
余白観光|義経岩と雨腫らし(少しホラー)
余白観光とは、見えたものを大事にしながら、見えなかったものを少しだけ想像する観光である。
事前に土地の歴史や伝承を調べる。
現地で写真を撮る。
その写真に、半熟先生ことChatGPTで少しだけ想像を描き足す。
私の場合、調べている時点で、なぜか怪異が生まれることが多い。
今回は、雨晴海岸へ行った。
義経岩

その当時、あったかもしれない場面を重ねてみる。

雨晴海岸に着いて、最初に向かったのは義経岩だった。
雨晴海岸には、源義経一行が奥州へ落ちのびる途中、にわか雨を避けるために岩陰で雨宿りをしたという伝承がある。
私は何となく、義経岩のすぐ近くに女岩があると思っていた。
義経岩と女岩。
いつも少し離れたところから、その二つを見ていたので、頭の中で勝手に近くに置いていた。
だから、雨を降らせる怪異「雨腫らし」と弁慶が対峙するなら、義経岩のあたりから女岩を背景に撮ればいいと思っていた。
けれど、実際に義経岩の前に立つと、女岩は思っていたより右にあった。
けっこう右にあった。
さらに、義経岩の中へ入ってみると、女岩は見えなかった。
見えるのは、岩の隙間と、その向こうの海だけである。
思い込みとは、かくも自分に都合がいい。

⚠️下部にホラーテイストの画像があります。
苦手な方はご注意ください。
義経岩の中は、思っていたより狭かった。
外は明るい。
海も見える。
でも、中はかなり閉塞感がある。

もしここで、雨腫らしが見えたら。
それは、広い海の上に堂々と現れる怪異ではない気がした。
岩の縁に手をかけて、
顔を半分だけ出し、
こちらを見ている。
そんな見え方になるのではないか。

怖い。
これは怖い。
本当は、現地で写真を撮って、その場で半熟ペイントするつもりだった。
けれど、勝興寺の涸れない池に龍を描こうとしたところで、画像生成AIがストライキを起こしていた。
(後から気づいたが、"身投げ龍"という言葉を使ってたことが原因だった。)
仕方がないので、帰ってから再現した。
もしその場でやっていたら、私はたぶん、岩の中で叫んでいたと思う。
外が明るかったのが救いだ。
これだけは、雨じゃなくてよかったと、少し思っている。
でも、もし雨だったら。

私が義経一行の一員だったら、迷わず叫ぶ。
「行け! 弁慶!」
弁慶
「なぜ貴様の言うことを聞かねばならぬ」
私、涙目。
義経
「弁慶、頼む」
弁慶
「御意」

あの日、現地に雨腫らしはいなかった。
たぶん、弁慶に斬られたからだ。
②へつづく