
【オリジナル小説】感想屋さんはじめました。 ⑧ あかちゃん毛布さん、初めての同人誌編 その3
『あかちゃん毛布』というPNで二次創作活動をしているOLが主人公です。
最初は『あなたの作品、褒めてあげます』というタイトルで連載していたのですが、主人公の性格に合わないと感じ、タイトルを変更しました。
内容は変わりませんので、よろしければ引き続き読んでいただけたら嬉しいです!
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(どうしよう、書けない……)
私はキーボードに手を置いたまま、呆然としていた。
今回本にすることを勧められた、いなうら小説『宝石になりたかった』は一万字ちょい。(同人誌って大体三万字くらいよね!)と思って続きを書き始めたのだが、行き詰まってしまったのだ。
本にするに当たって、私が気にしていたのは印刷屋さんや装丁のことだったが、その前に本文が書けなくてはどうしようもない。
情けないが、一人で悩んでいても解決できそうにない。私はいぶりがっ子さんと犬山さんに相談することにした。
『そのまま本にしてはいかんの? 続編とかなくても、あれだけで充分完成度は高いと思うけどねぇ』
いぶりがっ子さんに褒めて貰えたのはとても嬉しかったが、それでも諦めきれなかった。
『せっかく文庫本にするなら、もうちょっと厚みが欲しい、っていうのは本末転倒なんでしょうか……』
『いやいやそんなことはない! 確かに部厚い本は出したいわな!』
いぶりがっ子さんの言葉に、勇気が湧く。
『お勧めした、きりん出版さんの文庫テンプレートには流してみましたか?』
犬山さんの問いに、私は答えた。
『はい、一万字程度で四十ページくらい。コールさんのサイトで調べたら、背幅にして二、三ミリです。文庫でこの厚さはちょっと頼りないです……』
『そうだねぇ』
『私に三万字とか、やっぱり背伸びしすぎなんでしょうか。一万字も、実は結構頑張っているんです……』
『一万字書けりゃ上等よ!』
いぶりがっ子さんのその言葉は意外だった。
『でも、いぶりがっ子さんはいつも厚い本を出されていますよね?』
『あれは短い話を集めているのよ。私の手癖は八千字だからね~』
『そうなんですか!?』
言われてみれば、いぶりがっ子さんの本は章立てになっていて、それぞれの間にフリートークなどが挟まれていることが多い。犬山さんが言った。
『ネタがないなら、このお話の『稲くんサイド』を書いてみたらどうですか?』
『稲くんサイドですか!』
私は目を丸くした。視点を変えることは考えていなかった。だが、このお話を浦くん視点でずっと書いてきて、稲くん側の心の動きを、書けなかった部分は確かにあるのだ。そこで私は思い当たった。
『稲くん視点で続きを書いたら楽しそうな気がします……!』
同じお話を視点を変えて繰り返すのは飽きてしまいそうだが、続編を書くならば、回想などで稲くん側の気持ちも開示することができる。
『いいね! 楽しみにしてるからね~!』
『またなにかあればご連絡ください!』
チャットが閉じてから、私はワクワクしながら原稿データを開いた。
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