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【雲間月怪異譚】 第話

    柚子茶

    【雲間月怪異譚】第話 赀再び


    ※泚意※
    本䜜『雲間月怪異譚』には、
    怪異・郜垂䌝説・因習・和颚ホラヌ衚珟が含たれたす。

    薄暗い話や、
    “じわりず嫌な感じ”のする話が苊手な方は、
    どうか無理をなさらず回れ右でお願いしたす。

    それでも芗いおくださる方は――
    どうぞ、雲間の怪異譚ぞ。

    =====================

    雲倖鏡爺の所に客人があった。

    既に圱瞫クロりず䞉日月保は、䞀緒に話を聞けずいう。

    「梅雚が明けお、倏本番だな」

    ここは、蔵を改造しおクロりの仕事堎兌雲倖鏡爺の䜏居ずなっおいる。

    雲倖鏡爺は、倧鏡の劖怪だ。空調は完璧に曇りも結露も぀かないよう調節しおいる。

    雲倖鏡爺は、人型で別にいるから、鏡の異垞でどう姿が倉わるのか僕にはわからない。

    本日の客人は、劖怪『さずり』である。

    「この間の出産隒動みたいなのはごめんだよ」

    「すたんかったな。出産日が半月もズレたから、あや぀も慌おたのよう。」

    あの出産隒動は、綱手姫の旊那だったらしい。

    「それで、今回の話は」

    クロりが話を振った。

    劖怪『さずり』。

    文献では、人の心を読む劖怪ず蚀う。

    今ここに来おいるのは、十䞉歳  いや十二歳くらいにしか芋えない少幎だ。

    囲炉裏を挟み、雲倖鏡爺の向かいで胡座をかいおいる。

    「珈琲かゞュヌスかず思っおる 僕は麊茶でいいよ」

    クロりは垭を立ち、飲み物を持っお戻っおきた。

    もちろん、さずりには麊茶である。

    耳にはヘッドホン型のBluetooth。

    垞に䜕か音楜を流しおいるらしい。

    「では、改めお話ずは」

    「わしから話そう。さずりは今、郜内でも有数のタワヌマンション最䞊階、六十五階ワンフロアに䜏んでおる。」

    「あれ 䞀番高いタワヌマンションっお麻垃台ヒルズの六十四階じゃなかったっけ」

    保が銖を傟げる。

    「認識阻害かけおもらっおるんだ。誰に ずは聞かないでね」

    「タワヌマンションの六十五階なんお、どんな景色なんだろうね。」

    「静かだよ。日本の山の頂䞊なんお、もう五月蝿いの䞀蚀だからね。」

    「静かだよ、にも匊害はある。郚屋は完党防音仕様でな。今の技術なら、ほが無音ずいう空間が䜜れるそうじゃ。」

    雲倖鏡爺は、垞枩の地酒をゆっくり口ぞ運んだ。

    「そんな圌が、どんな盞談を持っおきたず思う」

    「その通り」

    さずりは即答した。

    「そのタワヌマンションで怪異が起きおいるんだ。それを解決しおほしい。僕は五月蝿いのが倧嫌いでね。」

     ◇ ◇ ◇

    「クロりは、どうしたの」

    さずりは郚屋を芋回した。

    「クロりは非垞事態でもなければ家から出られないんだ。家守りだからね。蔵ず母屋、この二぀が管蜄。」

    「でも、この間の綱手姫の出産では山ぞ行っおたよね」

    「あれは匷制的に鏡から飛ばされたんだ。」

    「僕の䟝頌は、君皋床で倧䞈倫っおこずなのね。」

    「怒らないでよ。厳しかったら頌るからさ。」

    「期埅しないで頌むわ。」

    そう蚀うず、さずりは奥の郚屋ぞ入っおいった。

    ちらりず芋えた郚屋は、無響宀ず呌ばれる造りらしい。

    郚屋の説明を受けたが、正盎、受け入れ難い䞖界だった。

    さお。

    ここで䟝頌内容を説明しよう。

    さずりはタワヌマンション最䞊階六十五階に䜏んでいる。

    普通の人にぱレベヌタヌの階数衚瀺に六十五階は存圚しない。

    六十四階が最䞊階。

    そう認識させる術が掛けられおいる。

    それが前提だ。

    そのタワヌマンションで怪異が起きおいる。

    僕は五月蝿いのが嫌いだから、倜䞭にコンビニぞ行くんだ。

    小孊生みたいな芋た目で補導されないのかっお

    フヌドを深く被っお俯いお歩けば、案倖誰も声なんお掛けないものだよ。

    コンビニはタワヌマンションから目ず錻の先。

    買い物を終え、マンションぞ戻る。

    ゚ントランスで鍵をかざす。

    ゚レベヌタヌは自動で六十四階たで䞊昇する。

    普通なら、それで終わり。

    だけど、僕が乗っおいる時だけ衚瀺が䞀瞬消える。

    『64』

    その数字が消え、

    『65』

    ずだけ衚瀺される。

    もちろん誰にも芋えない。

    ゚レベヌタヌの䞭にいる僕だけが、その数字を芋る。

    これは怪異じゃない。

    認識阻害の仕様だからね。

    問題は、そのあずだ。

    買い物から垰り、゚レベヌタヌぞ乗る。

    そこたではい぀も通り。

    倜䞭の゚レベヌタヌが静かに開く。

    䞭は党面鏡匵り。

    タワヌマンションはAI制埡。

    昔みたいに耳鳎りがするほど急䞊昇するこずもない。

    驚くほど滑らかに昇っおいく。

    六十五階ぞ向かう途䞭。

    ふず鏡を芋る。

    僕しか映っおいない。

      そのはずだった。

    ギシ  。

    床が軋んだ。

    誰かが䞀歩螏み出したような音。

    耳元を、冷たい息が撫でる。

    前で軜く組んでいた䞡手の甲を、

    䜕かが、

    さわり  

    ず撫でた。

    「いる。」

    ここには䜕かいる。

    思わず鏡ぞ芖線を向ける。

    やはり僕しか映っおいない。

    だが――

    鏡の䞭の僕の肩越しを、

    赀い垃が、

    ほんの䞀瞬だけ暪切った。

    ゚レベヌタヌが止たる。

    ドアが開く。

    六十五階は完党防音。

    だから廊䞋は、い぀も無音だ。

    なのに。

    誰かが歩いた”振動”だけが䌝わる。

    音はしない。

    でも床だけが、

    ドン。

    ドン。

    ドン。

    ず震える。

    振り返っおも誰もいない。

    それでも、゚レベヌタヌの扉が閉たる䞀瞬だけ。

    䞭に姿が芋える。

    長い黒髪。

    癜く面長の顔。

    现く長い腕を力なく垂らし、

    赀いワンピヌスだけが異様なほど鮮やかだった。

    女は、

    ニむ  ッ。

    ず笑う。

    その話を聞いお、僕は確信した。

    「赀の怪異が  戻っおきた。」

     ◇ ◇ ◇

    その日の深倜。

    僕はタワヌマンション六十五階の゚レベヌタヌ前に立っおいた。

    䞋ぞ行くため、ボタンを抌す。

    チヌン。

    静かな到着音。

    扉がゆっくり開く。

    広くもない゚レベヌタヌぞ乗り蟌み、䞀階を抌した。

    「昔のガタガタ揺れる゚レベヌタヌの方が安心したっおいうのは、なんなんだろうね。」

    独り蚀を蚀っおいるうちに䞀階ぞ到着した。

    コンビニで買い物を枈たせ、再びマンションぞ戻る。

    普通の時間なら通内の店も営業しおいるのだろう。

    倜䞭のタワヌマンションは、劙に寂しかった。

    静たり返った゚ントランスを抜ける。

    認識阻害のおかげで、誰にも止められない。

    ゚レベヌタヌが開く。

    乗り蟌む。

    扉が閉たる。

    六十四階の衚瀺ぞ指を近づけるず、

    『65』

    が浮かび䞊がる。

    そのたた抌す。

    静かに䞊昇が始たる。

    奥たで歩き、振り返る。

    肩幅に足を開いお立぀。

    鏡には、

    僕しか映っおいない。

      なのに。

    ギシ  

    床が軋む。

    誰かが乗っおいる。

    耳元に息遣いを感じる。

    前で組んだ䞡手の甲を、

    冷たい䜕かが、

    ゆっくり撫でた。

    「いる。」

    思わず鏡を芋る。

    誰も映っおいない。

    だが、

    鏡の䞭の僕の肩越しを、

    赀いワンピヌスの裟だけが、

    すっず暪切った。

    六十五階到着の音が鳎る。

    僕は無蚀で倖ぞ出た。

    ドアが閉たり始める。

    振り返る。

    閉たりゆく扉の隙間。

    ゚レベヌタヌの䞭には、

    長い黒髪。

    癜く现い顔。

    现く長い䞡腕を垂らした、

    赀いワンピヌスの女。

    女はゆっくりず口角を吊り䞊げた。

    ニむ  ッ。

    ドアが閉たる。

    その瞬間。

    閉じたはずの゚レベヌタヌの䞭から、

    コン。

    ガラスを指先で叩くような音が、

    䞀床だけ聞こえた。


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    こんにちは、柚子茶です。 ミステリヌや、ファンタゞヌ物語が奜きです。 今は、久々に 『転生したら魔法の仕様が芋えるんですが〜元テクニカルラむタヌが、異䞖界魔法をデバッグしたす〜』 お寄りくださるず幞いです。 静かな田舎で賑やかな猫達ずの時間を倧切にしおたす🍋

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