、そして一体何をどのように「面白いアイディアだ」と思い、どの様な読者を想定して書いたものなのか、全く与り知らぬ筈であるのに、推測だけでこれだけの事を言い切るのは余程の自信家か世間知らずかエスパーかの何れかであるに違いなく、エスパーとしての能力不足を自戎するなら精精精進して貰いたい。82話がどの様な意図をもって書かれているのか関連頁くらい少なくとも前後の数話くらい我慢して「目を通して」おかなければ、「恥」をかく罠。という問題設定である。
実はこのような批評が出てくるであろうことは想定の範囲内だったので、今更目角を立てるのも不本意なところなので早速分析に取り掛かりたい。まず問題は、私の行為を限定した上で恥だと決め付けている点にある。では、どうして私がよく調査もせずに有頂天になって82話を書いたと思われたのか、それを誘発した要因は何なのかを次に考えて行かなければならない。
問題構造分析ではあらゆる可能性を潰して行く必要があるため、各分野に精通した人間を招集して行うのが常套手段である。そこで営業企画部長のA氏、研究開発部長のB氏、人事部長のC氏に同席願うことにする。
A「スペックを無視すれば原理的には殆ど何でもできて仕舞うご時世に、今更気取ってんじゃねーよ、て感じですかね」
B「そうそう。自分でその技術発明した訳じゃないし。下流工程で胡坐を掻いてるって感じかな。調査報告会じゃあるまいし、ゴミ溜めといわれる高がネットの文章にけちをつけて恰好つけているのは若い証拠だよ」
私「ゴミで悪かったです」
C「専門知識や技術力のある者ほど己の力を過信し、己の属する世界以外の者の能力を認めようとしない傾向にある。専門性が高くなればなるほどその業務分野に専念せねばならず、見識が狭くなり勝ちなのは専門職の性であるから仕方がないが、色々な畑を歩いてみなければ分からないことは沢山あり、見識を広く持てる者のみがより高い地位と職責を担うことを許されるのが社会の仕組みであることは留意しておかねばならない。特に緑皮君」
私「あ、どうもすみません」
A「世界最高水準の技術を追求しても、売れない商品作っていては経営が成り立たないからね。決して難しい技術や理論を知っている技術者や研究者が威張っていい訳ではない。消費者がイエスといわなければ売れないんだから。緑皮君も十分注意し給え」
私「はいはいそうですね。肝に銘じときます」
やっぱり酒宴の席ではまとまらない。ていうか、あんたら皆違う会社だろ。
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