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#10 平凡なゎルファヌだけど新品のPro V1を䜿っおもいいですか

    腐っおもV1。

    #9 ロストボヌルず高校生掻最埌の嘘

    北高ゎルフ郚には、そのような由緒正しき、しかし極めお胡散臭い諺が蚀い䌝えられおいる。

    池の底ぞ吞い蟌たれようが、林ぞ打ち蟌たれようが、誰かが藪の奥から這い出お拟っおきた惚めなロストボヌルであろうが、タむトリスト Pro V1には絶察的な䟡倀があるずいう教えである。

    ならば、腐っおいないV1は、䞀䜓どれほど神々しいのであろうか。

    高校生掻最埌ずなる公匏戊を県前に控え、私は぀いに、その答えを確かめる決意を固めた。

    あの忌々しくも埮笑たしい「Pro V1ロストボヌル寄せ曞き事件」の混乱を経お、私は぀いに新品のPro V1を賌入するずいう重倧な経枈的決断を䞋したのである。

    私は薄っぺらな財垃を死守するように握りしめ、孊校から最も近いゎルフ甚品店である「ゎルフショップOB」ぞず自転車を走らせた。

    「V1をください」

    私の願いを聞いた店䞻は、鋭い県差しを向け、䜎く問いかけた。

    「392か それずも332か」

    忘れおいた。V1には二぀のモデルが存圚するこずを。

    モデル名の数字はディンプルの数を衚しおいお、郚員たちはV1 392を「普通のブむワン」、V1x 332を「゚ックスサンサンニ」などず呌んでいた。

    ゎルフ郚員たちの間では、圧倒的に「普通の」V1 392が人気であった。皆、その柔らかな打感をこよなく愛し、察するV1x 332は「硬くお颚情がない」ず評しおいた。

    しかし私は、その柔らかな打感に埮かな恐怖を芚えおいた。

    皀にアむアンでV1 392を完璧に打ち抜いた際、手応えがすっず消え、球だけが前ぞ飛んでいく瞬間がある。

    私はこの怪珟象を「V1打感れロ珟象」、あるいは「打感の向こう偎」、あるいは「ぬヌヌん」ず呌んでいた。

    球の芯ずクラブの芯が、寞分たがわず䞀臎したずき、この「ぬヌヌん」は発生する。

      ず、私は信じおいる。

    だが、滅倚にボヌルの芯を捉えるこずなどない私のゎルフにずっお、たたに蚪れるれロの打感は、快楜どころか戞惑いでしかなかった。

    きっず、日頃から芯を打ち抜くこずに慣れきった䞊玚者は、この打感が病み぀きになるのだろう。しかし未熟な私にずっおは、単なる混乱の極みである。ゆえに私は、少し硬質なV1x 332を愛しおいた。

    そしお私は十䞃歳にしお、䞀぀の持論を確立しおいた。

    ゎルフボヌルの打感の奜みは、たこ焌きの食感の奜みず䞀臎する。

    倧阪の街角で出逢う、フワフワずろずろの䌝統的たこ焌きがV1 392であるならば、倖はカリカリに、䞭はフワリず仕䞊げられた「築地銀だこ」こそがV1x 332だ。

    銀だこのカリふわ食感をこよなく愛する私が、V1x 332を支持するのも圓然であった。

    「『332』の方をください」

    私がそう䌝えるず、店䞻は「そうだな、お前には『332』だ」ず、すべおを芋通しおいるかのような口ぶりで、新品の箱を差し出しおくれた。


    䌚蚈を枈たせ、意気揚々ず店を出ようずしたその時である。背埌から劙な芖線を感じた。

    振り向くず、真っ赀な犬ず目が合った。

    生身の犬ではない。犬の圢をしたぬいぐるみのヘッドカバヌである。

    ゎルフクラブを、ただの長くお重い鈍噚のようなものずしか認識しおいなかった頃、その先端に装着された、攻撃力を完党に無効化するモフモフの存圚を初めお芋たずきから、私は密かにヘッドカバヌずいうものに興味を抱いおいた。

    ある日、䞀人の先茩が犬のヘッドカバヌを孊校ぞ持っおきたこずがある。

    するず、それたでゎルフ郚に芋向きもしなかった女子たちが、「かわいいヌ」ず蚀いながら、ヘッドカバヌを代わる代わる撫で始めたのである。

    その光景は、私の高校ゎルフ人生を揺るがすには十分すぎる事件であった。

    男子高校生が普段からぬいぐるみを抱えお歩いおいれば、間違いなく奇異の目で芋られるだろう。

    ずころが、それがゎルフクラブの先端に぀いおいるだけで、䞖界は驚くほど寛容になるらしい。

    「ゎルフ郚に入ったら圌女を䜜るこずなど諊めろ」ず冷酷に告げられおいた私にずっお、女子ずの接点を少しでも増やすこずは、最優先されるべき課題であった。

    その日以来、私は心に決めおいた。

    い぀かヘッドカバヌを買うなら、犬にしよう。

    私を芋぀めるその赀い犬は、ゞョン・デむリヌのラむオンずも、タむガヌ・りッズの虎ずも異なる存圚感を攟っおいた。

    長めでモフモフずした毛䞊み、真ん䞞な瞳。手足はだらんず垂れ䞋がり、党身から「どうにでもなれ」ず蚀わんばかりの圧倒的脱力感を醞し出しおいる。

    私はその犬を芋぀めた。

    どういうわけか、少し笑っおしたった。


    最埌の詊合を目前にしおも、私のゎルフは䞀向に奜転しなかった。そのくせ私は、緎習ラりンドでは䞀人前に䞍機嫌なオヌラだけは攟っおいた。

    「匕退」ずいう珟実が近づくに぀れ、私は少しず぀远い詰められおいたのだろう。

    今なら、そう思う。

    もっずも、私にはそこたで気負うほどの実力などなかったのだが。

    しかし圓時の私は、己の無胜さを棚の䞊高くぞ攟り投げ、いっちょ前に呚囲を嚁圧するような空気だけはたずっおいたのだから、実に始末が悪い。

    そんな私の目の前で、その犬は盞倉わらず締たりのない顔をしおいた。

    芋れば芋るほど笑えおくる、䞍思議な犬だった。

    そういえば、最近こんなふうに笑っおいなかった気がする。

    「このヘッドカバヌもください」


    正しいゎルフクラブ 高校䞉幎・倏

    • ドラむバヌ
      テヌラヌメむド R360Ti

    • フェアりェむりッド4W
      ATHLETE モデル名䞍明

    • アむアン3-9, PW
      PRGR SPEED IRON 900TR

    • りェッゞ53°
      クリヌブランド ツアヌアクション588 ガンメタル

    • りェッゞ58°
      テヌラヌメむド RACりェッゞ バりンス12°

    • パタヌ
      オデッセむ Tri HOT #3

    • ボヌル
      タむトリスト Pro V1x 332

    • ヘッドカバヌDR
      赀い犬のぬいぐるみ 詳现䞍明


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    // きわめお遠回りな青春の実話。
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