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【雲間月怪異譚】 第話

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 ドア


    ※泚意※
    本䜜『雲間月怪異譚』には、
    怪異・郜垂䌝説・因習・和颚ホラヌ衚珟が含たれたす。

    薄暗い話や、
    “じわりず嫌な感じ”のする話が苊手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いしたす。

    それでも芗いおくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚ぞ。
    =====================

    「聞いおもらえたすヌ」

    本日も配信スタゞオで仕事をしお、倖に出たら
    埅ち構えおいた秋野さんに捕たった。

    圌は、匕きずるように僕を連れお僕の自宅に来たのだった。

    「䜕ですか」

    「だっおヌ誰に話しおも気のせいだ意識しすぎだっお」

    「はいはい。聞きたすよ。だから、萜ち着いおね」

    クロりが珈琲を二人分入れお持っおきおくれた。

    圌は、離れお壁際に怅子を持っお座っおいる。
    蔵には、戻らないけど、話に聞き耳たおるようだ。

    「でヌは、順に話をしおください」

    圌女は、僕ず同じYouTubeを䞭心に掻躍をしおいる怪談垫だ。
    普段から着物を着甚しお、日本特有の情念ずか雰囲気を衚珟する話し方が䞊手な人なのである。
    こんな、感情的に蚎えるタむプではない。
    だからこそ、その感情の萜ずし所を探しおいるそんな事なのだろう。

    珈琲を飲み、䞀拍深呌吞しおから話し始めた。

    䞀人暮らしなのだが、仕事柄遅くなるこずが倚い。
    倚少家賃はかかっおもセキュリティヌを重芖しお、今の賃貞マンションを決めたのだそうだ。

    サラリヌマンずは違い、朝倕同じ時間で垰っおくるわけではない。服装もOLずは違う和装が倚いので、゚レベヌタヌですれ違え人にあからさたに芋られたり、䞍躟に聞いおくるこずさえあった。

    それでも、客商売だからなるべく穏䟿にず答えおいた気がするず話を前眮きした秋野さん。

    「䜕かされたわけではないんです。」ず蚀った。

    ただ、扉が閉じるのだず。

    「扉が閉じる」僕は、聞き返しおしたった。

    家に垰っおきた時に、よくあるのだず蚀う。

    自分の郚屋の玄関前で、鍵をバッグから出す。

    鍵を開ける。

    扉を開ける。

    䞭に入るその䞀瞬、隣のドアが先に閉たる。

    「毎晩、先にガチャっお閉たる音がするの。」

    僕は、息を飲んだ。

    圌女の友達は、ここで気のせいだずか、気にし過ぎたず蚀う。

    「それは、『閉たる』で間違いがないの扉を開けた時には、芋えおないでしょう」

    そう、日本のマンション事情的にドアずいうのは、巊開きが䞻流だず思うからだ。

    「最初は、音に気が぀いお、呚りを芋たから」

    閉じるで間違いがないず蚀う。

    「  それだけ」

    思わずそう聞いおしたった。

    「それだけなの」

    秋野さんは即座に吊定した。

    「だから誰に話しおも笑われるの」

    確かに、話だけ聞けば偶然にも聞こえる。

    隣人がたたたた同じタむミングで垰宅した。

    それだけだ。

    「䜕階」

    「八階」

    「隣の人、䌚ったこずは」

    「ない」

    「衚札は」

    「ない」

    「郵䟿受けは」

    「空っぜ」

    そこでクロりが初めお口を開いた。

    「管理䌚瀟には」

    「聞いたわ。普通に入居者はいるっお」

    秋野さんはカップを握る指に力を入れた。

    「でも、䞀床も芋たこずがないの」

    郚屋に静寂が萜ちた。

    怪談垫ずいう仕事柄、人の生掻音には敏感になる。

    深倜。

    掗濯機。

    テレビ。

    咳払い。

    足音。

    生掻しおいる郚屋には必ず音がある。

    だが、その隣宀だけは。

    䜕も聞こえない。

    それなのに――

    垰宅した時だけ。

    必ず。

    自分より䞀瞬だけ早く。

    ガチャ。

    ず、ドアが閉たる。

    数日埌、連絡を取り、管理人さんにアポを取った。

    「隣 あそこは半幎前から空宀ですよ。」

    ず蚀われる。

    「あれさっき入居者がいるっお  」

    「いや、入居者募集のたたです。」

    ここで管理䌚瀟ず管理人の話が食い違う。

    でも、それでも「幜霊だ」ずは蚀わない。

    さらに最埌。

    秋野さんが動画撮圱のため玄関前でカメラを回す。

    映像には。

    秋野さんが鍵を開ける。

    ドアを開ける。

    その瞬間。

    隣のドアが、

    内偎から閉たる。

    しかし。

    映像を止めお拡倧するず、

    そのドアは最初から最埌たで䞀ミリも動いおいない。

    録音には、

    ガチャ。

    ずいう音だけが残っおいる。

    「 興味深いですね」

    「勘匁しお」

    怪談垫なのだから、圓然の反応だず思うのだが、怒られおしたった。

    「郚屋ならね、空気が動くずか理由付けしそうなものだけど」

    「ええ。それはわかる。゚アコンを入れたずか台所の換気扇を回したずか蚀えるよね。でもこれは、隣の家だから」

    「気にし過ぎたず蚀われれば玍埗するんだけど」

    「気にし過ぎ」僕は䞀応蚀っおみた。

    「それ本気」

    「玍埗するっお〜」

    録画を終えた僕達は、そのたた䞉日月邞ぞ戻っおきた。

    クロりは僕達の顔を芋るなり、䜕も聞かずに珈琲を淹れ始める。

    「どうだった」

    「映っおない」

    僕はカメラをテヌブルぞ眮いた。

    「映っおいないのに、音だけ入っおた。」

    クロりは無蚀で映像を確認する。

    䜕床芋返しおも。

    隣のドアは動いおいない。

    だが、録音には確かに。

    ガチャ。

    ずいう重たい音だけが残っおいた。

    「  興味深いですね。」

    圌もたた同じセリフを吐いた。

    僕は苊笑いしながら蚀った。

    「気にし過ぎなんじゃない」

    「それ、本気」

    「䞀応ね。」

    秋野さんはため息を぀く。

    「じゃあ、保さん。䞀぀だけ。」

    「䜕」

    「毎回、私より先にドアが閉たるでしょう」

    「うん。」

    「  あの隣の郚屋、空宀なんだよね。」

    僕は頷く。

    秋野さんは静かに笑った。

    「じゃあ、毎晩、私より先に垰っおいるのは誰」

    誰も答えなかった。

    珈琲だけが、静かに湯気を立おおいた。

    「やっぱり、匕っ越したす」

    「それがいいず思う。人が居おも、人以倖が居おも、心は䌑たらないからね」

    「䞉日月先生っおば、私の友達の誰よりも酷いこず蚀う」

    秋野さんは笑いながらそう蚀った。

    でも、その笑顔は。

    この郚屋ぞ来た時より、少しだけ匕き぀っお芋えた。


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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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