
【実験的】第一話『ひきこもりからの脱出』 #A:いつもの午後 〔noteで遊ぶゲームブック〕
[全体のあらすじ]
一晩で起こる出来事をきっかけにひきこもりから精神的に脱出すべく、分岐する物語の選択肢を選んで進んでいくnoteで行う新タイプのゲームブック。
部屋の片付け、初恋の相手の事故、コンビニの手伝い、元ヤンとの対決など選択肢によって起こる出来事にどう対処するかで、ベスト・エンディングからバッド・エンディングまで結末が異なっていく。
【はじめに】
これは選択肢によって物語が変わるゲームブックです。
選択肢を辿っていくと異なるエンディングにたどり着きます。
グッドかバッド、ベストかいくつかのエンディングが待っています。
君はひきこもりから脱出できるか。
ある日の午後
僕の家にはファミレスで料理を運んでくれる「ハハニャン」が住んでいる。
ハハニャンは僕が起きる時間を把握し、その30分後に僕の部屋の入り口に食事を置いてくれる。
「今日はエビピラフだから」
「また冷凍かよ」
「じゃあ自分で作りなさいよ」
「これ、作ったとは言えないだろ。チンするだけだし」
文句を言いながらも食べる。
今日は一体どんな一日が待っているのだろう……って、ひきこもりに日常の変化はない。
いつも通り食後にスマホを取り出した。
そこにひきこもりの記事があった。

仕事もせずに実家で暮らしている「ひきこもり」の平均年齢は、36.9歳らしい。
今年32歳の僕は平均年齢以下だ。
まだひきこもり界では、ひよっこだ。ふふん。
しかしハハニャンがまだ58歳で、年金がまだもらえないのが残念である。

ハハニャンは、僕が三十を過ぎても「仕事しろ」とは言わない。
それはきっと父のあの一件があったからだろう。
ハハニャンは父から暴力を受けていた。
浮気の疑いのある父にどこに行っていたのか聞いただけで殴られていた。
その頃僕は2回目の退職をして仕事も探さず、家にいることが多かった。
当直と言って朝帰りの多い医者の父は、香水の匂いを付けてきたり、髪型が朝と少し変わっていたり、明らかに疑わしかった。
ハハニャンがそれを聞いただけで殴られ、そんな父に僕も嫌気がさしていた。
ある日、父と母の揉め事を止めようとした時、「無職のばか息子は黙っていろ!」と言われ、酔った父から何発も殴られた。
そこから覚えていない。
冷静になった時に父は白目で倒れていた。

一度だけ中学時代にも生徒を殴り、僕自身が意識を失うという暴力を振るったことがあった。
彼女と僕がいるところを絡んできたヤンキーにキレたのだ。
その時は病気と判断されず、みんなから怖がられた。
父も中学時代もパンチではなく「裏拳」で数発殴ったらしい。
父は頬にヒビが入った。 後日、父は警察に行き裁判を起こしたが、先に暴力を振るったのは父ということで僕に罪はなかった。しかも親だ。
子を訴える父親はおかしいと、父とハハニャンは離婚することになった。
探偵を付けて調べるとやはり父には浮気相手がいて相当の慰謝料を払った。
あれ以来、キレさえしなければ自分には裏拳があると、意識を失う恐怖もあったが自信にもなった。
サンドバッグも買ってしまった。
僕は「裏拳」とは呼ばずにこう呼んだ。

ハハニャンは、僕が「一撃後甲拳」を鍛える光景に「怖いから鍛えすぎるのやめて」と心配した。
しかし、離婚の恩なのか意識障害の病気を気にしてか、「働きなさい」と言うことはなかった。
僕はそれをいいことにもう十年近くひきこもっていた。
ハハニャンが忠告することは唯一「部屋を片付けろ」と言うことだった。
今日も言われた。
「たまには部屋を片付けなさいよ。図鑑に載っていないような変な足の長い虫がいたわよ」 「また勝手に入ったのかよ」 確かに図鑑に載っていなさそうな虫は見た。
よく考えれば気持ち悪いが、片付けるべきかこのままにするか考えた。
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1.部屋を片付ける
まず、いらない漫画を捨てよう。
「この漫画二冊同じ巻がある!」
しかし、中古として売りには行かない。
あそこには中学時代に嫌がらせをしていた木村がいる。
それに50円にもならないだろう。
中学の卒業アルバムが出てきた。
開いてみると、もう名前すら忘れかけていた初めて僕が付き合った人を見つけた。

彼女とは一ヶ月しか付き合わなかった。
よく一緒に帰宅して、たまに喫茶店で話したのがいい思い出だ。

卒業アルバムを閉じて、いらない本はまとめた。
今日はこれで片付け終了だ。感傷的になってしまった。
僕は再びベッドで横になりスマホを見る。
ひきこもりの記事の下に地元の新聞のニュースが載っていた。
自宅から歩いて5分の道路だった。
「あそこの十字路、信号がないんだよな」
優先道路でないところを時速100キロ近くで95歳のお爺さんは走り、対向車線の車と接触事故を起こしたらしい。
お爺さんは海外の高級車に乗っていて割と軽傷のようだ。
軽自動車は車のフロントがばらばらになっていた。
僕と同じ歳の女性で重体というのも気の毒なニュースだった。
そこに被害者の名前としてあったのが、「海江田要」という名前。
海江田…中学の卒業アルバムでさっき見た初めて付き合った子。
まさか彼女が…。
そういえば、共通の友達の藤崎茉莉がコンビニで働いている。
彼女なら詳しい状況を知っているかもしれない。

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2.ふらっと外に出る
やはり片付けは面倒くさい。
ゴミの分別でやる気が失せる。
ベッドに寝転びスマホを点けた。
ひきこもりの記事の下に地元の新聞のニュースが載っていた。
自宅から歩いて5分の道路だった。
「あそこの十字路、信号がないんだよな」
優先道路でないところを時速100キロ近くで走っていたのが、95歳のお爺さんということもニュースになった要因だ。
海江田要。
変わった名前でどこか聞き覚えもある名前だったが、思い出せない。
「沈黙の艦隊」の読み過ぎか。
さて、今日は何をして過ごすべきか。
ゲーム「クロス・ワールド」の仲間達は今日はほとんどオフラインだ。
社会人の彼らは、週に一日はゲーム以外で過ごしたいらしい。
休日に仕事のための勉強をしたり、趣味のプログラムをやるらしい。
今日サーバーに入ってもウシ男さんぐらいしかいないだろう。
別なゲームで時間を潰した。
ハハニャンに夕食は唐揚げを注文し、食べ終えるとふらっと外にでも出ることにした。
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