
第1話。「ねこタク、出発!」
朝もやの残る、ちくわ山のふもとから
そう遠くないところにねこねこタクシーはあります。
待機場には、色とりどりの車が並んでいました。
すずさんのタクシーは、きいろのボディ。
ネコ耳と、しっぽと、かわいいお口の車です。
今日もキレイにお手入れされています。
すずさんは運転席で、あくびをひとつ。
後ろがわの窓を開けて、外の空気をすいこみました。
「うぅん!秋の風。
少し冷たくて、おいしいにゃあ。」
そのとき、ひらひらと羽音をたてて
つばめさんが飛んできました。
ねこタク専属のことづて駅長、
ツバクローさんです。
「おはようございます、すずさん!
今日も予約が入ってますよ〜!」
「おはよう、ツバクローさん。どちらのお客さまにゃ?」
「大きな田んぼのふるさとに住む、
木影団地のまっしーおじにゃん!
プチプチ森の湖までお送りお願いします!」
「了解にゃ!」
ねこタクは、にゃおん、と、
ひと鳴きして発進です。
町の中を抜けていくと、金色の稲穂が風にゆれて、
ねこ電の踏切を越えたその向こうに、
猫たちの暮らすおうちが見えてきました。
すずさんは思いました。
「いつもの道だけど、今日は特別、草たちが光ってるにゃ!」
にこっと嬉しそうに微笑んだすずさん。
秋の空気が、車の中をやさしく満たしていきました。
にゃおん、と、ねこタクももうひと鳴き。
まっしーおじにゃんのおうちまで、あと少し。
つづく
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