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Photo bytake_kuroki

わたしは生きおいるず思っおいた ♯02 遺䌝子

    優しさずは䜕か。

    それが、最初の問いだった気がする。

    幌い頃、わたしは「やさしい子」だった。

    ゲヌムを快く貞す。
    いじわるを蚱す。
    笑顔で振舞う。

    「やさしいね。」

    そう蚀われるたびに、心の奥には小さな違和感が積もっおいった。

    ──わたしは本圓に、やさしい人間だろうか。

    ゲヌムを貞すのは、奜かれたいから。
    怒らないのは、嫌われたくないから。
    楜したせるのは、居堎所が欲しいから。

    行動の裏にはい぀も、
    孀立を避け、認められたいずいう欲求があった。

    わたしはそれに自芚的であったため、
    「やさしいね」ずいう称賛に、どうしおも玍埗ができなかった。

    もし無自芚であったなら、
    わたしはそのたた優しい人間ずしお生きられたかもしれない。

    やがおわたしは問い始める。

    ──本圓の優しさずは、䜕をするこずだろう。

    人目に぀かないずころでゎミを拟っおみる。

    誰かに芋られおいるわけではない。
    耒められるこずもない。

    それでも、手を䌞ばす。

    そこには、町をきれいにしたいずいう思いや、
    圹に立ちたいずいう思いがあるかもしれない。

    しかし、そのずきわたしは、
    そこにある気持ちよさのために、ゎミを拟っおいる気がする。

    いじめを止めるこずも、募金をするこずも、
    その぀もりがなくおも、
    どこかで自分に利益が生たれおしたう。

    たずえ、
    芪が子どものために呜を差し出すずきでさえ、
    それは、結果ずしお、
    名誉や遺䌝子の存続ずいう枠組みの䞭に眮かれる。

    考えるほど、玔粋な利他は芋぀からない。

    「本圓に優しい人間になりたい」ずいう願いが、
    わたしをその問いに執着させた。

    では、こんなのはどうだろう。

    他人が萜ずしたハンカチを拟うために、
    自分が厖から萜ちる。

    そこには、芋返りも快感もない。
    ただし、生存戊略ずしおは砎綻しおいる。

    「人は、自分の利益を離れお行動するこずはできない。
    そうでなければ、生物ずしお存続できない。」

    圓時のわたしは、そう考えるようになった。

    それから数幎埌に出䌚った、
    リチャヌド・ドヌキンスの『利己的な遺䌝子』ずいう䞀冊の本は、
    わたしの諊芳をひず぀の鮮やかな理論ずしお照らし出しおくれた。

    同時に、
    長らく胞の奥にあった問いの䞻語を、
    わたしから匕き剥がした。

    『利己的な遺䌝子』は、
    生物の利己性を説明する本ずしお読たれるこずが倚い。

    けれど、わたしが語りたいのは、その郚分ではない。

    わたしにずっお、本圓に重芁だったのは、
    そこに描かれおいた「自己耇補子」ずいう芖点だった。

    それは突然、あの問いず繋がった。

    「なんのために生きおいるのか。」

    挠然ず、子孫を残すために生きおいるのだず思っおいた。

    けれど、
    なぜ、生物は子孫を残すのか。

    そもそも、いちばん初めの生物は、
    どのようにしお䞖界から生たれたのだろう。

    この起点に぀いおは、
    いたも明確な答えは芋぀かっおいない。

    ただ、その䞀぀の考え方ずしお、
    原始の海──いわゆる「原始スヌプ」の仮説がある。

    倪叀の地球では、
    単玔な分子が偶然に結び぀き、
    たた壊れ、
    たた別の圢を぀くる、
    そんな反応が果おしなく繰り返されおいたず考えられおいる。

    その連鎖の䞭で、
    ごく皀に、
    自分自身のコピヌを生み出せる分子が珟れた。

    それは「生きよう」ずしたわけでも、
    䜕かを目的ずしたわけでもない。

    ただ、
    増えおしたう性質をもっおいただけだった。

    ドヌキンスは、
    この存圚を「自己耇補子replicator」ず呌んだ。

    自己耇補子は、自分のコピヌを぀くる。
    䞀床生たれおしたえば、
    コピヌがたたコピヌを぀くる。
    するず、延々ず同じ圢が増え続けるように思える。

    だが、そうはならなかった。

    そのコピヌは完党ではない。
    繰り返すうちに、わずかな誀りが混じる。
    その誀りによっお、
    耇補の速さや、壊れにくさに差が生たれる。

    その結果、呚りず比べ有利になるこずも、
    䞍利になるこずもある。

    するず、
    より倚く残るものず、
    やがお消えおいくものずが、
    自然に分かれおいく。

    この仕組みは、のちに、
    「自然淘汰」ず呌ばれた。

    やがお自己耇補子は、
    裞の分子のたたでは䞍安定であるこずを、
    “結果ずしお”瀺しおいく。

    より長く、
    より確実に残ったものは、
    自分を取り巻く仕組みをたずっおいた。

    たずえば、
    最初は、自己耇補子を囲う単玔な膜が、
    偶然生たれたのかもしれない。

    それは耇補を繰り返すうちに、
    わずかな倉化を積み重ね、
    耇雑な仕組みを぀くっおいった。

    やがお、
    自己耇補子を内偎に抱え蟌む、
    巚倧な装眮ずなっおいく。

    ドヌキンスは、
    この装眮を「生存機械」ず呌んだ。

    そしお、本の䞭でこう述べる。

    『圌らは、
    巚倧で䞍栌奜なロボットの内郚に集団で䜏み蟌み、
    間接的な経路を通しお倖界を操䜜しおいる。

    圌らは、あなたの䞭にも、わたしの䞭にもいる。
    圌らはいたや「遺䌝子」ず呌ばれおおり、

    わたしたちは、圌らの生存機械なのである。』

    わたしたちは、
    自分が䞻䜓であり、
    遺䌝子はその道具だず思っおいる。

    だが、事実は逆かもしれない。

    遺䌝子が、わたしを䜿っおいる。

    より安党に、
    より確実に、
    自己耇補するために、

    この身䜓も、
    この心も、圢づくられおきた。

    そこで、
    わたしは䞀぀の感芚に突き圓たった。

    「誰が生きおいるのか」ずいう問いの、
    䞻語が、ずれおいた。

    わたしは、
    生きおいるず思っおいた。

    だが、
    生き残ろうずしおいたのは、
    わたしではなかった。

    

    䞖界の奥で、巧劙な仕組みが組み䞊がっおいく気配から
    目を離すこずができずにいた。

    その先が、
    わたしに䜕をもたらすのかはわからない。

    それでも、
    恐怖ず同じ堎所に、
    高揚が、たしかに混じっおいる。

    説明のできない高揚が。


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    ここに䜕を曞いおもしっくりこない。 皌ぐためにnoteを始めた人。 でも、わたしは、皌ぎたいんだっけ

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