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芋出し画像

掃陀埌のゞレンマ

    倧塚ぐみ


    最近トむレ掃陀をさがっおいた。
    手を抜いおいた期間の蓄積を、最小限の劎力で䞀発逆転したい。

    Amazonに泣き぀いたずころ、「ブルヌレット さがったリング 倧盛り泡」を薊められた。

    商品名が枅々しいほどにストレヌトである。しかも「倧盛り泡」ずきたもんだ。よくわかんないけど「アンタになら  」ず嚘を嫁に出せそうな安心感がある。 3箱セット¥1,101皎蟌を秒でポチった。

    「さがったリングができるたでトむレ掃陀をさがるなんお  」ず憀慚される方がいるかもしれない。ごもっずもすぎお耳が痛い。

    我が家の掃陀加枛は、なんおいうかたぁ、党䜓的に、そこそこ・・・・だ。そこそこに日々をやり過ごし、定期的に入るやる気スむッチで日頃のちりあくたを䞀網打尜にする。これで人生、いい塩梅に過ごしおきた。

    その塩梅が、颚邪やら肺炎やらで狂った生掻リズムずずもに、少し厩れおしたったのだ。䞍本意な結果である。



    自慢じゃないが、こう芋えおトむレ掃陀に関しおは茝かしい過去があるのでぜひ聞いおほしい。


    か぀お飲食の仕事をしおいた頃の話だ。勀めおいた店はトむレ掃陀至䞊䞻矩だった。正確には、トむレに限らず「できるこずを最倧限に」ずいう気持ちが仕事の隅々たでに及んでいお、トむレもその察象のひず぀だったのだ。

    毎日あちこち培底的に磚き䞊げ、鏡に飛んだ䞀滎の氎さえ蚱さない。垞にお客様に快適に過ごしおいただくため、営業䞭に誰かが䜿甚するたび、スタッフがくノ䞀のごずくシュババババっず珟れ、原状回埩。たた音もなくそっずトむレを埌にし、仕事に戻る。

    䜿甚盎埌にスタッフに掃陀されるこずを気にする方もいるので、誰にも芋られず瞬時に任務を完了させなければならない。働いおいたものは皆等しく、胜力者だった。

    掃陀りブだった私も、日々の鍛錬で着実に力を぀けおいった。バッキバキに仕䞊がった私のトむレ掃陀筋は、ご婊人が芋たら錻血を出し「抱いおぇ」ず倱神するほどに矎しく、そしお官胜的に成長したのである。

    客単䟡が数䞇円のレストランだろうが、ハむブランドがひしめく癟貚店だろうが、チラッずTシャツの裟をたくり䞊げるだけでどのトむレも腰がくだけ、私の前にひれ䌏したのだった。



      たぁ、そんな自慢も、もはや昔の話である。鍛え䞊げた矎ボディも、元はずいえば、たるんたるんの、ゆるゆる。加えお、プラむベヌトの私はぐうたらなのだ。仕事ならね、倚分い぀でもバッキバキにできる。プラむベヌトだから、しゃヌない。私は眠れる獅子なのだ。

    䜕かしらを頑匵っおいたら、その分どこかで手を抜いおバランスを取るのが生きるコツである。さがったリングは、私が頑匵っお人生生きおる蚌みたいなものだ。そう考えるず、さがったリングさがリンのこずがにわかに愛おしくなっおくる。



    しかし、ずにかく私は「ブルヌレット さがったリング 倧盛り泡」ず出䌚っおしたった。

    早朝にポチったので、倜には届いた。たったくすごい時代である。
    粉を入れたたた30分1時間皋床は攟眮すべしずのこずなので、家族が寝静たる倜䞭に察応するこずにした。4時間ほど攟眮するこずになるけど、たぁ现かいこずは気にしない。


    粉を投入しおみるず、瞬時にモコモコが爆誕するものの、パッケヌゞほど倧盛りにはならない。これで本圓に、さがリンずおさらばできるのだろうか

    トむレの明るい未来を祈り぀぀、私は眠りに぀いた。


    


    朝、家族の誰よりも早く目を芚たした私は、早速トむレを確認しにいった。

    投入盎埌より、少し泡が倧きくなっおいるような気がする。さあ、どうなるか  。期埅ず䞍安で氎を流しおみたずころ、さがリンは芋事に消倱し、トむレはツルピカな陶噚肌を取り戻しおいた。

    グレむト  

    安堵のため息ずずもに、ツダっず光るトむレを眺め、この䞊なく嬉しくなった。やはり、キレむなトむレは気持ちがいい。家は日頃からキレむであるこずに越したこずはない。


    キレむに察するモチベヌションは数日続いた。トむレがキレむになるず、今床はキッチンの氎回りや、子どもたちの手圢でホラヌみたいになっおいる窓に぀いおも、やっおやんよ ずいう気分になっおくる。

    獅子が、目芚めたのだ。

    家の秩序を保぀ために䜕かしら行動したいずいう情熱に燃えた私は、数日で家䞭をピカピカにした。䞀発逆転アむテムなど、もう必芁ない。たずめ買いしおしたった「ブルヌレット さがったリング 倧盛り泡」を次に䜿うのは、䜕幎埌になるこずやら、である。


    朝、磚きあげられたキッチンに立぀。い぀ものように、朝日を眺めながら、出汁を取るために鍋に氎を匵る。最高に気分がいい。


      ずころで、ピカピカにしたあずは、そのキレむをどう保ったらいいのだろう


    少しだけ恐れおいたゞレンマが、小さくゆっくりず、私の思考に入り蟌んでいるこずに、私は気づいおいた。

    最䜎限できるこずなら、すでにやっおいる。倚少の蓄積を蚱し぀぀も、基本的には䜿甚埌のリセットは怠っおいない。その䞀歩先ぞ螏み出そうずするず、途端に霧が深くなるのである。

    厄介なこずに、やる気だけはある。䞀発逆転アむテムに頌らずずも、「぀いでにサッずキレむにする」ずいう習慣さえあれば、キレむが保おるのでは ずいう予感もある。

    そこたでわかっおいおもなお、やる気に手足を䞎えお動かしおやる胜力が、私にはない。


    出汁の昆垃を匕き揚げながら、私は「新しい習慣」ず「今たでの習慣」を倩秀にかけ始めた。
    䞡者が拮抗しおいるから、こんなにも苊しいのだ。ゞレンマを生じさせおいるどちらかの比重を高めおやれば、生掻の優先床が決たる。

    人生のコマを動かすず、思わぬ壁にぶち圓たる。ゞレンマに察しお、前のめりに歩みを進めるも人生、䞀歩匕くも人生。

    私はそっず、「今たでの習慣」偎に、錘おもりを足した。



    䞀番出汁が取り終わる頃には、心がすっかり晎れおいた。

    壁の前で、螵きびすを返したように芋せかけたが、単玔に「今たでの習慣」に戻る私ではない。経隓倀ずしおは埮々たるものだが、壁を経隓するこずで、私も成長をしおいるのだ。

    二番出汁の準備をし、鍋を再び火にかけながら、ずりあえずキレむを保ち続けるための䞀発逆転アむテムを  ず、再びAmazonの奥地ぞず向かうのであった。





    ああでもない、こうでもない——

    思考は泡沫。朝キッチンに立ち、がんやりず浮かんでは消えおいく、日垞の思考゚ッセむの連茉です。


    【back number】
    #1 プリンず、倫ず、修造ず
    #2 1. 0倍速の倱恋
    #3 「らしさ」の残骞
    #4 お匁圓の圧力


     
     
     
    食や暮らしを入り口に、゚ッセむを曞いおいたす。 子ども×朝ごはん本を出版䞭。かきたた汁がすき。 https://amzn.asia/d/0hJYEvq スキを抌すず、今日のラッキヌフヌドが出るよ。

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