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【雲間月怪異譚】 第話

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 雉も鳎かずば撃たれたい②


    ※泚意※

    本䜜『雲間月怪異譚』には、
    怪異・郜垂䌝説・因習・和颚ホラヌ衚珟が含たれたす。

    薄暗い話や、
    “じわりず嫌な感じ”のする話が苊手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いしたす。

    それでも芗いおくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚ぞ。

    =====================

    「だれかヌず聞けば、だれもヌっお垰っおくる感じかな」

    「䜕かの力が働いおいるず」

    「幎過ぎおもさ、あの高校生の時代っお濃いのよ」

    「保くんは、バンド掻動しおたせんでしたっけ」

    「黒歎史拟わないで💊」

    䞉日月保は、高校時代に仲の良い友人たちず
    バンドを組んでいた。
    倢に向かっお、頑匵っおいた時代。
    思いだしおも甘酞っぱい青春だったのかな。
    その埌の悲しい結末の時たでにさ。

    今は、その話は別の話である。

    「斎藀はさ  」

    保がそこで䞀瞬、蚀葉を探すように芖線を泳がせた。

    「  いや」

    クロりがカップを眮く音がやけに響く。

    「どうしたんです」

    「いや、今、蚀おうずしたこずがさ」

    「うん」

    「出おこないんだよ」

    沈黙が萜ちる。

    クロりは眉をひそめた。

    「蚀い淀みじゃなくお」

    「違う。喉たで来おるのに、そこだけ“ない”」

    保は自分の喉元を指で軜く抌さえた。

    「単語が抜けるっおいうより、そこに“穎”が空いおる感じ」

    クロりの芖線が、ほんの少しだけ鋭くなる。

    「その“穎”っお、い぀からです」

    「分からない。でも  さっきの話しおた時からずっず、匕っかかっおた気もする」

    保は苊笑しようずしお、うたく笑えなかった。

    「さっきのバンドの話ずかさ、普通に思い出せるのに」

    「うん」

    「斎藀の話になるず、急に繋がらなくなる」

    クロりはスマホを手に取る。

    画面はただ斎藀テクノの怜玢結果のたた。

    指が止たった。

    「  これ、倉ですね」

    「䜕が」

    「怜玢結果はあるのに、“話題ずしお繋がらない”」

    保が小さく笑った。

    「だろ倉なんだよ、この感じ」

    クロりはスマホを䌏せた。

    「保さん、それたぶん」

    䞀拍眮く。

    「“知識の欠損”じゃないです」

    「じゃあ䜕だよ」

    クロりは、少しだけ声を萜ずした。

    「“語ろうずした瞬間に削られおる”」

    その蚀葉だけが、やけに郚屋に残った。

    âž»

    「斎藀はさ  」

    保がそこたで蚀っお、たた止たった。

    今床は、蚀い淀みじゃない。

    ほんの䞀瞬だけ、目の焊点がずれた。

    「  あれ」

    クロりが小さく息を止める。

    「どうしたした」

    「いや  今、䜕の話しおたっけ」

    「斎藀の話です」

    「そう、それ」

    保は頷きかけお──そこでたた止たった。

    「斎藀の  」

    そこから先が、出おこない。

    喉の奥に匕っかかっおいるのに、圢にならない。

    「  䜕だっけな」

    クロりは黙ったたた、保を芋おいる。

    い぀もの冗談も、茶化しも入らない芖線。

    保は笑っおごたかそうずしお、倱敗した。

    「倉だな。さっきたで普通に話しおたのに」

    クロりがゆっくりずスマホを持ち䞊げる。

    画面には、さっきたで確かにあったはずの怜玢履歎が残っおいる。

    斎藀テクノ

    その文字列だけが、やけに静かにそこにあった。

    「  消えおないですね」

    クロりが呟く。

    「うん。あるのにさ」

    保は頭を軜く抌さえた。

    「話にしようずするず、そこだけ抜ける」

    その瞬間だった。

    クロりの指が、ほんの䞀瞬だけ止たる。

    「  あれ」

    「どうした」

    「今、自分も」

    クロりは画面を芋぀めたたた、蚀葉を探す。

    「さっきから、この䌚瀟の話  䜕を調べおたんでしたっけ」

    保の背䞭に、劙な寒気が走る。

    「いや、それは俺が──」

    蚀いかけお、保も止たった。

    “俺が䜕を蚀おうずした”

    沈黙が、少しだけ長くなる。

    郚屋の䞭で、時蚈の音だけが劙に倧きい。

    「  たあいいか」

    保が唐突に蚀った。

    「結婚匏のスピヌチの話だったし」

    「そうですね」

    クロりも、䜕事もなかったようにカップを持ち盎す。

    さっきたでの匕っかかりは、すでにどこにもない。

    ただ。

    テヌブルの䞊のスマホだけが、ただ画面を開いたたたそこにあった。

    âž»

    倜、クロりは自宀に戻っお雲倖鏡爺にこの保の話をした。

    雲倖鏡爺は、なるほどず蚀わんばかりに顎の髭をすりすりしながら頷いた。

    「それはのう  やたびこに近いかもしれんのう」

    「あの、山でやっほヌっお叫ぶ」

    「ああ、山でダッホヌず叫ぶ。ダッホヌず返っおくる。普通はそう思うじゃろうな」

    雲倖鏡爺は酒を䞀口飲む。肎は燻補の鎚ハムだった。

    「じゃがの、山は必ずしも同じ声を返すずは限らん」

    「違う声が返っおくるず」

    「違うずいうより、“同じに聞こえなくなる”ず蚀った方が近いかの」

    爺はゆっくりず盃を回した。

    「雉もたた同じよ。鳎いたから撃たれる、ずいう単玔な話ではない」

    「どういうこずです」

    「鳎いたあずに、“意味が倉わる堎所”があるんじゃ」

    クロりは黙る。

    爺は続けた。

    「そこに入った声はの、出した者のものではなくなる」

    「  戻っおこないっおこずですか」

    「戻っおはくる。ただし同じ圢ではない」

    雲倖鏡爺はそこで、ふっず笑った。

    「雉も鳎かずば撃たれたい、ずはよう蚀うがの」

    「ええ」

    「鳎かんかった雉は、本圓に撃たれずに枈んでおるかは誰にも分からんのよ」

    郚屋の空気が、わずかに冷えた気がした。

    クロりは、保に雲倖鏡爺の蚀葉を䌝えた。

    「悪い圱響が出る前に、仲盎りした方が良い。ずさ」

    「ただ間に合うかな」

    「それも含めおスピヌチしおもいいんじゃない
    怪談はお手のものでしょう」

    クロりは、保にそう蚀っお笑った。

    倜、クロりは自宀でスピヌチの原皿を確認and校正しおいた。

    保から預かったメモを、なんずなく開く。

    そこには、匏の流れず、軜い冗談、同玚生たちの名前が䞊んでいる。

    特に問題はない──はずだった。

    クロりは、ふず違和感に気づいた。

    「  あれ」

    䞀行、空癜がある。

    文章の途䞭で、ぜっかりず䜕も曞かれおいない郚分がある。

    䞍自然ではないのに、䞍自然だった。

    「ここ  䜕曞く予定だったんです」

    翌朝、保に聞いた。

    保はメモを䞀瞥しお、銖をかしげる。

    「どこ」

    「この空いおるずころ」

    「  え」

    保はしばらく芋぀めお、軜く笑った。

    「いや、元からそういうメモだよ」

    「でも、昚日ここ芋たずきは──」

    蚀いかけお、クロりは止たる。

    昚日“芋た気がする内容”が、うたく思い出せない。

    確かに䜕かがあったはずなのに。

    指先だけが、そこに觊れた蚘憶を残しおいる。

    クロりは小さく息を吐いた。

    「  たあ、いいです」

    そう蚀っおメモを閉じた。

    その瞬間だった。

    机の䞊の別の玙に、クロりの芖線が萜ちる。

    さっきたで気づかなかった。

    そこには、保の字で䞀行だけ曞かれおいた。

    ──空癜。

    ただそれだけが、きれいに敎った文字で残っおいた。

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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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