
青春の記憶〜大人の女性に魅力を感じた高校生の話〜
高校の通学路にある小さな床屋「A理容店」
青春の甘酸っぱい
…というか、
邪な気持ちを少しだけ持ちつつ、三年間通い続けていた。
その床屋には理容師のじいさんとばあさんがいて、空いている方がカットしてくれたことを覚えている。
近所の人が集まる昔ながらの
町の床屋だったんだよね。
初めはなんとなく学校の帰りに通い始め
特別な理由なんてのはなかったわけ。
ところが…
ある日、髪を切りに入ると
じいさんとばあさんが
両方とも接客中で待ちになった。
仕方なく、テレビを見ながらボーっとする。
時間がかかりそうだと思ったのか
ばあさんが奥に入って行った。
「○○〜、手ぇ空いてるかい〜?」
って誰かを呼んだ。
カーテンの奥から現れたのは
見たことのない女性。
見たところ30歳~35歳くらいの年齢?
艶のある声、滑らかな動き、美しい顔立ち。
そして何よりスタイル抜群。
完璧なバランスです。
高校生の”やじ”は、何となく通っていたA理容店の存在が変わったのだ。
こんな綺麗な人がいたんだ…
それが最初の衝撃だった。
高校の女子違って、大人の女性って感じがしてさ。しかも美人だったし。
これは 後で聞いたんだけど、
その女性は じいさんとばあさんの娘で
婿養子をとって一緒に暮らしていたそうだ。
彼女もやはり、理容師さん。
その若奥様にカットしてももらったときの
私は高校生で、彼女もいない。
女性と手をつなぐほど接近したのも
小学校のフォークダンスの時以来。
大人の女性に接近する事がなかったやじは、
緊張しまくった。
すんげ~~いい匂いがする。
私は 多分、挙動不審だった。
鏡を見れば目が合いそうで、
胸や顔を直視しすぎないよう
必死に目をいろんな方向へやってみた。
でも、できるだけ
”この時間が長く続きますように”
といつも神様へお願いしていた。
それからは、床屋に入る前に店を覗き込み
若奥様に切ってもらえるかどうかの順番を
頭で計算して入店。
これぞ、青春の確率論✨
運よく若奥様が担当だと、
それだけで一日がハッピーだ。
散髪した次の日は、急に大人になったようで
学校の女子たちが急に子供っぽく見えた。
若奥様に切ってもらっていた ある日、
途中でばあさんに交代される事件発生。
「ちっくしょー!詐欺じゃねぇかー!」
舌打ちする やじの音。
注)三人ともかなりいい人でした。
三年間通い続けた床屋だったけど、
大学進学とともに足が遠のいた。
再び「A理容店」を利用することは
無かったのだが…
「30年以上たってるよなぁ、
やっぱ、ばあさんみたくなってるかもな。
親子だしな」
毛根が弱くなってきた自分の頭を撫でながら、
あの頃のトキメキをふと思い出したんだよね。
トキメキっつぅか…