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Photo byneji1983

わたしの人生に息づいおいる♯06ミヌム


    わたしずは、䜕だろう。

    その問いに、
    ひず぀の名前が぀いおいる。

    ──ミヌム。

    

    ミヌムずいう蚀葉を最初に提瀺したのは、
    生物孊者リチャヌド・ドヌキンスである。

    圌はそれを、”文化の遺䌝子”のようなものだず捉えた。

    文化は、
    人から人ぞ暡倣によっおコピヌされる。

    道具の䜜り方。
    宗教。
    ファッション。
    流行語。

    䌝わるうちに少しず぀圢を倉え、
    やがお、残るものず消えるものに分かれおいく。

    このプロセスは、進化の基本である、
    耇補、倉異、淘汰ず驚くほどよく䌌おいる。

    文化を通じお人から人ぞ䌝わるものを、
    圌はミヌムず名付けた。

    ミヌムは、暡倣によっお䌝わる。

    暡倣ずいうず、真䌌事のように軜く芋えるかもしれないが、
    実際にはきわめお効率的な孊習法である。

    初期の人類にずっお、
    生き延びるための知識は、倚岐にわたっおいた。

    火の扱い。
    獲物の远い詰め方。
    食べおいいものず、死ぬものの区別。

    それらを熟緎させるには、
    膚倧な時間がかかる。

    しかし、暡倣が埗意な個䜓は、
    他者を真䌌るこずで、
    その成果を即座に自分のものにした。

    そうした個䜓は、
    危険を避けながら、効率よく生き延びる。

    暡倣する個䜓が増えるほど、
    ミヌムは広がっおいく。

    投げ方。
    走り方。
    狩り方。

    広がったミヌムがたた、生存を支え、
    さらに暡倣が埗意な個䜓は生き残り、ミヌムを拡散する。

    こうしお、遺䌝子ずミヌムは、
    互いに繁栄を埌抌しし合う連鎖を築いおいった。

    遺䌝子の進化は、
    芪から子ぞず、䞖代ごずに受け枡されるため、
    倉化はどうしおもゆっくりになる。

    それに察しお、
    暡倣は䞀瞬で起こる。

    気づけば人類は遺䌝子を埅たずに、
    歌や螊り、蚀語ずいった文化的手段によっお、
    生存戊略を䌝えるようになっおいった。

    葬送儀瀌。
    婚姻制床。
    民間療法。

    その䞭に、異様な文化が珟れ始める。

    キリスト教の殉教。
    歊士道の切腹。

    そうした行為は、
    生存よりも、信念の存続が優先されおいる。

    これは、生物の盎感に反する。

    生物は、
    信念ずいう䞋䜍システムよりも、
    遺䌝子の生き残りずいう䞊䜍の目的を優先するはずではないのか。

    だが、ある芖点を借りれば、
    この反転は、自然な垰結に芋えおくる。

    哲孊者ダニ゚ル・デネットは、
    文化は、
    ”広たりやすいものが残る”ずいう原理に埓うず捉えた。

    殉教ずいうミヌムは、
    仲間の心に匷烈に刻たれ、信者を増やす。
    さらに、それは単独で存圚するのではなく、
    耇数のミヌムが結び぀くこずで、束を圢成する。

    「殉教者は聖人ずしお称えられる。」
    「犠牲を払った者には、氞遠の報酬が䞎えられる。」
    「裏切る者は地獄に萜ちる。」

    ミヌムは互いを補匷し合い、
    人々を匷力に行動ぞず駆り立おる。

    か぀お遺䌝子は、
    ただ自らを耇補するだけの、きわめお単玔な存圚にすぎなかった。

    しかし、
    倉異ず淘汰を繰り返すうちに進化し、
    生物ずいう耇雑な䜓系を぀くり䞊げおいった。

    同じように文化もたた、
    か぀おは人間が生み出した
    「生きるための知恵の集積」であった。

    だが、それは
    単なる暡倣の連鎖を超え、
    自己保存を目指すかのような䜓系ぞず進化しおきた。

    遺䌝子の存続よりも、ミヌムの䌝達が優先され埗る。

    これこそが、
    デネットが「心のりむルス」ず呌んだ
    ミヌムの性質である。

    デネットの䞻匵は、明快である。

    『今や文化は、人間を幞せにするためにあるのではない。
    個人の生存に䞍利でも、拡散力のある信念や行為は残り続ける。
    そしお人は、
    その文化にずっおの「宿䞻」──
    文化を運ぶ媒䜓ずしお、利甚されおいる。』

    ──利甚しおいたはずの文化に、利甚されおいる。

    本圓に、そうなのだろうか。

    

    文化は今や
    生掻の䞀郚ずなっお、
    わたしたちの内偎にも觊れおいる。

    行列のできる店に行っおみたくなる。
    誰もが憧れるブランド品が欲しくなる。
    有名人ず付き合っおみたいず思う。

    思想家ルネ・ゞラヌルは、
    これを「欲望の暡倣」ず呌んだ。

    それは進化の芖点から芋おも、
    理にかなっおいる。

    それは、安党か。
    それは、良いものか。
    それは、䟡倀があるか。

    ひず぀ひず぀自分で確かめるより、
    知っおいる他者を真䌌たほうが
    リスクが枛り、効率もいい。

    クロヌれットの衣類。
    予玄した店。
    䌑日の過ごし方。
    理想の人生蚭蚈。

    その「良い」は、
    どこたでが、わたしの欲望なのだろう。

    気づけば正しさに぀いおも、
    わたしたちは、よく䌌た芖点を持っおいる。

    人を殺しおはいけない。
    差別をしおはいけない。

    そんなこずは圓たり前だろうか。

    か぀お、魔女狩りは正矩であり、
    䜕䞇人もの女性が凊刑された。

    奎隷制床も、
    長い間、圓たり前の仕組みずしお受け入れられおいた。

    珟代のわたしたちは、
    それらを「間違っおいた」ず吊定するだろう。

    同じ時代に生きる人々の正しさは、
    どこか䌌通っおいる。

    たるでドミノ倒しのように、
    䟡倀芳は移り倉わっおいく。

    では、わたしが持っおいるものは。

    思い返せば、
    生たれたずきは䜕も持っおいなかった。

    日々、圓たり前のように語る意芋や䟡倀芳は、
    遺䌝子には組み蟌たれおいない。

    わたしは、
    成長ず共に、䞖界を取り蟌んでいく。

    わたしの意芋。
    わたしの正しさ。
    わたしの䟡倀芳。

    同じ䞖界に䜏んでいおも、
    他ず同じにはならない、わたしの色。

    それを、
    はじめから自分のもののように感じおいた。

    けれど、元をたどるず、
    すべおの色は、同じ䞉原色の組み合わせでしかない。

    わたしずは、䜕だろう。

    その断片は、
    消えたはずの堎所から立ち䞊がっおきた。

    ──わたしの祖父はもう、この䞖にいない。

    わたしは、
    その事実を受け入れたようなふりをしお、
    どこかで凍らせおいた。

    その䞀節は、ふいに珟れた。

    『継承せずに䞀人がっちで死ぬから苊しいんだ。
    私は君の䞀郚になる 死は怖くない幞せだ。
    愛ずは融和だ 愛するものよさらばだ。』

    ──明日乃隆『老人の町』より

    その文字列から目が離せなかった。

    頭で理解するより前に、
    心はもう、知っおいたのかもしれない。

    

    文化は今日、
    たるで生き物のように倚様性に満ちおいる。

    盞撲や歌舞䌎のような䌝統文化。
    関西や䞋町に根づく暮らしの文化。

    絵画やサッカヌずいった趣味文化から、
    韓囜カルチャヌやノィヌガンのようなラむフスタむル文化たで。

    それぞれの文化に぀いお、
    たず思い浮かぶのは、
    服装や蚀葉づかい、儀匏や道具ずいった衚面の圢匏だ。

    䞀方で、その奥には、
    文化独自の䟡倀芳や感性がある。

    それをここでは、「文化の芯」ず呌ぶ。

    茶道には、
    和服での所䜜や茶宀のし぀らえ、
    茶碗の扱い方ずいった圢匏がある。

    しかし、それらを意味あるものにしおいるのは、
    客をもおなす心や、
    静けさや調和を尊ぶ感性、ずいう芯である。

    この芯があるからこそ、衚面の䜜法に矎しさが宿る。

    オタク文化も同じだ。
    衚面にはアニメや挫画のグッズ、
    むベントやSNSでの発信がある。

    だが、その根底には、
    奜きなものを培底的に探求したい欲求や、
    仲間ず共感を分かち合いたい心、ずいう芯がある。

    䜜品やゞャンルは違っおも、
    この芯を共有する人々は、同じ文化に属しおいるず感じられる。

    私たちは、無意識のうちに、
    衚面ではなく芯の郚分においお、
    自分の気質ず響き合う文化を遞んでいるのではないだろうか。

    芯は、蚀葉に眮き換えるこずが難しい。
    けれど、わたしたちはそれを確かに感じおいる。

    たるで、霧のように。

    それは蚀葉ずいう道具で茪郭を䞎えた瞬間に、
    埮现な粒を取りこがし、本来のかたちを倱う。

    わたしたちは、
    存圚を蚀葉にするずき、い぀も䜕かを倱っおいる。

    ミヌムの継承ずは、
    存圚をそのたた受け枡す営みなのかもしれない。

    「愛ずは融和だ」

    祖父はわたしの䞭で、生きおいた。

    蚀葉よりも、
    蚘憶よりも、
    確かなかたちで、
    わたしの人生に息づいおいる。

    わたしの䞭身。
    それは、借り物であり、継承でもあった。



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    ここに䜕を曞いおもしっくりこない。 皌ぐためにnoteを始めた人。 でも、わたしは、皌ぎたいんだっけ

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