
幸福の裏には、不幸がある。けれど、なにかを見落としているような気がする。|#18 コインの上
けれど、わたしは幸福を感じているばかりではない。
頭では理解していても、
間違える。
恥ずかしくなり、
悲しくなり、
苦しくなり、
憂鬱になり、
最後にすこし力が湧いてくる。
ほとんどの時間は、そこにある。
生きるとは、
過程そのもの、
そこにある
喜び、熱中、矛盾、葛藤、やり切れなさ、
そのものなのかもしれない。
コインをひっくり返す。
幸福の裏には、不幸がある。
けれど、
なにかを見落としているような気がする。
『人は、いつかはかならず死ぬということを思い知らなければ、
生きているということを実感することもできない、とソフィーは考えた。
──まるで一枚のコインの裏と表だ。』
『ソフィーの世界』より
大きなコインはひっくり返る。
喜びも、悲しみも。
怒りも、苦しみも。
すべては、生の上にしかない。
幸福も、不幸も。
死の裏側では、同じように並ぶ。
それは、
裏側に立つ瞬間に、
ようやく分かるのかもしれない。
わたしは、ほんとうに死ぬのだろうか。
本当に?
その事実は、ぼんやりとしている。
次
目次はこちら