
お金の話をされた人の、意外な反応
人前でお金のことについて話をすると、聞いている人たちの中には、機嫌が悪くなったり、怒り出す人も出てくるということに気づいた話です。
お金の話をすると、なぜ人は怒り出すのか
人前でお金の話をすると、聞いている人の様子がガラッと変わることがあります。普段は物静かな人が、急に不機嫌になったり、怒り出したりするのです。今回は、そんな不思議な現象と、私自身の「お金の傷」について書いてみたいと思います。
経済的な成功者ではない、今の私
先に断っておくと、私は経済的に大きな成功を収めた人間ではありません。以前FX(外国為替証拠金取引)に手を出していた時期がありました。数百円の含み損が出ただけで夜も眠れなくなるほど、お金の増減に怯えていました。結局、40万円という大きな金額を失って、FXから撤退することになりました。
今は地道な投資に切り替えています。少しずつ正しい方向に進んでいるとは思いますが、結果が出るまでには数十年かかりそうなペースです。投資に関しては、まだまだ未熟者だと思っています。
そんな私が、日々の暮らしの中で気づいたことがあります。それは、普段自分の意見をあまり口にしない人たちが、話題が「お金」に変わった途端、急に熱っぽくなったり、怒りを見せたりするということです。
慢心を揺さぶられた「お金の勉強会」
私がお金について真剣に考え始めたのは、30歳を過ぎた頃でした。友人に「お金の勉強会」に誘われたのがきっかけです。
正直なところ、最初は「怪しい」と思っていました。社会人として経験も積んできたし、まじめに働いてきた自分が、今さらお金について学ぶことなどないだろう。そんなふうに考えていたのです。
ところが、その勉強会で聞いたある考え方が、私の慢心を根底から揺さぶりました。
「人は口では『お金が欲しい』と言いながら、心の奥底では『お金を欲しくない、近寄らせたくない』と考えていることがある」
この言葉を聞いた瞬間、理屈より先に「これは自分のことかもしれない」と直感しました。豊かになりたいと願っているつもりだったのに、実は無意識のうちに、お金を遠ざけていたのではないか。その予感が、後になって過去の記憶とつながっていくことになります。
お金の話をした相手が「怒り出す」瞬間
勉強会以降、少しずつ学んだことを、同僚や知人に話す機会が増えていきました。そこで目にした光景は、私にとって大きな驚きでした。
普段は穏やかで、めったに自分の意見を言わない人たちが、話題がお金に触れた瞬間、空気ががらりと変わるのです。それは建設的な議論というより、何かを必死に守ろうとしている、あるいは何かを激しく拒もうとしているような、怒りに近いエネルギーでした。
なぜ、普段物静かな人たちが、お金の話にだけこれほど敏感に反応するのか。本当の理由は私にはわかりません。ただ、これはあくまで私の想像ですが、その反応の正体は、彼らの心にある「お金にまつわる古い傷」なのではないかと思うのです。私を攻撃しているのではなく、自分の中の痛みに触れられそうになって、必死に耐えているだけなのかもしれません。
私の中にある「二つの傷」
そんな想像をしてしまうのは、私自身の心にも、今なお思い出す「お金にまつわる傷」が二つあるからです。
一つ目は、中学3年生の頃の記憶です。高校進学のために親が奨学金を借りることになったとき、友人にまで心配されてしまい、私は「うちは借金をしなければ進学できないほど貧しいのだ」と勝手に思い込みました。今思えば子供の勘違いにすぎないのですが、当時はそれで深く傷ついていました。
二つ目は、もっと幼い、小学校に上がる前の出来事です。当時のお小遣いは50円でした。周りの友達は100円を持っている中、駄菓子屋で「あなただけはこれは買えない」と言われた瞬間、自分を否定されたような痛みを感じました。お金の価値もよくわからないまま、「自分だけが拒まれている」という悲しみだけが心に残りました。
誰の中にも眠っているかもしれない傷
この二つは、はっきり覚えているエピソードにすぎません。あまりに小さい頃の出来事なので、思い出せない傷も、きっと他にあるのだろうと思います。
自分にもこのような傷があるのですから、他の人たちも同じようにお金にまつわる傷を抱えているかもしれません。口では「お金が欲しい」と言いながら、心の奥では拒絶感を抱いている人がいても不思議ではありません。お金の話をされた途端に不機嫌になる反応は、もしかしたら「もうこれ以上、自分を傷つけないでほしい」という心の叫びなのかもしれません。
アドバイスをしなくなった理由
以前の私は、身近な人たちに自分が学んだお金の知識を伝えようとしたことがあります。しかしそこで気づいたのは、お金に関する助言は、驚くほど人に届かないという事実でした。むしろ相手を不機嫌にさせてしまうだけなのです。
どれほど熱心に伝えても、多くの人は耳では聞いていても、決して行動には移しません。それは彼らが怠け者だからではなく、心の奥にある何かが「近づくな」と警告を出し続けているからなのかもしれない、と今では思っています。
今の私は、身近な人にお金について聞かれても、真剣に答えることはほとんどなくなりました。それは意地悪でも、見放しているわけでもありません。
答えなくなった理由は、周りの人たちが「やるときはやる」人たちなんだと気づいたからです。本当に必要だと自分で判断したとき、私のアドバイスなどなくても、自ら情報を集め、学び、失敗から立ち上がり、勝手に成功していく力を持っている。そのことに、私はある時気づいたのです。
以前はお金の話に機嫌を損ねていたような人が、今ではすっかり副業や投資に目覚めてしまって、私よりも早いペースで成功に向かっている、そんな人も現れ始めました。そういう人を見るようになって、アドバイスなんて最初から不要だった。逆に私が勉強させてもらおうと、今ではそう思えるようになったのです。
傷に気づき、ゆっくりと向き合う
お金の話をすると怒る人がいる。その怒りの奥には、本人にしかわからない物語が隠れているのかもしれない。今、私はそんなふうに想像しています。
そして私自身もまた、その「傷ついた一人」であることを自覚しています。自分は凡人であり、まだまだ学ぶべきことの多い未熟者にすぎません。心の傷に気づき、お金に対して抱くネガティブな感情を、「ああ、自分はこう感じていたんだな」と受け止めること。それこそが、お金との関係を少しずつ変えていく最初の一歩なのだと思います。
私の理想は、いつか投資によって自由を手に入れ、暖かい春の風が吹く青空の下、草原で気の向くままに本を読んだり昼寝をしたりすることです。その穏やかな時間にたどり着くために、焦らず、背伸びをせず、自分の中の傷を癒しながら、これからもゆっくりとお金と向き合っていきたいと思います。
よくある質問
Q. なぜ、お金の話をされると不機嫌になったり怒り出したりする人がいるのでしょうか?
A. お金というテーマが、その人の心の中にある「古い傷(トラウマ)」に無防備に触れてしまうからではないか、と私は推測しています。 お金の話が、その人が必死に抱えてきた何らかの「痛み」に触れてしまい、それを防ごうとする防衛本能が「怒り」という形で現れているのではないでしょうか。
Q. あなた自身の「お金に関する心の傷」とは具体的にどのようなものですか?
A. 私がはっきり覚えているのは、主に以下の2つです。思い出せない場所にはもっと多くの傷があるのだろうと感じています。
中学3年生の時の奨学金の話:親が奨学金を借りると知った時、「うちは借金をしなければ進学もできない家なんだ」と勝手に思い込み、自分を惨めな存在だと決めつけて深く傷ついてしまいました。
小学校に上がる前の駄菓子屋での出来事:50円しか持っていなかったために、100円の商品を「あなただけは買えない」と言われ、自分が拒絶されたかのような悲しみを感じました。
Q. なぜ、周りの人たちに対して真面目なアドバイスをしないのですか?
A. 私の周りにいる人たちは、本当に自分にとって必要だと感じた瞬間に、自ら情報を集め、失敗から立ち上がり、勝手に成功へと辿り着く「やるときはやる」人たちなんだと気づいたからです。