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【雲間月怪異譚】 幕間

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】幕間 海鮮フルコース


    ※注意※
    本作『雲間月怪異譚』には、
    怪異・都市伝説・因習・和風ホラー表現が含まれます。

    薄暗い話や、
    “じわりと嫌な感じ”のする話が苦手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いします。

    それでも覗いてくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚へ。

    =====================

    先日の綱手姫出産騒動から落ち着いた頃

    秋野さんを連れて、雲外鏡爺お勧めのお店に来ています。

    クロウは、基本的には、引きこもりなので本日もお家でお仕事中なのです。

    レストランは海に面した断崖の上。
    大きな窓からは、どこまでも青い海が広がり、潮風が心地よく吹き抜けていた。

    「海鮮のフルコースがおすすめだそうですよ」

    「楽しみです」

    秋野さんは今日も上品な装いだが、どこか休日らしい柔らかな雰囲気だった。

    「今日は食べ過ぎても苦しくならないよう、少しゆったりした服で来ました。」

    「正解ですね。気になる料理があれば追加しちゃってください。」

    「では、お言葉に甘えて遠慮なく。」
    ふたりは笑った。

    ⸻

    「あの日、外はかなり騒がしかったようでしたが、上手く収まって良かったですね」

    「お産婆さんもあの悪天候な中、早々に到着したおかげですよ。綱手姫の旦那さん頑張りましたからね〜」

    「綱手姫も頑張りましたよ。双子だったんですから」

    「ハハハ、三すくみじゃなくなっちゃうね〜」

    「三すくみったなんですか?」

    「えっ?秋野さん、あー見てないのかあれ」

    「?」

    「折角だから、後で雲外鏡爺に写真お願いしよう。」

    料理に舌鼓の後、奥から料理長が出てきた。

    「本日の料理は如何でしたか?」

    「大変美味しゅうございました。」

    「とても美味しかったですが、あのスープは不思議な味でしたね。材料は、なんでしたの?」

    秋野さんが聞いた。

    料理長は、にっこりと笑って言った。

    「海亀のスープですよ」

    怪談師の二人である。

    “海亀のスープ”と聞いた瞬間、互いの顔を見合わせた。

    「……」

    「……」

    「いや、料理の名前ですよね?」

    私が確認すると、料理長は少し首を傾げた。

    「ええ。もちろん本物の海亀を使った伝統料理ですが?」

    「違う、そうじゃない。」

    思わず口をついて出た。

    秋野さんも小さく笑いながら頷く。

    「怪談好きには、別の意味が先に浮かんでしまうんです。」

    「ああ、水平思考ゲームの……」

    料理長はようやく納得したように笑った。

    「お客様にも時々いらっしゃいますね。注文された瞬間に妙な顔をされる方が。」

    「職業病ですね。」

    「ですね。」

    二人で苦笑した、その時だった。

    厨房の奥から年配の女性スタッフが顔を出す。

    「料理長ー! 海亀のスープのお客様、お会計です!」

    店内の数組の客が、一斉にこちらを振り向いた。

    「…………」

    「…………」

    秋野さんが小声で呟く。

    「なんだか、私たちが怪しいことをした人みたいですね。」

    「ええ……事情を知らない人が聞いたら、完全に事件です。」

    思わず二人で吹き出した。

    その笑い声は、窓の向こうに広がる青い海へと吸い込まれていった。

    そんなふたりの微笑ましい姿を後ろ手に料理長は、奥に消えた。

    「後は頼みます」と言って、裏手から外に出る。

    料理長の姿から変わるその姿。スマホを片手に

    「よお、雲外鏡。ふたりにちゃんと料理振る舞ったぞ」

    スマホの先は、雲外鏡

    「手間を取らせた。妖怪大将達からも礼をしてくれと言われててな。海坊主の料理は、右に出る者がいないだろう?」

    「お勧めの海鮮フルコースだけだがな」

    「海で叶うものがいないからな」と言って、ガハハと笑った。

    料理長は、海坊主に姿を変え、大海原へ帰っていく。

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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリーや、ファンタジー物語が好きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が見えるんですが〜元テクニカルライターが、異世界魔法をデバッグします〜』 お寄りくださると幸いです。 静かな田舎で賑やかな猫達との時間を大切にしてます🍋

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