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ごえんで繋がった人たち -Ⅳ- 小林 晋平さん アーティスト、しまなみアディクションズ店主

    大三島美術館で開催される企画展、ジュリアン・シニョレ「ごえん」。
    フランスを拠点に活動する彫刻家である彼が、なぜ瀬戸内の大三島美術館で企画展を開くに至ったのか。そのきっかけは、2024年に彼が瀬戸内を訪れたことにありました。

    「ジュリアンが店に入ってきた時はびっくりしました。肌着に裸足で、全身ドロドロになっているし。でも自分も旅人だったから、旅人には優しくしようと思っていて。きっと何か困っている旅人なんだろうと思って話を聞いたんだ」

    刺繍アーティストであり、しまなみアディクションズの店主である小林晋平さん(以下、晋平さん)にジュリアンがお店に入ってきた時の印象を聞くとそう返ってきた。
    2024年、車が脱輪した後履き物もない状態でジュリアンは晋平さんのお店を訪れた。
    お互い第二言語である英語を駆使しながら会話し、ジュリアンが大山祇神社に参拝するために履物を探していることがわかると、自分の店にはないからと近くのお店を案内したそう。

    ジュリアンと晋平さんの出会いはこちらから↓

    「ジュリアンが何も目的もなく細い道に入っていったって言うのは自分も理解できるところがある。この島に来てからバイクでいけそうな道を走ったら行き止まりだったってこともあったし、そういう気持ち(心の赴くままに車やバイクを走らせる)はわかる」

    (インタビューを開始して10分後・・・)
    −あれ・・・もしかして・・・わたしの家のお隣にお住まいでしたか?ずっとどこかでお見かけしたことのある方だな・・・と思ってはいたんですけど・・・

    「あー!お隣の!私たちが引っ越すのと同時に入ってきた方ですね!入れ違いでしたけど!会いましたね!」

    −ここでも不思議なごえんが。(インタビュアーは2026年3月に大三島へ引っ越したばかり)

    「ね、偶然だってみんな言うけど偶然なんてないんですよ。ジュリアンがあの道で立ち往生している時に助けたのがのりひろさん(※1)でしょ。のりひろさんがあの道に行くってことも普段ならあり得ないことだから。それにのりひろさんじゃなかったら通りかかっても助けていないかもしれない。必然ですよ。
    僕とのりひろさん(※ジュリアンが脱輪で困っていた時に助けてくれた人)は知り合いなんです。ジュリアンはそのことを知らずにうちに入ったみたいだけど。これも偶然のようで必然だと思ってます」

    のりひろさんへのインタビューはこちらから↓

    ジュリアンは2024年に晋平さんからもらったワッペンをお守りのように大切に持っている。

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    ワッペンをプレゼントした時の写真(2024年)
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    晋平さんがプレゼントしたワッペン(※ジュリアン撮影)

    「結局サンダルはなかったと言いながら、ジュリアンが何かを履いて戻ってきて。それで「大三島にキャンプ場はない?」って聞かれて。台キャンプ場を紹介したんだけど、まだ海開きの3日前だからトイレとかも開いてないかもよって言ったら「全然いいよ!」って。それで大三島に来てからちょくちょく店に顔を出してくれて。「sculptorなんだ」って言って作品写真を見せてもらってびっくりしたよ。すごい人なんだなって」

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    ジュリアン、ジュリアンの息子さん、晋平さん(2024年)

    晋平さんご自身も、しまなみアディクションズの店頭に並ぶ商品の刺繍図案から刺繍までを一貫して行い、2025年には大三島美術館で刺繍作品の展示もおこなった。

    「2024年にこっちに拠点を移したのも何か縁があったんだと思う。この物件いいな〜と思って、電話で問い合わせしたらまだ空いてるって言うから、その場で契約しちゃったんだ」

    東京生まれ東京育ち、20代後半に刺繍屋を開業。その後沖縄に9年、広島・福山に5年暮らした後、家族で大三島へ移住。その間ずっと刺繍屋を営んできたと言う。最初に刺繍をするようになったきっかけを伺った。

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    2025年 大三島美術館に展示された作品

    「20代前半はずっと旅をしていて。旅をしては日本で働く、その繰り返しの中でふと、「何をしてるんだろうな・・・」と思う瞬間があった。そんな時に旅先で出会ったのが刺繍で、これだ!と思って帰ってすぐ刺繍の会社に入って修行をして、2年後に独立しました」

    東京でも路面店と工場があり、大繁盛していた。

    「東京は人の数が違うから。でも沖縄に行ったときにピンと来た場所があって、東京と全く同じ額の家賃で広くて。どうしようかなって迷いはあったけど、でももう迷っているようでその時も心の中では沖縄に行くことが決まっていたと思う」

    沖縄ではパートナーと出会い結婚、2人の子宝にも恵まれ順風満帆だった。

    「でも、ある日突然ソーラーパネルが建ち始めたんだよね。家の周りをぐるっと囲むように。景色も全然変わるし。戦うことも考えたんだけど、妻の出身が広島で、そこに暮らすのもいいかって。広島住んでみたいなと思って、福山に移りました」

    福山でも、晋平さんの東京時代の店舗へ訪れたことのある人との出会いがあり、必然を感じたという。

    「だけど、しまなみ海道を走っていたらものすごい雰囲気もいいし、いつも明るい感じがするな〜って。それで大三島で拠点を見つけて移ってすぐですね、ジュリアンがきたのも」

    最後にインタビュー用の記念撮影をお願いすると、お店の前にかかっている暖簾の前に立ってくださった。

    「店の前で撮りましょう。これ、円で”ごえん”という意味もあるので」

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    しまなみアディクションズ店頭にて 小林晋平さん

    小林 晋平さん アーティスト、しまなみアディクションズ店主
    刺繍する絵の作成から刺繍まで全てを自らの手でおこなう。2025年には大三島美術館にてMojorizen(しまなみアディクションズ)名義で触れるアート作品として刺繍を展示。しまなみアディクションズには全国各地からお客様が訪れる。

    パリの彫刻家ジュリアン・シニョレが瀬戸内大三島で紡ぐ「ごえん」島のひとと共に創る空間芸術インスタレーション 
    会期:2026年8月13日〜9月23日 
    Omishima Museum of Art Special Exhibition "Goen" | Julien Signolet
    企画展公式Instagram

    ジュリアン・シニョレ (Julien Signolet)
    2007年よりパリ11区のアトリエを拠点に、木から石に至るさまざまな素材と対話を重ねながら、東西に通じる精神性をテーマに制作を行う。
    日動画廊パリにて定期的に展覧会を開催。
    近年は、展示空間全体を用いたインスタレーションへと表現を展開する。
    パリ・ニュイ・ブランシュ(白夜祭)では、Saint-Séverin教会(2020年)Saint-Leu-Saint-Gilles教会(2021年)にて制作・展示。続くCollège des Bernardinsでの大規模インスタレーション(2023年)には、2か月で一万人が来場した。

    日本での主な活動:
    ・アンスティチュ・フランセ関西(2013年)
    ・東京銀座 K’s Gallery(2020年)
    ・現代アートフェスティバル「Art Islands Tokyo」(2019・2020年)
    ・京都祇園 山添天香堂(2022年・2025年)
    ・BIWAKOビエンナーレ(滋賀県近江八幡市/2022年・2025年)

    2025年秋開催の国際現代アートフェスティバル BIWAKOビエンナーレでは、重要文化財「旧西川邸」にてインスタレーションを行う。

    大三島美術館
    大三島美術館は、「作家と共に歩み共に成長する美術館」であることを活動理念とし、収蔵展示をおこなっている。収蔵品は、中堅・人気日本画作家らの若き日の作品を中心に、今治市出身の智内兄助画伯の作品、さらに田渕俊夫氏の素描や下絵を含め、総数1,000点を超える。また、質の高い浮世絵作品も併せて収蔵しており、多彩な日本美術の魅力を感じられる。これらのコレクションを年数回の展示替えで紹介していくと同時に、作家との交流を活かした企画展も開催中。


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