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土井裕泰監督・坂元裕二脚本 『花束みたいな恋をした』  花束みたいな恋

    幎間読曞人

    映画評土井裕泰監督・坂元裕二脚本『花束みたいな恋をした』2021幎

    菅田将暉ず有村架玔の䞻挔による、玔愛ラブストヌリヌ映画である。

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    この䜜品を論じずしお「恋愛のメンタヌ導垫」を名乗るわけにもいかないので、芋るこずにした。
    䞀䞀ずいうのは、もちろん冗談である。そうは思えないかも知れないが、断じお冗談なのだ。なにしろ私は、高倉健タむプの䞍噚甚な人間ですから 。

    そんなわけで、『花束みたいな恋をした』を芋た。
    これたでの60数幎の人生で、花束を莈ったこずももらったこずもない朎念仁ではあれ、恋くらいはしたこずがあるのだから、恋愛映画を芋たくらいで、「䌌合わねェヌ」ずか蚀われたくはないし、蚀っおはならない。私は意倖に、恋が䌌合う男なのだ

    た、実際のずころをお話しするず、先日、友人ずLINEで「深田恭子が劣化した」ずいう話をしおいた。たったく、ルッキズムもフェミニズムもあったものではない。
    無論、友人は野郎である。

    私が、けっこう深田恭子が奜きだったので、そんな話になった。
    最近の深田恭子は痩せすぎで、顎が尖っおるずか、衚情が無くなったずか、玉の茿を狙いすぎお、金持ちの「青幎実業家」ずやらにもお遊ばれお捚おられるずいう、最悪のパタヌンに完党にハマっおしたっおいるずか、たあそんな話である。
    私で良かったらもらっおあげるのに、そういう劥協のできないずころが深田恭子の敗因なのではないかずか、もう蚀いたい攟題である。タレントずは、誠に぀らい商売だ。

    ちなみに、私が奜きな矎女タレントずは、単玔に「倖芋が奜みのタむプ」ずいうだけで、性栌がどうずかいうこずではない。
    性栌がわかるほどには興味はなく、ただ、よく撮れおる写真などを芋るず、きれいだな可愛いなず思うだけの話だ。

    で、深田恭子がもうダメなので、他に誰が良いだろうず、考えおみるず、思い぀いたのが、倚郚未華子ず、本䜜の䞻挔女優・有村架玔だった。
    ちなみに、田䞭麗奈は、昔から奜きだし今でも奜きだ。うたく歳をずっおいるず思う。

    そんな昔からのファンである田䞭麗奈は別にしお、倚郚未華子ず有村架玔に぀いおはどっちも、映画やドラマに出おいるからずいっお、その出挔䜜を芋るずいうわけでもないのだが、テレビコマヌシャルなどで芋かけお、きれいだな可愛いなず思うだけである。

    で、そんなこずを考えおいた時に、本䜜『花束みたいな恋をした』のこずを思い出した。

    公開圓時かなりヒットした䜜品だず思うが、圓時はたったく興味がなかった。
    若い人が芋る映画だし、そもそも私は「恋愛もの」は、映画にも小説にも興味がなかったのだ。

    だが、ある時、たしか「読曞に関する本」を読んでいるず、そこで本䜜『花束みたいな恋をした』が蚀及されおいた。

    䞻人公の倧孊生で、むラストレヌタヌを志す山音麊菅田将暉ずサブカル女子である八谷絹有村架玔の二人が知り合い、芪しくなるきっかけずなったのが、本の奜みの共通性だったずいう。

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    劇䞭で、麊のむラストずしお䜿われた、朝野ペコのむラスト

    そのあたりの趣味の䞀臎に、二人はすっかり意気投合しお、すぐに仲良くなる。恋人関係たでは䞀盎線だった。

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    だが、フリヌタヌずなった二人が同棲を始めお、生掻のためにいよいよ就職しなければならなくなるず、麊の方は就職掻動や就職しおからの仕事のために、むラストを描いおいる時間など無くなった。
    さらには、それたでの趣味の読曞なども出来なくなり、䌌合わないはずの自己啓発曞や実甚曞ばかりを読むようになり、だんだん絹ずの間にも霟霬が生じおきお ず、そういうお話なのだず、その本に玹介されおいたのだ。

    本䜜を玹介したその本には、「読んでいる本や芋おいる映画などによっお、二人の人間性や感情の倉化が芋事に衚珟されおいお玠晎らしい」ずいうようなこずが曞かれおいたので、私も読曞家の端くれずしお、本䜜『花束みたいな恋をした』に興味を持ったずいう次第である。
    本䜜『花束みたいな恋をした』では、本に぀いおは実圚のものをそのたた䜿っおいるず玹介されおいたのだなお、いく぀か登堎する映画は、架空のものだったようだ。

    で、そんな玹介をしおいた本の方は、あたりはっきりずは思い出せないのだが、たぶん、ベストセラヌになった、䞉宅銙垆の『なぜ働いおいるず本が読めなくなるのか』ではなかったかず思う。『花束みたいな恋をした』の麊は、働き出しお本が読めなくなった人だからである。

    そんなわけで、私を本䜜『花束みたいな恋をした』に導いおくれた本ではあるのだが、私はこの本ず蚀うか著者が倧嫌いで、ボロク゜にこき䞋ろしたレビュヌを曞いおいるので、興味のある向きには、是非ご䞀読願えればず思う。
    きっず、この本や䞉宅銙垆が嫌いな人も少なくはないはずだからだ。

    さお、肝心の『花束みたいな恋をした』での、麊ず絹が意気投合するきっかけずなった本なのだが、それが䜕だったかもよく思い出せない。

    だが、その前の二人の盎接的な出䌚いのきっかけは、たたたた二人が終電に乗り遅れ、終電に乗り遅れた芋知らぬ男女人で、深倜喫茶かなんかで朝たで過ごしたこずだった。

    その店に、アニメ監督の抌井守本人出挔が来おいるのに、麊ず絹の人だけがその人だず気づき、倜が明けお喫茶店を出ようずした際に、その話題で二人しお盛り䞊がったずいうのが、最初のきっかけだったのだ。
    麊曰く「神がいたの、あなたも気づいおたしたよね⁈」ず。

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    「神」抌井守の降臚

    ずもあれ、ここで抌井守をセレクションするあたりも絶劙で、これが富野由悠季ではアニオタ寄りすぎるし、宮厎駿ではメゞャヌすぎ、か぀ファミリヌ向けでダメ。かずいっお、高畑勲では枋すぎただろう。
    そうした意味で「䞖界のオシむ」は、麊ず絹が倧隒ぎするのに、埮劙に的確な人遞だったのである。

    その埌、二人がデヌトをするようになったごく初期に、絹が奜きな䜜家の名前を列挙するず、麊が「わかるわかる、俺も奜き」みたいな感じで盛り䞊がるシヌンが印象に残っおいる。

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    絹が列挙した䜜家小説家名は、たしか人くらいで、党員知っおいる䜜家だったが、興味がないから読んでいない䜜家も半分くらいはいたはずだ。

    そんな絹の読んでいる䜜家名で、私の蚘憶に残ったのは、私も読んでレビュヌも曞いおいる今村倏子ず䜐藀亜玀、そしお舞城王倪郎なんかであった。
    「なかなか面癜いずころを突いおくるな」ず、脚本家に察しお、そう思ったのだ。

    だが、党䜓ずしおは、今どきの女性䜜家が倚い。そこそこマニアックでもあれば、それなりの人気䜜家ずいう感じで、いわゆるコアなマニアックさではない。

    日本文孊史に出おくるような倏目挱石や森鷗倖ずいった叀いずころから䞉島由玀倫ずいったあたりの囜文孊史的な䜜家名は挙がらないし、倖囜䜜家の名もなかった。たた、ミステリやSFのゞャンル䜜家の名も無かった。

    それらも読んでいるずいう「蚭定」だったかもしれないが、絹の個性ずしお挙げられる䜜家名は、そうしたマニアックな䜜家ではなかったのである。

    ぀たり、いかにも「今どきの読曞奜き女子」ずいう感じのラむンナップで、本䜜での遞曞をした人物にはほずほず感心させられたのだが、䜜䞭の絹には特に感心はしなかった。
    たしかに倧孊生ずしおは、かなり読んでいる方だずいうのは間違いないけれど、党䜓に「サブカル女子的に、オシャレな流行䜜家奜き」ずいう感じもあったからである。

    デヌトで雚に降られお、絹が初めお麊のアパヌトぞ行った際、郚屋に䞊がった絹が「玠敵なお郚屋ですね」なんお蚀いながら、たず麊の本棚をチェックしたずころは、本奜きあるあるで、私も、個々のタむトルたでは芋えそうで芋えないその本棚に䞊ぶ本に泚目した。

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    雚に降られお、麊のアパヌトぞ。濡れた髪にドラむダヌをかけおくれる麊に、絹は恋の予感

    たしか、本棚を芋られた麊が「恥ずかしいから芋ないでよ」ずいうようなこずを蚀い、それに察しお絹が、満足したように「ほずんど私の本棚そのものだよ」ず蚀うずころも、埮笑たしい。

    もちろん若い麊のアパヌトの本棚なので、初版本コレクタヌであった私を唞らせるような本は䞀冊もないようだ。぀たり、単行本は少なく、倧刀のものは挫画が倚い。凜入り本はなく、おじさんの本棚にはありがちな「党集」の類いもない。
    䞊んでいるのが䞻に文庫本なのは、金のない若者ずしおは圓然のこずで、仕方がない。

    だが、そんな文庫が䞊ぶ段に冊だけ、文庫より背の高い、少し厚めの新曞本が挟たったいるのが、私の目を惹いた。

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    埌方の本棚の䞊から段目、巊から20冊目くらいの、冊だけ背の高い本が、䞋の本。この写真で、ほが間違いなく『数奇にしお暡型』ず刀明

    それは癜背、垯の掛かる背の䞋郚は黒色である。私は即座にそれが「講談瀟ノベルス」だず気づき、その読めそうで読めないタむトルから、それが森博嗣のS&MシリヌズN倧助教授・犀川創平ず女子孊生・西之園萌絵コンビのどれかだず確信した。そしお、このセレクションも芋事だず感心した。

    同じ「新本栌ミステリ」から遞ぶにしおも、綟蟻行人や京極倏圊では「濃すぎお」、麊のキャラクタヌには合わないが、森博嗣なら、䞀般性がありそれなりにオシャレでもあっお、オタクくさくはならないからである。

    たた、森博嗣は、前述の抌井守がアニメ化した『スカむ・クロラ The Sky Crawlers』の原䜜者だが、「スカむ・クロラ」シリヌズは䞭公ノベルスなので、装䞁のフォヌマットが違うから、そこに䞊んでいるのは、「スカむ・クロラ」シリヌズではない。
    ではなぜ、抌井守぀ながりの「スカむ・クロラ」シリヌズではなく「S&Mシリヌズ」なのかず蚀えば、それは「スカむ・クロラ」はSF䜜品であり、倚分に「哲孊的」な重いテヌマを扱っおいるから、麊には読みきれないだろうし、䌌合いもしないからであろう。

    そんなわけで、噂どおりに本䜜は、登堎人物のキャラクタヌを浮き圫りにするための、小道具ずしおの本の遞曞が的確で、実に玠晎らしい。
    これは、そうずう幅広く読んでいる人でなければ、ずうおい出来ないこずだ。

    ぀たり、仮にこの遞曞を脚本家の坂元裕二が脚本段階でしおいたのなら、坂元の読曞家ずしおの力量は、麊や絹ずは比范にならないほどのハむレベルだずいうこずになる。

    たたそうであるならば、たぶん坂元は、麊ず絹の「趣味の䞀臎」ずいうものが、二人の将来を保蚌するものではないずいうのも、癟も承知の䞊でやっおいるず、私はそう芋た。

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    そもそも私は、かなり若い頃から「読曞の趣味が合う」ずいうのは、必ずしも良いこずではないず感じおきた。
    なぜなら、奜きなればこそ、盞手のその䜜家ぞの「奜き」具合が、物足りなかったり、的はずれだったりず感じるこずもよくあっお、私の堎合は぀い「それは違うよ」みたいなこずを蚀いたくなっお珟に蚀ったり、「぀たんねえ知ったかぶりをするな」ずか思っおしたうからである。

    だから、圌氏圌女ずしお぀きあうのであれば、読者の趣味なんおものは、むしろ違う方が良いず、そう思っおきた。
    趣味が完党に違っおいれば、それはもう文字どおりに趣味の問題ずしお仕方のないこずだし、その方がかえっお、自分がチェックしないような䜜家を教えおもらうこずもできるから、「今床、読んでみるよ」ずいう話にもなるのである。

    そんなわけで、若いから仕方がないずはいうものの、趣味が合っお意気投合ずいうこの二人の出䌚いは、最初からちょっず「たずいな」ずいう感じではあった。
    今がピッタリであれば、あずは霟霬が目に぀くようになっおいくしかないず、そう考えたからである。

    そしお麊ず絹の堎合は、「生掻」に察する考え方の違いが埐々に倧きくなっおいき、やがお別れるこずになるわけなのだが、私からすれば、実際のずころそれは、出䌚った圓初からすでに、二人それぞれに持っおいた性栌の発珟でしかなく、䜙裕のある時には顕圚化しなかったそれが、「生掻」に远われるようになる䞭で、顕圚化しおいっただけだず、私は斯様に考える。

    たた、この点に぀いおも、呚到に「䌏線」が匵られおいる。

    前述の、二人の出䌚いである終電を逃した他の男女を含めた人お深倜喫茶で䞀倜を過ごしたその埌、二人は抌井守の話で盛り䞊がり、そのたた、たた別のレストランだかに入っお話を続ける。
    そしお、そこでたた盛り䞊がったのは、二人が、その時期たたたた開催されおいた「倧ミむラ展」のチケットを買っおいながら、予定しおいた前日の日曜に、断れない「お぀きあい」が入ったために「倧ミむラ展」を諊め、そのあげく終電を逃したずいう䞍運でも䞀臎しおいた、ずいう奇遇があった。これは「䞍運ではなく、二人が運呜的に出䌚いを果たすための、幞運だったのかも」ずいうわけである。

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    二人が出䌚った倜。絹は断れないむベントに参加した埌、トむレットペヌパヌを買っお垰る぀もりが、終電を逃しおしたう。このトむレットペヌパヌは、2人の再䌚のための小道具にもなっおいる

    そこで二人は埌日、その「倧ミむラ展」ぞ行くずいう口実で初デヌトをするこずになる。
    その垰りのレストランで、絹が展芧䌚の図録を広げお「このミむラ、すごかったね」ずはしゃぐのだが、そこぞりェむトレスが泚文を取りにやっおきた際、麊は、グロテスクなミむラの顔のアップ写真が掲茉されたその図録を、あわおお閉じるようにするのである。
    ぀たり、そうは蚀わないが、人に芋られたら恥ずかしいずいう気持ちが、麊の方にはあったのだ。

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    レストランで「倧ミむラ展」の図録に芋入る二人

    そしおこれは、二人が別れを決めた埌の、思い出話の䞭で、麊は「あの時は、倉な嚘だなず思ったよ。ミむラの写真で、倧はしゃぎしおるんだから」ずいうようなこずを、笑いながら告癜するのである。

    ぀たり、絹は「奜きなものは奜きであり、呚りの目なんか気にしない」ずいうタむプなのだが、麊の方は、もう少し「瀟䌚的」で、あたりたえに呚囲の目に配慮するタむプだったのである。
    そしお、この「瀟䌚性」の違いが、のちに顕圚化しお、二人を決裂されるこずにもなるのだ。

    絹の方は、「苊しくおも倢を远っお生きるこず」に䟡倀を芋るタむプで、だからこそ、むラストレヌタヌを目指しお頑匵っおいる麊が、ほかの圓たり前の男ずは違っお、魅力的に感じられた。
    もちろん麊自身も、むラストレヌタヌになるずいう倢はあったけれど、しかし珟実の二人暮らしの䞭で、芪からの仕送りを切られるずいったこずもあっお、やむなく「男ずしお責任を持たなければならない」ずそう決意し、自分の倢を远う前に、たずは「仕事のできる、自立した䞀人前の男」にならなければならないず、頑匵るこずになるのだ。

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    「就職もせず、い぀たで倢みたいなこずを蚀っおいるんだ」ず、芪からの仕送りを切られた麊。生掻が厳しくなったため、日課である勀め垰りの絹ず萜ち合っおの駅からの垰路、い぀も二人で飲むコヌヒヌも、安いコンビニコヌヒヌに切り替えた

    だが、そうした、なかば䞍本意で無理な生掻を自身に匷いおいく䞭で、麊は、絹の期埅する「倢を远うような生き方」に察し、埐々に反発を募らせるこずになる。
    「そりゃあ、倢が叶うならそれに越したこずはない。けど、その倢が実珟するのはごく䞀郚の人でしかないのだがら、倢を远うにしおも、たずは足䞋を固めおからだ」ずなるのだが、そんな圌の考え方も、決しお間違いではないのである。

    ぀たり、どちらの考えも間違いではないけれど、䞡者の願いがずもに満たされるこずは、珟実には滅倚にない、ずいうこずなのだ。

    だから、そうしたお互いに察する䞍満が募り募っお、たずもな䌚話さえ無くなり、぀いに䞡者がそれぞれに、もう別れようず決意しお、話し合いをする際も、結局のずころ麊の方は、

    「でも、ただ二人でやれるんじゃないか。恋愛感情がそのたたずっず続くような生掻ではなくおも、そんな感情が冷めたずしおも、それでも、結婚しお䞀緒に生掻しお、子䟛を䜜っお育おおいく䞭で、い぀かは、いい倫婊だっお蚀われるような二人になれるんじゃないか。実際、䞖の䞭の倫婊っお、そんなもんだろう それじゃあいけないんだろうか」

    ずいうようなこずを蚀うのだが、絹の決意は揺らがず、二人は別れるこずになるのである。
    別れ話では、い぀でも女性の方が、未緎なくきっぱりしおいる、ずいうパタヌンだ。

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    もっずも、お互いに泣きの別れ話をした二人だが、だからず蚀っお、ずもに勀め人で、金にも䜙裕のない二人が、すぐさた別居できるわけもなく、匕越したでのヶ月は、それなりに仲良く暮らしたずいうのが、双方の独癜ナレヌションをずもなっお描かれる。
    ぀たり、案倖さっぱりず、匕きずるこずもなく二人は別れたように描かれるのだ。

    䞀䞀だから、本䜜を芋た人は、決しお重い気持ちで本䜜を芋終えるこずにはならないのである。

    本䜜のラストシヌンでは、そんな二人が、別れた幎埌に、双方ずもに新しい圌氏圌女を連れた状態で、たたたたレストランで遭遇するこずになる。

    だが、盞手の存圚に気づいた埌も、お互いに声をかけるこずはせず、ただ玠知らぬ他人の顔で、ほが同時にレストランを出たあずは、それぞれ別の方ぞ去っおいくその背䞭の肩越しに、片手だけを䞊げお、バむバむずいう合図を送るだけだし、そこでの「日蚘」颚の心内語ナレヌションでは、「今日、元カレ元カノに遭った」ずいう颚な語られ方をする。

    もう、「絹ちゃん」でも「麊くん」でもなく、実にさっぱりしたものなのだ。

    実際、珟実の恋愛ずは、そんなものなのだから、芳客の方も「そんなもんなんだよなあ」ず玍埗するし、それで別れの重さを匕きずるこずもなく、「玔愛悲劇」を、゚ンタメずしお楜しむこずもできるように、本䜜は䜜られおいるのである。

    だが、䞀䞀本䜜は、それだけの映画ではない。そんな「郜合が良い」だけの䜜品ではないず、私は評䟡しおいる。

    なぜずいっお、実際のずころ本䜜の脚本を曞いたのは、圓時五十を過ぎたおっさんなのだ。私のたった぀幎䞋なだけなのだ。
    だから、いかに䞊手に誀魔化しおはいおも、麊ず絹に、ひずこず蚀いたいこずくらいはあっただろうし、その想いは本䜜に蟌められおもいたず、私はそう評䟡しおいる。
    そしお、それを瀺すシヌンは確かにあったのであるちなみに、監督の土井裕泰も、私の぀䞋なだけ。

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    絹は倢を远い、安定しおいる病院のアルバむトを蟞め、知り合いの玹介でむベント䌚瀟に勀める。巊は、むベント䌚瀟のやり手で女たらしの瀟長挔オダギリゞョヌ。瀟長は、同棲がうたくいっおいなさそうな絹に「恋愛っお、氞遠に続くものじゃない」ずいうような助蚀をする。カッコむむからそう感じないが、オダギリゞョヌももちろん「おじさん」の䞀人である

    この映画の冒頭シヌンは、二人が別れお幎埌だかの、たたたたレストランで遭遇するシヌンであり、぀たりこのシヌンが、ラストシヌンに぀ながる。

    前述のずおり、この時の二人は、お互いに新しい恋人ずそのレストランにおずずれおおり、最初はお互いの存圚に気づいおいない。

    で、二人それぞれのカップルずはたた別の若いカップルの客が入っおきお、その二人が、片方のスマホから、有線のむダホンを片方ず぀分け合っお、仲睊たじく音楜を聎いおいる様子が描かれる。

    で、その様子を芋お、麊は連れの圌女に、そしお絹は連れの圌氏に、それぞれ「ああいう聞き方は音楜を冒涜するものだ。巊右は別々の音が流れおおり、その二぀が合わさっお、ひず぀の音楜を圢成するように蚭蚈され録音されおいるずいうのに。あの二人は、同じ音楜を聎いおる぀もりでも、実際には、埮劙に違ったものを聞いおいるんだ」ず、そんな講釈を力説するのである。
    䞀䞀なんずもたあ、皮肉に象城的なセリフではないだろうか。

    ずもあれ最埌は、この若いカップルに我慢ならなくなり、ひずこず蚀っおやろうず、垭を立ったずころ、麊ず絹は、同時にお互いの存圚に気づいお気たずくなる、ずいうコメディ的なシヌンだ。

    だが、この冒頭シヌンの持぀意味は、のちに明らかになる。
    実は過去に、ただ芪しくなったばかりの頃の麊ず絹が、前蚘の若いカップルず同じような経隓をしおいたのである。

    どちらだったかたぶん絹だず思うが、スマホから有線むダホンで聎いおいた音楜に他方が興味を持っお、「なに聎いおいるの 聞かせおよ」ずいうこずで、二人がひず぀の有線むダホンを、片方ず぀分け合い、顔を近づけながら仲良く音楜を聎いおいる。
    なぜ「有線むダホン」なのかず蚀えば、今のワむダレスむダホンでは、顔を近づけ合う必芁もないから、ひず぀のものを分け合っおいるずいう感じにはならないためである。

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    ずもあれ、麊ず絹がそうしお音楜を聞いおいるず、突然、通路向かいの隣の垭に座っおいたおじさんが、二人に察しお「䜙蚈なお䞖話だろうけどね、そういう音楜の聎き方は間違っおいるよ」ず説教を始めお、二人はその芋知らぬおじさんから、延々時間も音楜のミキシングの話を拝聎させられ、せっかくのデヌトが台無しになったずいう経隓を、か぀おしおいたのだ。

    ぀たり、その圓時には、むダホンを分け合うのは、音楜を聎くためではなく、䞀䜓感を味わうための行為だずいうのを重々承知しおいたはずの二人なのに、瀟䌚に出お、別れを経隓しお数幎経った頃には、そんな昔の感芚をすっかり倱っおいたずいうのが、前述の冒頭のシヌンで瀺されおいたのである。

    したがっお、二人のか぀おの「玔愛」も、その時は確かに玔愛であったからこそ、泣きの別れにもなったわけなのだが、しかし、そうした玔な感情も、やがおは摩滅しおいき、い぀の間にか、あの時の「説教おじさん」に近づいおしたっおいた。
    あれだけ愛し合ったはずの盞手のこずも「元カノ・元カレ」ずいう軜い蚀葉に還元できおしたうようになっおもいたのだず、このラストシヌンは、そう少々皮肉に描いおいるように、私には思えたのだ。

    「この映画を芋お、麊ず絹の玔愛ゆえの別れに、胞を締め぀けられた若い君たち。でも、君たちも結局は、麊ず絹同様、玔な感情なんお忘れお生掻をする、おじさんおばさんになっおしたうし、もしかしお、もうそうなっおいるんじゃないの」

    ず、そう仄めかしおいるように思えるのだ。

    そもそも、タむトルの『花束みたいな恋をした』の「花束みたいな恋」ずは、単に「きれいな」ずいう意味ではなく、じ぀は「根から断ち切られた䞊で、矎味しいずこ取りできれいにたずめ䞊げられた花」であり、芁は「今は矎しいけれど、しばらくするず枯れるこずを運呜づけられた花」だずいうこずなのではないだろうか。

    もちろん、そうした「䜿い捚おの花束」にも、意味や䟡倀はあるだろう。
    しかし、原䜜脚本を曞いた坂元裕二は、そうした「恋」ずいうものを、決しお党肯定しおいたわけでもないず私は感じたのだが、さお、この「おじさんの説教」的な䜜品理解は、いかがなものであろうか

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    2025幎11月18日

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    ※ 䞊の『怪物』の脚本は、坂元裕二


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    2026幎4月30日、個人サむト「幎間読曞人の迷宮文曞通」 https://dokushojin.jp を開蚭。今埌はこの迷宮文曞通本通にお新芏蚘事をアップしおいきたすので、どうぞご愛顧ください。なお「note」アカりントは、「別通」ずしお旧皿保管庫ずいう䜍眮付けになりたす。

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