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グレゴリー・ケズナジャット著の「単語帳」で1時間から永遠の旅をしよう【オーディブル・レビュー】

    今日紹介の本はタイパがすごい。何とたった1時間。ちょっと長めのYouTube動画1本分である。それなのに空間的な旅気分も、心の旅気分も味わえてしまう。

    この本はもともとnote仲間のMiさんのコチラの記事で知った。

    ただこの記事でMiさんが挙げられている他の本やコンテンツの方にこの時はすっかり気持ちを奪われ、正直本書についてはその時それほど心は動かされなかった(Miさん、グレゴリーさん、ごめんなさい)。

    ちょっとバタバタしてゆっくり本が読めなかった7月。それでもインプット欲求が抑えられず、何かサクッと摂取できるもの……そうして閃いた。
    「そうだ、『単語帳』があるじゃないか!」

    グレゴリー・ケズナジャット氏は、「トラジェクトリー」で第173回芥川龍之介賞(2025年上半期)にノミネートされた旬の作家である(この回は27年ぶりに直木賞と共に該当作がなかったことで逆に注目を浴びたばかりだ)。

    その作家の紙では出版されていない短編。
    さっそくVamos!(2900字)

    グレゴリー・ケズナジャット著『単語帳』

    東京・神楽坂の居酒屋で僕が出会ったのは、同じ母語で、さらに同じ方言を話すマルコムだった。大学教員の僕と傷心旅行中だという翻訳者のマルコムはしかし、彼の要望から日本語で会話する。現在は仕事もプライベートもほとんど英語の僕と、モフモフの翻訳につまずいたことをきっかけに言語と自分の関係に違和を覚えるようになったマルコム。分厚い単語帳を持ち歩き、旅行する目的とは? 第二言語の習得と個をめぐる短編小説。

    Amazon 本書の紹介文より

    オーディブル レビュー

    自分の思考がスマホから立ち上がる感覚

    母語と第二言語を話しているときのキャラクターの微妙な変化、新しい言葉を獲得したときの情景やシチュエーションの記憶……。いろいろなことがまさにその通り!と膝を打つもので、それがエッセイや評論ではなく小説の形で示されるのが新鮮だった。

    ナレーションも聴きやすく別に違和感はありませんが、一つだけ。視点の切り替えが多分文字なら1行あけなどでわかるのでしょうが、音声だとわかりづらい。この1行あけに相当する電子音?など何かオーディオブック共通で統一した約束事を作っていただけたらな、と思います。(2025/8/5読了)

    note追記

    レビューでも書いた通り、海外在住者(または経験者)の方なら誰もが、この2人の登場人物が味わう体験と思考を一度は経験したことがあるはずだ。
    ネタバレは避けたいので一つだけ上記でも触れた「母語と第二言語を話しているときのキャラクターの微妙な変化」を例に私の場合を語ってみよう。

    • 日本語で話す自分:人の話を聞いている時に「共感」できるところに注目して聞いている→反応「なるほど」「それな!」

    • スペイン語で話す自分:人の話を聞いている時に「ツッコミ」や「ボケ」のできるところを無意識に探して聞いている→そして実践

    言い換えるなら日本語の時は普段の「関東人」モードだが、スペイン語の時は「関西人」モードに入るような感覚だろうか。でも間違いなくどちらも「自分」である。無理に演じているわけでもない。その言語で語られる環境が否応にも自分の会話、ひいては思考パターンまで切り替えてしまうのだ(最近日本語の時でも「関西人」モードが起動中なことが多いのも事実)。

    海外旅行はもちろん行くだけでもたくさんの学びがある。しかし言語ができるとさらにその深度が増す。旅行が滞在となり生活になるとまた深まる。そうして体験と言語が深まるとともに「自分」も広がり、かつ揺らぐ感覚。これを多くの人、更にぜひ若いうちに体験してほしい、と老婆心ながら強く思う。

    翻訳アプリは確かに便利だ。しかしそれでは自分は1ミリも広がらない。それはLUUPで便利に街中を動けても自分の筋力は増えないのと一緒だ。それどころか便利さと引き換えに退化する危険性を忘れたくない。

    円安がさらにブレーキとなって海外旅行や留学をする日本人が減っている。メキシコで会う東アジア人も中国人や韓国人ばかりだ。
    とはいえnoteを始めて、世界のあちこちに旅行、留学、駐在、就職、国際結婚、ノマドetc.で世界を闊歩している「仲間」がたくさんいることを知れた。純粋に嬉しい。でも。

    まだ足りない。もっともっと!
    日本の、特に若いみなさん。
    日本語じゃない語学を一つ、身につけよう。
    そしてどんどん海外へと出かけてみよう。
    自分の世界を
    そして自分自身を
    広げるために。

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    関連コンテンツ紹介

    普段はここで関連する昭和作品の紹介!となるのだが、今日は本ではなくコチラ2件の私の推しYoutubeチャンネルを紹介したい。

    まず一件目。

    有隣堂しか知らない世界

    この番組のプロデューサー・ハヤシユタカ氏の知人が中の人を務めるブッコローの毒舌が病みつきになること必至!登録者数40.2万人(2025.8現在)の横浜本店の老舗書店が手掛けるYoutube番組

    この番組に出てくる書店員さんや出版社の人たちがともかく皆個性的でアツい。日本人サラリーマンもカッコいいやん、と素直に思える。まだ未視聴の方はぜひチェックしていただきたい。
    またこの番組でたびたび紹介される最新文具はさすが日本人目線!の面白いものが多いので、私のように海外で日本語を教えてる人にもオススメだ。

    とはいえ本日のオススメは「単語」に関するコチラ。

    絵ヅラがエラく硬いが、たった8分で辞書と言葉の深淵を覗け、ついでにクスリと笑え、ストンと納得。その感覚をぜひ!


    二件目がコチラ。

    ゆる言語学ラジオ

    第3回 JAPAN PODCAST AWARDS(2021年)の「ベストナレッジ賞」と「リスナーズ・チョイス」を受賞している、その名の通りゆるく言語学のあれこれを笑いながら学べる番組(ときどきガチ)。YouTube登録者数37.5万人(2025年8月現在)。ポッドキャストとYouTubeの2局展開で配信中。

    いろいろオススメしたいが『単語帳』に関連した回を2つだけ今回は紹介しよう。
    もしこの番組を視聴したことがなかったら、ぜひどちらか一つをまず視聴してみてほしい(2本見てもちょうど「単語帳」と同じ1時間ちょっとである。どうせなら両方いっちゃって!)。

    ⚫️マジメさんバージョン⚫️
    母語の獲得のプロセスに興味があるあなたにはコチラ(約30分)


    ⚫️お笑い好きさんバージョン⚫️
    おもしろ単語を増やしたいあなたにはコチラ(約33分)


    知的好奇心。探究心。そして遊びゴコロ。
    これがある限りニンゲンはまだまだ大丈夫。

    本タイトル:単語帳
    グレゴリー・ケズナジャット (著)
    Kindle版 出版社 U-NEXT– 2023/3/10
    Audible版 – 完全版– 2023/7/14
    オーディオブック(1時間08分)
    藤井啓介 (ナレーション)

    作品情報

    お読みくださりありがとうございました。
    Hasta pronto! またお会いできますように

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    ©️2025 naveotoevan 0038 グレゴリー・ケズナジャット著の単語帳で1時間から永遠の旅をしよう【オーディブル・レビュー】


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