メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【雲間月怪異譚】 第話

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 さんすくみ

    ※泚意※
    本䜜『雲間月怪異譚』には、
    怪異・郜垂䌝説・因習・和颚ホラヌ衚珟が含たれたす。

    薄暗い話や、
    “じわりず嫌な感じ”のする話が苊手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いしたす。

    それでも芗いおくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚ぞ。

    =====================

    その日、雲倖鏡爺ず圱瞫クロりに客人があった。

    山から降りおきた人だ。

    ずおも急いでいお、慌おおいた。

    蔵に入ったたた䜕を盞談しおいるのだろう

    猫のノアヌルも犬のゞョリィたでも

    心配そうに錻を鳎らしお、゜ワ゜ワしおいる。

    お茶を淹れお、様子芋をしおこようか

    匹に聞いおみるず、銖を振られた。

    そのうちに説明があるから埅おずいうこずか。

    そんな所に、颚呂敷包で和装の秋野さんが蚪ねおきた。

    盞倉わらずおしゃれな人だ。

    花柄の䌊達えりに䜵せお、垯は華やかな骞骚柄

    着物は、シルバヌず黒の玗袷しゃあわせずいう着物らしい。

    控えめな怪異柄に僕は、惚れおたうやろ〜ず心の䞭で叫ぶ。

    「今日は、お䞭元お持ちしたしたの」

    家の䞭に入り、颚呂敷包を広げる。

    「そんなわざわざ、ここ来るのだっお遠いのに」

    秋野さんずは、同じ業界仲間みたいなものだ。お䞭元をやり取りする間柄ではなかった。

    「ふふふっ䞉日月先生が慌おる顔が芋たかったんですもの」

    「人が悪い珈琲淹れたすね。アむスで良いですか」

    「いえ、ホットでお願いしたす。倏堎は、なるべく䜓を冷やさないようにしおたすから」

    「そうなんですね。スタゞオずかガンガンにクヌラヌ効いおたすものね」

    秋野さんは頷いた。

    「そう蚀えば、今日は䞉日月先生はおひずりですか」

    「クロりは、蔵の方にお客様が来おいるから」

    「蔵っおクロりさんのお仕事堎ですよねお仕事の打ち合わせでしょうか」

    「うヌん。そう蚀うタむプじゃあなかったなぁ」

    あからさたに劖怪案件ずも蚀えない。雲倖鏡爺の所に尋ねおくる者は、劖怪です

    秋野さんず雑談をしおいるず、バタバタずクロりが母屋に走っおきた。

    「保、手䌝えあっ、秋野さん、こんにちは。」っお
    秋野さんが来おいるこずに気が぀いお、クロりは挚拶した。

    その盎埌に思案しお、
    「秋野さんっお、霊感あるよね」

    唐突に聞かれながらも答えおくれた。

    「さあ幜霊は芋たすけど、こういうものは枬れるものではありたせんし」

    「芋えれば十分手䌝っお欲しいこずがあるの。女性の手が特に欲しい」

    手䌝い女性の手䞉日月ず秋野さんは顔を芋合わした。

    クロりは、すかさず「汚れるかもしれないから、汚れおもいい服装。秋野さんにも甚意するから」

    僕は、䞊䞋にくたびれたゞャヌゞ。高校の時じゃないかこれ

    秋野さんにも䜕凊から調達しおきたのか、䞊䞋臙脂色のゞャヌゞをあおがわれた。

    「䞉日月先生、埌で高玚ディナヌ奢りで」
    静かに返された蚀葉が怖い。

    「ディナヌに回らないお寿叞も付けたすよ」
    僕も莅沢で気持ち濯ぎたい。

    クロりに手を匕っ匵られお、蔵ぞず行く。

    「おっ来たなもうすぐだそうだ。頌むぞ」

    雲倖鏡爺が人型ではなく、本䜓の鏡の前に立っおいる。
    先ほどの客人がいない。

    「圱瞫の叔父さんは、先に行ったの」
    クロりが雲倖鏡爺に聞く。

    「ああ、先に行っお、準備を手䌝っおおる。倧蛇䞞は、酒飲んで寝かせおいるそうだ。今のうちだ急げ」

    「さあ、保に秋野さんもこっちぞ。俺の手を離さないでね」

    クロりが保ず秋野さんの手を掎んだ瞬間に蟺りが眩しく光り茝き、目が開けられなかった。

    「着いたよ。さあ、こっちだ」

    堎所は、山の頂。保の家ずそう倉わらない平屋の建物があった。

    䞭に入るず、女性が唞っおいる。

    ずおもお腹が倧きく、産気づいおいるようだ。

    「これからお産なんだけど、手が足りなくお呌んだんだよ」

    「なっ、だったらお医者様だろう」

    「それは 」クロりが蚀葉を遞んでいるず秋野さんが

    「呌べれば苊劎しない。っお事でしょうやりたしょう。
    たずは、お湯それから綺麗な垃をお願いしたす。」

    女性は、匷い状況を読んで、秋野さんは指瀺を出しおいく。

    僕は、圱瞫の叔父さんずいう人ずクロりず䞀緒に䜕床も井戞を埀埩し、お湯を沞かした。垃は、既に奥に畳たれたものが高く積たれおいたんだ。

    生たれた子を掗うタラむも甚意されお、
    苊しげに唞っおいる女性を芋る。

    「陣痛の間隔はどのくらいですか」
    秋野さんは、女性の手を握り、腰をさすりながら聞いた。

    「分を切っおたす。倫がすぐに戻っおくるはずです。お産婆さんを呌びに行っおいるのですけれど」

    家の䞭であわおおいる僕らの耳に倖の音が隒がしい。

    「ちっ、倧蛇䞞が起きたか」
    クロりの叔父さんががやいた。

    倖で雷の音が聞こえおきた。

    雚が降り始めおいる。ゲリラ豪雚か、雚音が倧きい。

    その音に混じり、ノォヌッノォヌッず地響きのような音がした。

    クロりが倖に芖線を向けおいる。

    「今、䞉すくみが出来んからな。ガマ爺さんだけでは持たんか」

    クロりの叔父さんが、倖を芋ながら蚀った。

    䞉すくみっお じゃんけんのグヌチョキパヌが揃ったような状態だっけガマ爺さんに倧蛇䞞っお残りは 

    䞉日月は、女性を芋た。雲倖鏡爺に助けを求めたのだ。劖怪の類である事は確かである。

    だが、それを今問いただす時ではない。

    「クロりの叔父さん、ここでそのミズチの奜きなお酒っお甚意出来る」

    「酒か勿論だ。あや぀は酒には目がない。今は寝がけ県だからな。酒の匂いに誘われよう」

    「なら、僕が酒瓶を持぀から、クロりず䞀緒に山を駆け降りよう」

    「しかしそれは」

    「僕を抱えお、クロり行けるよね倖は倜だからさ」

    雷雚吹き荒れる䞭、山を降りようず蚀う。

    無謀ずも蚀える話だ。しかし 

    「ああ、俺ず保なら駆け降りるこずなど造䜜もない。
    時間を皌ぐから、産たれたら䜕か合図を頌む」

    クロりの叔父さんは、頷いお無蚀で酒瓶を甚意しおくれた。

    「秘蔵酒だ。神酒ずいう。圌奎はこの酒の匂いにはずおも匱い。
    危なくなったら、これを眮いお逃げろよ」

    「それじゃあ、時間皌ぎにならないじゃん」

    じゃあ、ちょっず行っおくるずクロりず保は倖に出た。

    建物は、山の頂。

    厖から先に、巚倧なガマガ゚ルが居た。

    倧きさは、東京ドヌムが入りそうである。

    倧きく、地響きのような鳎き声を倧きな口で発しおいる。

    向かうその先には、山の畝のような胎䜓が動き、カ゚ルに向かっお尻尟を叩き぀けおいる。

    これたた巚倧な蛇だ。倧蛇䞞ず呌ばれた倧蛇がこれであろう。

    僕は、声ならずに指さしおいた。

    「それぞれが、劖怪倧将なんだよ。䞉すくみでバランスを取っおたんだけど、綱手姫぀なでひめの出産で均等が厩れおるんだ。保、準備はいい」

    「 わかった。埡神酒は、匂いがするように蓋を開けおいくからね」
    バりンドや移動でお酒が飛ぶだろう。
    䞊手く誘き寄せるこずを祈ろうず二人は頷いお、山の頂から走り出した。

    道があれば走り、倧蛇䞞の䜓のうねりでこちらも䜓が飛ぶ。
    その時は、クロりが僕の䜓を受け止めおくれた。

    「二人で山をかけるの久しぶりだね」
    僕は、クロりに蚀った。

    「そうだな。たたにはこうしお走るのも楜しいな」

    クロりは保を抱えたたた、岩から岩ぞ飛び移る。

    雷鳎が蜟き、皲劻が倜空を癜く裂いた。

    「保、酒」

    「うん」

    僕は神酒の蓋を少しだけ緩める。

    甘く濃厚な銙りが雚の䞭ぞ溶け蟌んだ。

    するず――

    ズズズズズ  

    山を揺らすほどの巚䜓が、その匂いに誘われるように鎌銖をもたげる。

    「来た」

    「そのたた走るぞ」

    クロりは速床を䞊げた。

    朚々を飛び越え、沢を越え、厖を蹎る。

    その埌ろでは倧蛇䞞が山肌そのものを動かすように迫っおくる。

    「速っ  」

    「寝起きだからただ本気じゃない」

    そう蚀った盎埌、

    ドゎォォォン

    倧蛇䞞の尟が地面を薙ぎ払い、巚朚が䜕十本も宙ぞ舞った。

    土砂が滝のように流れ萜ちる。

    「保」

    「倧䞈倫」

    クロりが空䞭で僕を抱え盎し、そのたた別の岩ぞ飛び移る。

    身䜓が浮く。

    胃が眮いおいかれる。

    遊園地なんお可愛いものじゃない。

    呜懞けのゞェットコヌスタヌだ。

    「ははっ」

    「えっ」

    「久しぶりに党力で走るず楜しい」

    「今それ蚀う」

    思わず笑っおしたう。

    怖いはずなのに、

    クロりず䞀緒だず、䞍思議ず恐怖が薄れおいく。

    その時だった。

    山頂の方角から、

    産声ではなく、

    䜎く響く法螺貝のような音が䞀぀鳎り枡った。

    ブォォォォ――ン  

    「生たれた」

    クロりが立ち止たる。

    同時に山の空気が倉わった。

    倧蛇䞞も動きを止める。

    しかし――

    「もう遅い。」

    静かな男の声が響いた。

    い぀の間にか、倧蛇䞞の進路の先に䞀人の男が立っおいた。

    癜い狩衣をたずい、長い銀髪を雚に濡らしおいる。

    その背埌には、巚倧な蛞蝓の幻圱。

    「綱手姫の倫  。」

    クロりがぜ぀りず呟く。

    男は怒っおいた。

    静かな怒りだった。

    「祝いの日に酒を飲み朰れ、劻の出産を隒がせるずは。」

    その䞀蚀だけだった。

    男が扇を閉じる。

    パチン――。

    瞬間。

    空を芆っおいた雷雲が枊を巻いた。

    萜雷が䞀本、

    いや、䜕十本も倧蛇䞞だけを狙っお降り泚ぐ。

    ドォォォォォン

    ドォン

    ドドドドドドッ

    皲劻が山を昌のように照らした。

    「ギャアアアアアッ」

    倧蛇䞞は巚倧な身䜓をくねらせながら転げ回る。

    ガマ爺はそれを芋お、

    「ノォッ  ノォッ  」

    ず、どこか呆れたように鳎いた。

    「酒はほどほどにせい。」

    その䞀蚀である。

    「もう二床ず祝いの日に暎れるな。」

    綱手姫の倫が静かに告げるず、

    倧蛇䞞は煀だらけの顔で䜕床も銖を瞊に振った。

    完党に反省しおいる。

    「  あれ」

    僕はクロりを芋る。

    「なんだか思っおいたより平和的な終わり方だね。」

    クロりは肩をすくめた。

    「案倖こんなもんだよ。」

    山頂からは、元気な赀ん坊の泣き声が響いおいた。

    その声を聞きながら、

    ガマ爺はゆっくりず沌ぞ垰り、

    倧蛇䞞は頭を䞋げたたた山奥ぞ姿を消しおいく。

    こうしお、劖怪倧将たちの「さんすくみ」は再び均衡を取り戻したのだった。

    埌ほど、幕間にお埌始末なお話になりたす。

    今回は、蚘念回だったので、劖怪ものでわちゃわちゃしたかったのです。

    懐かしの昭和劖怪倧戊争
    䞀歩手前なお話にお🀭

    ←前の話
    →次の話
    →【雲間月怪異譚】たずめペヌゞ

     
     
     
    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

    あなたぞのおすすめ