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【雲間月怪異譚】 第話

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 泥氎の蓮


    ※泚意※

    本䜜『雲間月怪異譚』には、
    怪異・郜垂䌝説・因習・和颚ホラヌ衚珟が含たれたす。

    薄暗い話や、
    “じわりず嫌な感じ”のする話が苊手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いしたす。

    それでも芗いおくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚ぞ。

    =====================

    YouTuber人気怪談垫なんおやっおいるず、時期によっおは
    䟿乗したい人がやっおくる。

    遞挙が近づくず倚いねヌ

    本日は、䞀応登録しおいる事務所倧きなむベントの時は、お䞖話になっおたすからの䟝頌案件。

    「こちらの知事遞に出銬予定の黒柀矎沙子議員がYouTubeでコラボしたいそうです」

    ホラヌず蚀うよりは、自身の苊劎話を脚色しお、動画にしたいらしい。

    事務所が甚意しおくれたスタゞオでの配信だから、
    さっきから、議員のメむクアップやらラむトアップの蚭定が现かい事。

    「はい、はい。この内容で ここから、ラむトが圱差したすから悲しげな雰囲気でお願いしたす。あくたでも悲劇からの幜霊話ですからね。はい、よろしくお願いしたす」

    先ほどから、議員のそばで段取りをしおいるのは、議員の長女だそうだ。倧孊を出お、アメリカに留孊䞭だったのを出銬ずずもに戻されたらしい。

    議員は、バツむチで人気アナりンサヌ䞊がりの才女だ。

    話し方は、確かに柱みなく、話の繋ぎ方が䞊手い。
    若い頃は、盞圓な矎人で向かう所敵無しだったんだろうなっお感じである。

    「もうさっきからなんなよわかっおるっお蚀っおるでしょう。グズなんだから」

    議員が嚘さんに怒鳎っおいる。

    「たた始たった」
    うちのスタッフさんがボダいおいる。

    「たた」

    声を朜めお囁く。

    「長女を付き人にした理由よ。みんなあの気性に蟟易しお蟞めちゃうの。」

    黒柀矎沙子が初圓遞したのは、今から幎前。満を持しおの知事遞だが、付き人遍歎は片手では収たらないらしい。

    âž»

    「䞉日月先生お願いしたす」

    スタゞオでは、が調敎圹

    メむンな話は、ゲストの黒柀さんだけど、初めおの怪談だから
    間の話枡しが僕ず蚀う圢。でも、政治家さんはすぐ自分語り始たるから倧倉なんだよね。

    た、ずりあえずは、事務所䞻䜓だしもいるのでお気楜に話したすよ。僕もプロですからね〜女性奜みの軜め話のストックは甚意しおありたす。

    「 本日は元矎人アナりンサヌで知事遞に出銬も予定しおいる黒柀矎沙子さんにゲストにおいでいただきたした。こちらの埡本も出版で、今回のお話はその䞭の゚ピ゜ヌドからの抜粋ず聞いおおりたすが」

    「ありがずうございたす。その通りで、今回はこの本の『嚘ず私』ずいう゚ピ゜ヌドからのお話なんです」

    議員は、慣れた口調で笑顔を䜜った。

    その瞬間だった。

    僕は、思わず瞬きをした。

      あれ

    ラむトの圱だろうか。

    黒柀さんの右肩に、煙のような黒い靄が絡み぀いおいる。

    いや、肩だけじゃない。

    話し始めるたびに、その靄は口元ぞ集たり、蚀葉ず䞀緒に吐き出されるように揺れおいた。

    僕は黙っおスタッフ垭を芋る。

    誰も反応しおいない。

    芋えおいるのは、僕だけらしい。

    âž»

    ここで嚘さんに芖線を向ける。

    âž»

    嚘さんは、母芪を芋おいなかった。

    いや、正確には芋られなかったのだろう。

    俯いたたた、台本を握り締めおいる。

    その手は癜くなるほど力が入っおいた。

    「私たち母嚘は、本圓に苊劎しおきたんです」

    その蚀葉が発せられた瞬間。

    肩の靄が、口元ぞ流れ蟌み──

    黒い息になっお、ふわりず嚘さんぞ䌞びた。

    嚘さんは䜕もないのに肩を震わせた。

    âž»

    ここで保は「ああ、これ、霊じゃない」ず気付く。

    âž»

    幜霊じゃない。

    もっず嫌なものだ。

    誰かを眵り、

    責め、

    螏み぀け、

    飲み蟌んできた蚀葉。

    長幎積もった悪意が、吐く息になっお芋えおいる。

    そんな感じだった。

    動画配信は、順調に終わった。

    や僕には、慇懃無瀌に瀌をしおだっお、本圓にそう感じたんだもん

    匕いた途端の付き人である長女にあたっおいる。

    「なんで、怪談なのよ蚎論䌚はなかったわけ私の売りなんお䞀぀もない」

    「でも、今日は本の玹介をっお 」

    「五月蝿い圹立たず本圓にお父さんそっくりね」

    その䞀蚀が吐き出された瞬間だった。

    黒い靄が、䞀斉に色を倉えた。

    墚を溶かしたような黒ではない。

    腐った泥氎のような、濁った茶色。

    それは口元から溢れ、嚘さんの胞元ぞたずわり぀く。

      違う。

    絡み぀いおいるんじゃない。

    沈めようずしおいる。

    ここで嚘さんは䜕も蚀い返さない。

    キッず気持ちを抑えた県差しを母芪に向ける。

    母芪も蚀いすぎたこずを理解したのだろう。

    「䜕よ、事実じゃない」ず蚀葉が怯む。

    でも保だけが気付く。

    嚘さんは、ただ䞀床だけ顔を䞊げた。

    泣いおいるわけでも、怒っおいるわけでもない。

    ただ、泥の䞭でも折れない蓮みたいな目をしおいた。

    昔から、蓮は泥氎でしか咲かないず蚀われる。

    汚れた氎を吞い䞊げながら、

    花だけは泥に染たらない。

    あの嚘さんも、きっずそうなんだろう。

    母芪が吐き続けた蚀葉は、泥になっお圌女を沈めようずしおいた。

    それでも、あの子は䞀床も母芪ず同じ蚀葉を返さなかった。

    もし、あの黒い靄が蚀葉の色なら──

    䞀番怖い怪異は、幜霊じゃない。

    人が毎日吐き続ける、悪意そのものなのかもしれない。

    âž»

    埌日、知事遞の結果がニュヌスで流れおいた。

    黒柀議員は、萜遞した。

    陣営の前で深々ず頭を䞋げる姿が映る。

    その少し埌ろには、付き人を務めおいた長女がいた。

    衚情は倉わらない。

    けれど、僕には芋えた。

    あの泥氎のような靄は、もう圌女を沈めようずはしおいなかった。

    ただ足元に溜たり、行き堎を倱っおいる。

    蓮は、泥氎がなければ咲けない。

    でも。

    泥氎の䞭に咲き続ければ、

    い぀か花も枯れる。

    あの子が泥に染たらないたた生きおいけるのか。

    それずも、い぀の日か母芪ず同じ色の蚀葉を吐くようになるのか。

    それは、僕にはわからない。

    ただ䞀぀だけ確かなこずがある。

    人の口から吐かれた悪意は、

    消えない。

    誰かの心に沈み、

    誰かの人生に積もり続ける。

    だから僕は、

    幜霊よりも、

    生きおいる人間の蚀葉の方が怖いず思っおいる。

    =====================

    今回は、毛色を倉えお、人怖系で行っおみたした。

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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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